ZE500 for ASMR ダークグレー(左)、クリーム(右)

finalから登場したASMR専用完全ワイヤレスイヤフォン(TWS)「ZE500 for ASMR」。2024年12月に限定発売されたVTuber 周防パトラさんとのコラボ第3弾製品「ZE500 for ASMR Patra Black/Patra White」の通常モデル版で、寝ホンに特化した製品。価格も直販8,980円で、TWSとしては手軽な部類になっている。

ASMR向けの完全ワイヤレスイヤフォンと言えば、agブランドの「COTSUBU for ASMR」とその後継機「COTSUBU for ASMR MK2/3D」などが展開されている。パトラさんのコラボ第1弾、第2弾もこちらのモデルだったので、ASMRが好きな人にはお馴染みのモデルだろう。

しかし、COTSUBU for ASMRのシリーズは、小さい筐体を活かして、ASMR向けの音にチューニングしたモデルになっているため、どうしてもベースモデルの性能に縛られてしまっていたという。

そこで今回のZE500 for ASMRは、ASMR向けにイチから設計。フラッグシップヘッドフォンD8000シリーズの技術や、finalのこれまでのASMRに関する知見を全て投入して、ASMRを聴きながら入眠できる、現時点の最適解となる寝ホンを開発して、音質にこだわるfinalブランドから登場した。

使ってみた印象を先にまとめると、パトラさんのコラボモデルと少し音に違いがあるが、相変わらず面白いくらい寝ホン特化の振り切ったイヤフォンになっている。

小さくても安くても音質はしっかりfinalブランド

音質もかなりこだわっている。finalブランドのZEシリーズは、対応するEシリーズの有線イヤフォンの音質をワイヤレスで超えることを目標にしたシリーズでもある。今回のZE500 for ASMRも、ASMR向けで人気の有線イヤフォン「E500」の音質を超えた製品に仕上げたとのことだ。

E500も小さくてお手頃な価格帯のイヤフォンなので、「この価格帯でこの空間表現力はすごい」という評価になるのだが、ZE500 for ASMRは、ASMRや配信で人の声を聴き続けるという限定した使い方の中で、ちょうど欲しかったポイントがまとまっていて、刺さる人にはきっちり刺さる特化型のイヤフォンに仕上がっている。

高域の刺さるような音がなく、徹底的に不快に感じる音が排除されているように感じる。YouTubeショートを流し見していると、叫んでいる配信者の切り抜きや、謎の合成音声、音量設定を間違えたような動画もたまに出てきて、モニターヘッドフォンなどで聴いていると結構不快に感じるのだが、ZE500で聴いていると不快度がそこまで高くないのでそのまま無心でスライドしてスルーできる。

小さい音量でも人の声をしっかり聞き取れるので、配信やラジオをBGM感覚で聴き続けるのにちょうど良い。ただ、音量がある程度大きくても耳が痛くならずに聴けてしまうので、曲を聴くときなどに物足りないと思って音量を上げすぎるのは気をつけたいところではある。

そして小さい筐体ながら、音の空間が頭の周囲に結構広く感じられる。とくに横になっているときの聴こえる音の距離感がリアルで、イヤフォンの場合はどうしても音が近く感じがちなのだが、「これくらい離れたところから音がしている」という感覚がかなり現実に近く感じられる。

COTSUBU for ASMR MK2/3Dを比較してみると、まずあんなに小さくて良いなと思っていたCOTSUBUの装着感も、けっこうしっかり目に耳に押し込んでいるような感覚になる。MK2は超近接音場、3Dの方は近接3D音場に重きを置いた音作りになっているのだが、「近接」とある通り、ZE500 for ASMRと比較すると音がかなり近い。

音も一枚ベールをかけているようになってしまうところがあり、こういった部分にベースモデルからチューニングだけで調整をかけているところの限界が感じられる。ZE500 for ASMRがイチからASMR用に開発された理由がかなり明確にわかるポイントだ。

寝ホンに必要無い機能は持たない超特化型

一方で、ZE500 for ASMRの方もこの大きさと音のクオリティを兼ね備えるために、タッチセンサーが左右ともに再生/停止、電話の応対/終了のみになっていたり、マルチポイント接続非対応だったりと、最近の完全ワイヤレスイヤフォンと比較すると機能は控えめになっている。

