現在放送中の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(以下、ジークアクス)』。最初のガンダムシリーズである『機動戦士ガンダム(以下、ガンダム)』と密接な関係がある本作ですが、ついには『機動戦士Zガンダム』からもキャラクターが登場しました。難しい用語や人物名が多出するため、『ジークアクス』からガンダムシリーズをご覧になる方は「これって何?」と思うかもしれません。
そんなあなたのためにスタートした連載「『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の視聴に役立つかもしれないガンダム用語」。ごくごく簡単に『ジークアクス』や『ガンダム』シリーズにまつわる用語を解説していきます。
今回は 『機動戦士Zガンダム』に登場した「バスク・オム」について解説します。
バスク・オムは、『機動戦士Zガンダム』及び『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場したキャラクター。初登場した『Zガンダム』では、カミーユ・ビダンが所属するエゥーゴの敵となる地球連邦軍の特殊部隊「ティターンズ」の総司令官を務めています。徹底した地球至上主義者であり、反地球連邦運動を取り締まる「ティターンズ」の象徴といってもいい人物です。
一応、連邦軍の正規軍人ではあるのですが、自身の目的のためなら、どんな過激で残虐な手段も厭わないタイプ。
初登場した2話から、民間人を戦闘に巻き込んだことを意も介さず、その責任を指摘したブライト・ノアを殴り飛ばせば、その後ティターンズからガンダムMk-Ⅱを奪ったカミーユの身元を割り出し、実の母親であるヒルダ・ビダンを人質に取るという、卑劣極まりない作戦を実行。
作戦に参加したティターンズのパイロットにすら作戦の真相を知らせなかったことで、ヒルダが捕らえられていたカプセルを、敵のモビルスーツを倒せる強力な爆弾と勘違いしたジェリドが破壊してしまうという『Zガンダム』屈指の悲劇のきっかけを作っています。
エゥーゴの指導者であるブレックス・フォーラは古くからバスクのことを知っているらしく、この人質作戦を目の当たりにした時、あまりの非道さに「ただの脅しでは?」と疑いをもったクワトロ・バジーナ(シャア)に対し、「バスクならやるよ」と断言していたほど、その悪名は知れ渡っているようです。
それを裏付けるかのようにバスクは『Zガンダム』の本編よりも前の時代に、反連邦デモ鎮圧の為に、条約で使用が禁止されていた毒ガスをコロニーに注入し、民間人1500万人を虐殺するという「30バンチ事件」を起こしています。
『Zガンダム』本編中でも、エゥーゴの士気を削ぐために再度毒ガスを使用しており、21バンチのコロニーの住民を皆殺しにしている徹底ぶり。しかもそれを、エゥーゴを離反したレコア・ロンドにやらせることで、レコアのティターンズへの忠誠心を確かめつつ、後戻りできなくするというやり方もエゲつないです。
他にも、部下のジャマイカン・ダニカンが主導した月のグラナダへのコロニー落としを黙認(責任をジャマイカンに負わせ、実質的にはバスクが主導していたという説もあります)、ティターンズに反抗的だったコロニーをコロニーレーザーで破壊するなど、その暴挙をあげていけばキリがないほど。
ティターンズの指導者であるジャミトフ・ハイマンもかなり過激な人物ではあるのですが、バスクはそのジャミトフの意向すら無視して暴走していたため、危機感を覚えたジャミトフは木星から来たパプティマス・シロッコを取り込み、バスクを牽制しようとする展開が生まれています。ジャミトフから見ても、バスクのやり方は常軌を逸していたわけです。
結果的には、ジャミトフはそのシロッコに暗殺されてしまい、元々シロッコと馬が合わなかったバスクもシロッコと対立。最終的にはシロッコの密命を受けたレコアの手により、乗艦のドゴス・ギアごと撃墜されて戦死しています(毒ガスを流させたレコアに倒されるというのも皮肉)。
非道さでは『ガンダム』シリーズの中でも群を抜いており、『Zガンダム』序盤から終盤まで悪役として強烈な存在感を発揮し続けたキャラクターですが、カミーユやクワトロらエゥーゴ側の主要人物が預かり知らぬところで退場するという、意外すぎるほどあっけない最期を迎えています。
バスクは、その後『Zガンダム』の5年前の宇宙世紀を描いたOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の終盤にも登場します。
ティターンズ結成前、連邦軍の将校として登場したバスクは、ジオン残党であるデラーズ・フリートの最終目標であった、コロニー落としを阻止するべく、ソーラー・システムⅡの指揮を使った破壊作戦の指揮を執るも、アナベル・ガトーの奮戦により作戦は失敗。
すでにコロニーの落下は確定していたにも関わらず、ただ自分の怒りを晴らすために、出力の落ちたソーラ・システムで友軍艦隊やコウ・ウラキの乗るガンダム試作3号機を巻き込みつつガトーを攻撃するという暴挙に及んでおり、作品が変わってもブレない悪役っぷりを発揮しています。
見た目の強面っぷりから、一見脳筋タイプに見えるんですが、元々上司だったコーウェンを裏切って、その後権力を掌握するジャミトフにつく判断力や(その後コーウェンは失脚)、発案したり指揮をとった作戦が幾度となく失敗しているにも関わらず、組織内で権力を拡大して出世しているあたり、実はかなりの世渡り上手でもあるのはちょっと面白いところです。
そして先日放送された『ジークアクス』の6話でも、まさかの登場を果たしました。
共に登場したゲーツ・キャパと合わせて、初めての『Zガンダム』からの登場だったため、度肝を抜かれた方も多いでしょう。
『ジークアクス』においては地球連邦が一年戦争でジオンに敗戦しているので、その後の歴史でティターンズがどうなるのかも気になっていたポイントでしたが、公開されたプロフィールによると「極右の特殊部隊創設を準備している」とあるので、ティターンズに相当する組織を作るために動いている可能性は高そうです。
『ジークアクス』では、「17バンチ事件」と呼ばれる何らかの騒動が過去起きていることが仄めかされていますが、バスクが『Zガンダム』の前に起こした、毒ガスでコロニー住民を皆殺しにした「30バンチ事件」を連想させるような言葉になっており、関連性が気になるところ。真偽は不明ながら、連邦軍が毒ガスを使っている……という噂もジオンでは流れていたようでした。
実はバスクが起こした「30バンチ事件」も、『ジークアクス』の時代と同じU.C.0085年に起きたとされているのは、果たしてただの偶然なのか。『ジークアクス』でも動向に注目したいキャラクターです。
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🧠 編集部の感想:
『ガンダムジークアクス』でのバスク・オムの登場は、過去の悪行を思い起こさせる衝撃的な瞬間です。彼の冷酷さと策略が、物語に重厚感を与えています。新シリーズがどう影響を受けるのか、これからの展開がますます楽しみです。
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