
2005年5月19日に、任天堂がニンテンドーDS用ソフト「東北大学未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング」、通称「脳トレ」を発売した。
本作は計算、色彩識別、名作音読などのゲーム(トレーニング)を遊ぶことで脳を鍛錬するソフト。本作をプレイすれば脳が活性化されるとあって、普段はゲームに関心のない新たなユーザーを取り込み大ブームに。「CESAゲーム白書」よると、本作は国内で396万本、世界累計で1,900万本が売れた。
当時について
本作が発売された当時、筆者はまったく関心がなく、ライターおよびゲーム仲間の間でも遊ぶ人は少なかったように記憶しています。ですが、アラサーとなり肉体と記憶力の衰えを感じることが増えたある日、「じゃあ、試しにやってみるか」と思ったのが本作を遊ぶきっかになりました。
当初は「どうせ、誰でも簡単にできるミニゲームを遊ぶだけでしょ」と正直ナメていました。最初にチャレンジした計算問題は比較的スラスラと解けたので楽勝かと思いきや、それ以外のトレーニング、特に文字色を当てる色彩識別に苦戦した結果、何と初プレイ時は判定された脳年齢が実年齢を上回る始末(苦笑)。「冗談じゃネー!」と生来の負けず嫌い精神に火が付き、以後脳年齢が20代とコンスタントに判定されるようになるまで、久しく意地になってやり込みました。
本作の大ヒットを機に、続編にあたる「鬼トレ」をはじめ、「えいご漬け」、「やわらかあたま塾」、「ます×ます百ます計算」など、数多くの教育系ソフトがニンテンドーDS向けにリリースされたことは、多くの皆さんがご存知のことでしょう。
なお、本作の開発当時のエピソードは、任天堂の岩田聡社長(当時)がインタビュアーを務めたサイト「社長が訊く」の「川島隆太教授篇」に公開されているので、興味のある方はぜひご一読を。また「脳トレ」ブーム期のエピソードは、川島教授の著書「さらば脳ブーム」にも詳しく書かれています。筆者も本書を購入して読みましたが、とても面白かったですよ!
「今日は何の日?」とは
不定期に過去に起きたゲーム業界に関する出来事を、マンガでユル~く、かつ真面目にふりかえるコーナーです。
絵:橘 梓乃
ゲーム歴40年超のフリーライター。主な著書・共著は「ファミダス ファミコン裏技編」、「ゲーム職人第1集」、「デジタルゲームの教科書」、「ビジネスを変える『ゲームニクス』」、「ナムコはいかにして世界を変えたのか ゲーム音楽の誕生」など。2014年より日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表も務める。
テキスト:鴫原 盛之(フリーライター)
🧠 編集部の感想:
「脳トレ」の大ヒットは、ゲームが教育的価値を持つことを示す素晴らしい例です。新たなユーザー層を開拓し、脳を鍛える楽しさを広めたことが印象的でした。また、その影響で多くの教育系ソフトが生まれたことも、ゲーム業界の進化を感じさせます。
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