EMEETの「Piko」シリーズは、珍しいデュアルレンズを備えた4K対応のWebカメラだ。1/2.8インチのセンサーを採用した「Piko」と、1/2.55インチのソニー製センサーを採用した「Piko+」の2製品が用意されており、直販価格はそれぞれ1万1,799円、1万5,999円となっている。今回は上位モデルであるPiko+を入手したので、簡単に紹介していこう。

 コロナ禍以降、Web会議はビジネスにおける日常茶飯事になり、Webカメラはもはや欠かせない存在となっている。ノートPCであれば、ほぼ最初から備わっていてそれで事足りることも多いので、あえて購入する必要性は低いが、筆者のようにミニPCやデスクトップをメインで使う人にとって、外付けのWebカメラは必須アイテムだ。

 Web会議は基本的に不特定多数に見られるわけではないので、実のところこれまで筆者はあまり映りを気にしなかったのだが、映りがいい人と映像が並んでしまうと、自分が残念な人に見えてしまうのも確かだ。

 というわけでWeb会議をする機会が多いのなら、Webカメラは良い製品を選んだ方がいいのは言うまでもない。画素数はもちろん、暗いところでの撮影性能、AF性能も見ておくべきポイントだろう。そういう意味で、今回紹介するPiko+は3つの要素をしっかり押さえていてる。

  1. 3,840×2,160ドット/約830万画素/4K
  2. 1/2.55インチソニーセンサー
  3. AI支援レンズ付き

 1番目は画素数なわけだが、今やノートPCでも200万画素のフルHD搭載が増えてきたし、500万画素でWQHD解像度が出せるものも出てきているので、「4Kは確実にアップグレードになる」のがポイントだ(最新のモデルなどでは、3,200万画素のものも出てきているのでさすがに見劣るが)。

 2番目のセンサーサイズだが、センサーのサイズは1ピクセルあたりの受光サイズの大きさと直結し、暗所での撮影性能に影響するため重要な要素の1つだ。デジタルカメラの世界からすると、Piko+の1/2.55インチはかなり小さく感じられるが、「iPhone 11/12、Xperia 1、Galaxy S8のメインカメラも1/2.55インチでした」と言えば「おー」になるのではないだろうか。

 そして3番目の「AI支援レンズ」だが、これは「より速いオートフォーカスと精度の高い顔の露出を実現」するためのものだとしている。具体的には、AIによりまず人物と物体を認識し、メインのカメラと合わせた立体視により、その具体的な位置を算出。これによりAF速度を高めつつ、人物であると判断した場合は、さらに顔に合わせて露出を最適化しているとのことだった。

 以上のハードウェア的な工夫もあって、Piko+の画質は結構いい。赤がやや強めに出る傾向にあるが、ノートPC内蔵Webカメラではありがちな青白い肌になることはなく映る。特に暗い部屋において、間接照明+ノートPCの画面程度の明るさでも、ノイズが比較的少なくクリアに映るのは良い。そして、AFの精度も高く、速度もかなり高速だと感じた。

Piko+で撮影した静止画。立体感があり、洋服の襟や髪の毛のディテールまでよく描写している。顔の色も健康的だ

GPD DUO内蔵Webカメラで撮影した静止画。全体的に元気がない色で、ディテールも潰れてしまっている

AF追従性能を調べてみたが、これはなかなかのスピード。ちなみにGPD DUO内蔵カメラは固定フォーカス(パンフォーカス)なので試していない

 また、レンズの特性もよく、クリアで髪の毛1本1本まで丁寧に描写する。レンズの視野角は73度となっており、パースがきつくなりすぎず、かといって狭くなりすぎることもない。1~2人を映す程度ならちょうどいい、よく考えられた構成であった。

 カメラの性能のみならず、3つのアナログシリコンマイクにより、集音性能やノイズキャンセリング性能が高いのもいい。筆者は最近、ヘッドセットを使うことが多いのだが、一人しかいないような環境、もしくは逆に多数でミーティングするようなシーンでは、スピーカーとPiko+の内蔵マイクを使うのもありだろう。

 本体底面には三脚用のネジ穴があるため、手持ちの三脚にも装備できる。ちなみに初期の製品はミニ三脚が付属していたそうだが、ユーザーからのフィードバックにより、ディスプレイにも引っ掛けられる2段式のスタンド(カメラはネジ止め)に変更したとのことだ。このスタンドはそこそこの重量があってしっかりした作りのため、非常に安定した設置が可能だ。

製品パッケージ。USBケーブルはType-Cで、Type-C→Type-Aアダプタが付属する。また、パンダ柄のレンズカバーも添付

初期ロットはミニ三脚が付属していたが、今はモニターやノートのディスプレイにも引っ掛けられるスタンドとなっている

 また、専用ソフトウェア「EMEET Studio」を使ったさまざまな設定も可能。カメラでは、キャプチャの画質や色合い、さまざまなエフェクト、ポートレートモード(カメラ自体を90度回転させて、画像を90度回転した状態にする)などが設定可能。ほかのアプリがカメラを使用中の場合、EMEET Studioのプレビュー画面はオフとなるが、その設定は反映できる。

 また、EMEET Studioでは複数のPiko/Piko+を認識してシーンに合わせて切り替えるといったことも可能なようだ。今回は1台しか入手できていないので、どうシーン/カメラ切り替え行なうのか試せなかったのだが、販売ページでは5台セットが用意されているので、本格的な配信も想定していると思われる。

 ちなみにEMEET StudioをインストールしたあとにOBS Studioを起動すると、入力ソースに「EMEET STUDIO CAMERA」が追加されていることを確認できる。これは仮想カメラの機能で、記事執筆時点(4月末)では選択しても何も表示されないのだが、5月以降に実装する予定とのこと。おそらくはEMEET Studio上で設定したより高度なエフェクトを適用した状態で取り込めるものだが、実装を楽しみに待ちたい。

EMEET StudioのUI。2025年4月現在、バージョンアップは頻繁に行なわれており、発展途上にあるようだ

 製品の核心から書いてしまったのだが、本製品の最大の特徴はむしろその外観だったりする。まず、本体サイズが56×43×22mmしかなく、4Kカメラとしては非常に小型。これならノートPCと一緒に持ち歩くのも苦にはならないだろう。

 2つ目はカメラ未使用時に使うマグネット式のカバーで、パンダの絵柄になっている。小さいゆえこうした遊び心を取り入れやすいのだろう。ちなみに、日本向けの初回ロットはくまモンだったそうだが、今からだとパンダになるとのことだった。そう言えば、本体の2基のカメラを眼として見立てれば、駆動時のLEDが口に見えて、まるで“何かのキャラクター”のよう。筆者的には、某遺跡で見かけた土偶にもちょっと似ている気がした。

パンダ柄のレンズカバー

土偶の顔のように見えなくもないユニークなフォルム

 価格.comを見渡すと、4K対応カメラでPiko+の競合となりそうなのはAnkerの「AnkerWork C310」辺りだろうか。こちらは大手かつ画質の定評が比較的高いモデルなのでなかなか手強いが、Piko+のAIアシストカメラの搭載による高速なAF、ユニークなレンズカバー、小型筐体などに価値を見いだせれば、選択肢としてアリなモデルだ。



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