ながら聴きや入眠用としてであれば満足できる超特化型という感じに仕上がっているので、普段使いするメインのワイヤレスイヤフォンとして考えてしまうと物足りなさは感じてしまうかもしれない。連続再生時間もイヤフォン単体で最大4.5時間、ノイズキャンセル等の機能も搭載されていないので、本当に横になってぼーっと何かを聴いてそのまま寝ることに使う上で、本当に無駄なものを全て排除したようなイヤフォンだ。

右側が上から「COTSUBU for ASMR 3D」の新色グレー「COTSUBU for ASMR MK2」の新色ブラック

なんなら見た目もシボ加工されているCOTSUBUシリーズの方が高価に見える

寝ていると大体イヤフォンのバッテリーが切れるので、スマホでアラームをかけているとイヤフォンからは聞こえないが、スピーカーから鳴るのが聞こえるので、一応起きられる。筆者は寝付きが非常に悪く、寝起きも悪いので別途アラームを用意することで、「朝起きられなかったらどうしよう」と眠れなくなることへの対策としている。

専用アプリとの連携は可能。COTSUBU for ASMR MK2/3Dは5回連続タップで、タップ操作とアナウンスなどが消える安眠モードに変更できたが、ZE500 for ASMRはアプリから切り替える必要がある。ほかにも、一番使うボリューム帯を設定することで、細かく音量調整が可能になるボリュームステップ最適化もアプリから行なえる。

安眠モード(左)とボリュームステップ最適化(右)。アプリ画面はPatra Blackのものだが、この機能は通常モデルでも搭載される

コラボモデルは音質もパトラさん特化。通常モデルは人の“声”特化

左側の上下がコラボモデルのPatra Black/Patra White、右側上下が今回発売される通常モデル

そして元々このZE500 for ASMRは、パトラさんとのコラボモデルのために開発されたモデルで、パトラさんのコンテンツに最適化した専用のチューニングが行なわれていたが、今回の通常モデル化に当たってこの音質を変更。特に「声」の帯域を近接的に且つ自然に再生することにこだわったチューニングとなり、ラジオ、配信、オーディオブックなど、長時間のリスニング向けの音作りになった。

実際にコラボモデルと通常モデルを聴き比べてみると、コラボモデルの方が少しウォームな印象がある。音の空間の広さや、不快に感じる音を感じにくい調整は変わらないのだが、パトラさんの声を再生すると、その場に居るような存在感がより強く、声の生っぽさが断然に違う。

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一方で、パトラさんではない別の人の声やASMR作品は通常モデルの方が存在感が強く、距離感も明確になることが多々ある。筆者がよく聴いている、ホロライブの白銀ノエル団長や、個人VTuberの来音こくりさんのASMR配信などは、通常モデルの方が合っている印象だ。

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コラボモデルと音質が変わっているという点で、疑問に感じる人もいるかもしれないが、より幅広い人の声が生っぽく聴こえやすい調整がされていて、“汎用性のある音”は明らかに通常モデル側だ。

むしろ聴き比べてしまうと、コラボモデルがガッツリパトラさんに最適化された、こだわりの度合いがすさまじさを再認識する。

ちなみにコラボモデルとの違いは機能面でもあり、パトラさんのボイス周りの機能や、添い寝モードとスリープタイマーが通常モデルには搭載されない。元々このスリープタイマーも、パトラさんの声が再生される添い寝モードを使っているときに使える機能となっているため、単体では使えない。

イヤフォンの耐久面を考えると、毎回バッテリー切れまで使うよりも、ある程度のところで自動的にOFFになってくれた方が嬉しいところではあるので、今後に期待したいポイントの1つだ。

コラボモデル登場時から、このイヤフォンが限定販売というのはもったいないなと思っていたのだが、さらにパトラさんに限らない様々な人の作品もしっかり楽しめる調整がなされた上での通常版の登場に驚かされた。寝ホンというジャンルも様々なモデルが出ているが、この大きさと余計なノイズのない音を両立していて、満足度が非常に高い。寝ホンを探している人、コラボモデルで購入を迷っていた人には、是非また検討してみてほしいイヤフォンだ。



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