リチウムイオン電池が原因とみられる、ゴミ処理施設での火災が相次いでいます。モバイルバッテリーなどに用いられるリチウムイオン電池は強い衝撃が加わると発火する危険があるため、基本的には「燃えないゴミ」で捨ててはいけないのです。
ほかにも乾電池やボタン電池など、電池を処分する際にどうすればいいのか迷ったことがある人も多いのではないでしょうか。本記事では電池の種類別に捨て方をまとめていますので、参考にしていただければと思います。
乾電池は指定の日にゴミ捨て場へ
アルカリ乾電池やマンガン乾電池といった円柱形の乾電池は、自治体にもよりますが「燃えないゴミ(不燃ゴミ)」として回収していることが多いです。また、「資源ゴミ/有害ゴミ」として回収日が指定されている場合もあります。自治体によって異なるため、捨てる前に公式サイトなどで確認するようにしましょう。
捨てる際は電池の電極部分にテープを貼り、電流が流れないように絶縁します。絶縁しておかないと、ほかの電池や金属に触れた際にショートして発熱、発火したりする危険があるからです。
なお、アルカリ乾電池とマンガン乾電池は見た目が似ており、実際に単独では互換性もありますが、混ぜて使用してはいけません。また、マンガン乾電池はリモコンや時計など、小さな電流で動く機器に適しており、アルカリ乾電池はライトなど大きな電流が必要な機器に向いているという特徴があるため、機器の説明書で指定されている種類の電池を使うように心がけましょう。
ボタン形電池は回収ボックスへ
見た目が似ていて、大きさもさまざまあるコイン形リチウム電池とボタン形電池。コイン形はアルカリ乾電池などと同様に「燃えないゴミ」や「資源ゴミ/有害ゴミ」として回収されることが多いですが、ボタン形は回収を行なっていない自治体もあります。
ボタン形電池は過去に水銀が使用されており、2020年には国内で全面無水銀化を達成したものの、古いボタン電池には水銀が使用されているものがあると考えられることから、現在も回収と適正処理事業が続けられています。
家電量販店などが協力して回収を行なっているため、ボタン形電池を処分する際は店頭に設置された「ボタン電池回収缶」に入れるようにしましょう。回収缶を設置している協力店は、一般社団法人 電池工業会のサイトで調べることが可能です。
コイン形リチウム電池とボタン形電池ともに、捨てる際は絶縁をお忘れなく。また、特に小さい電池であるため、お子様がいるご家庭では誤飲に要注意です。
NITEによると、コイン形リチウム電池の場合は、飲み込んでから30分~1時間で消化管の壁に潰瘍ができてしまうそうです。使用前後の電池は子供の手の届かない場所に保管し、おもちゃなどは電池のフタが外れやすくなっていないか、よく確認しておきましょう。
ちなみに、コイン形リチウム電池とボタン形電池の見分け方としては、コイン形は硬貨のように平べったく、ボタン形は小さくて厚みがあります。さらにボタン形には「LR」「SR」「PR」のいずれかの記号が記載されているため、確認してみてください。
充電式電池はリサイクル
「eneloop(エネループ)」をはじめとしたニッケル水素電池のほか、ニカド電池、リチウムイオン電池といった充電式電池はリサイクルの対象となっています。
自治体で回収している場合もありますが、ゴミとして出せない場合は、家電量販店などに置かれた「リサイクルBOX」へ絶縁してから入れましょう。回収協力店は一般社団法人 JBRCのサイトで検索可能です。
モバイルバッテリーには要注意
持ち運んでスマホの充電などに使う人も多いモバイルバッテリー。多くの自治体では「燃えないゴミ」としての回収に対応しておらず、自身で回収協力店などへ持ち込む必要がありました。しかし、誤って捨てられたリチウムイオン電池による火災が多発していることを受け、自治体での分別回収を徹底すると2025年4月に環境省が通知。これによって、従来よりもモバイルバッテリーを捨てやすくなりそうです。
実際に通知が出される少し前から、東京都新宿区がリチウムイオン電池を家庭ゴミとして回収開始しました。同様に、一部の自治体ではすでにモバイルバッテリーなどを「資源ゴミ/有害ゴミ」として指定の日に回収してもらえることがあります。お住まいの自治体がモバイルバッテリーの回収を行なっているか、一度調べてみるとよさそうです。
自治体の回収に出す際は、モバイルバッテリーであることがわかりやすいようにしておくほか、絶対に一般ゴミと混ざらないように気を付けてください。また、バッテリーが破損、膨張していたりすると回収できないことがあり、その際は自治体指定の施設へ持ち込む必要があります。
自治体が回収を行なっていない場合は、上述した一般社団法人 JBRCの回収協力店や、役所や公共施設に設置された「リサイクルBOX」へ入れるようにしましょう。コードレス掃除機などの家電の取り外せるバッテリーについても同様に、リサイクルBOXに入れられます(取り外せないものについては後述)。
リサイクルBOXで回収できるのは、JBRCの会員企業製のもの、電池の種類(ニカド電池/ニッケル水素電池/リチウムイオン電池)が明確であるもの、破損や膨張などの異常がないもの、外装なしのラミネートタイプの電池ではないものに限られます。これらの条件を満たさないものについては、自治体やメーカーに確認しましょう。
バッテリーが取り外せない小型家電(ハンディファンやゲーム機器)については、役所や公共施設に設置された「小型家電回収ボックス」へ。投入口(30×15cm)に入る製品が対象です。ただし、投入口に入る大きさであってもパソコンは対象外で、直接メーカーや認定業者に回収を申し込むことになっています。
最後に、繰り返しにはなりますが、自治体によってゴミの回収ルールは異なるため、公式サイトなどをよく確認してください。また、捨てる前に絶縁処理をすることも忘れずに。電池による火災などの事故を防ぐためにも、正しい捨て方を心掛けましょう。
🧠 編集部の感想:
モバイルバッテリーの適切な捨て方についての注意喚起が大切だと思います。リチウムイオン電池の危険性を理解し、誤った処分が引き起こす火災を防ぐべきです。また、自治体による回収方法が整備されると、生活の中での環境意識が高まるでしょう。
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