木曜日, 5月 15, 2025
ホームニュースエンタメニュース『GTA6』は“シリーズ最高”国内初動となるか 『ストグラ』で生まれたライト層への支持拡大がカギに

『GTA6』は“シリーズ最高”国内初動となるか 『ストグラ』で生まれたライト層への支持拡大がカギに


 5月6日、『グランド・セフト・オートVI』(以下、『GTA6』)の第2弾トレーラーが公開となった。

 前作の成功もあり、世界中から発売を心待ちにされている同タイトル。同動画は配信から1週間ほどが経過した5月12日時点で、1億回以上も再生されている。

 本稿では、第2弾トレーラーの公開を入り口に、国内市場における「グランド・セフト・オート」の影響力の変化を考えていく。『GTA6』は少なくとも国内市場において、これまでのシリーズ作品をプレイしてこなかった層にも広く手に取られるタイトルとなるのかもしれない。

全世界で2億本以上を販売した前作から13年ぶりに登場するシリーズ最新作

Grand Theft Auto VIトレーラー1

 『GTA6』は、テイクツー・インタラクティブ傘下のゲームスタジオ・Rockstar Gamesが開発を手掛けるオープンワールド・アクションアドベンチャー「グランド・セフト・オート」シリーズの第6作だ。舞台は、アメリカにあるとされる架空の州・レオナイダ州。裏稼業を生業とする主人公の男女・ジェイソンとルシアはひょんなことから、同州をめぐるアンダーワールドの陰謀へと巻き込まれていく。

 今回、配信となった動画には、登場するキャラクターたちの会話シーンや、シリーズの代名詞ともなっている乗り物の運転シーン、レオナイダ州の都市「バイスシティ」で生活する人々の様子などがおさめられていた。開発元のRockstar Gamesによると、これらはPlayStation 5の実機上で収録されたゲーム内映像で、その内訳はゲームプレイとカットシーンが半々であるという。また、トレーラーの配信とあわせ、公式サイトでは、各登場キャラクターたちの生い立ちや、70枚に及ぶスクリーンショットなども新たに公開されている。

Grand Theft Auto VIトレーラー2

 2013年、PlayStation 3、Xbox 360でリリースされた前作『グランド・セフト・オートV』(以下、『GTA5』)は、他機種への移植版を含め、全世界で2億本以上の販売を記録している。こうした経緯もあり、同タイトルはその存在が明らかとなったときから、界隈の注目をほしいままにしてきた。その一方で、トレーラーの公開直前には、当初2025年秋に設定されていた発売日が延期に。ファンにとっては、“Xデー”が確定したうれしさはある一方で、期待に胸をふくらませる期間が1年に延びてしまった経緯がある。

 このタイミングで突如として新映像が公開された裏には、発売日をめぐる動向の影響もあったのではないか。同動画が既存のゲーム内映像で構成されていたこと、あわせて公式サイトにも更新が入ったことも、この論の根拠となるかもしれない。

 『GTA6』は、2026年5月26日発売予定。対応プラットフォームはPlayStation 5とXbox Series X|Sで、価格は現時点で未定となっている。

ライト層にひろがるシリーズの影響力。国内では過去最高の初動を達成する可能性も

Grand Theft Auto Vトレーラー

 “2025年屈指の期待作”に挙げられることも多かった『GTA6』。第2弾トレーラーの公開、発売日延期のニュースなどが話題を集めていることには、あらためてその影響力の大きさを感じさせられる。前作が打ち立てた「全世界2億本」という数字は、Mojang Studiosの『Minecraft』に次ぐ、歴代2位の記録なのだという。ライト層を含め、約5,600万人と言われている日本国内のゲーム人口だけでなく、日本の総人口すら上回る、途方もない販売数である。

 もしかすると、日本市場の大きさとの比較からくる相対的な感覚かもしれないが、『GTA5』はどちらかといえば、国内より国外で支持をひろげてきた印象がある。無論、日本でもコア層に分類されるであろうフリークを大いに熱狂させてきたが、その渦の中心は国外にあったように感じるのだ。おそらくここには、(いわゆる“JRPG”とは対照的な)自由度の高いゲーム性も影響したのだろう。「グランド・セフト・オート」はシリーズを通じて、そのような体験をプレイヤーに提供してきた。オールドフリークにとっては、“日本に輸入された洋ゲーのはしり”というイメージも強いのではないだろうか。

 その一方で、最近では、これまで同シリーズに関心を持ってこなかった、比較的ライトな層にもその魅力が伝わりつつある。きっかけとなっているのは、実況・配信文化の台頭だ。特に『GTA5』を専門に扱う企画『ストリート・グラフィティ・ロールプレイ』、通称『ストグラ』の影響は大きい。

 『ストグラ』とは、「『GTA5』の世界を舞台に、作成したアバターのゲーム内での第二の人生を見届ける」という、台本なしのリアリティショーである。参加者は個別に与えられた役割を当事者の気持ちになって演じることで、そこにしかない物語を生み出していく。その様子を“作りものではない人間ドラマ”として見つめていくことが、視聴者側の楽しみ方だ。あらかじめ用意された筋書きは存在しないため、予想外の展開が起こりやすく、そのことが同企画における最大のおもしろさとなっている。ビデオゲームのカルチャーで言えば、ゲームコミュニティ「VAULTROOM」とプロゲーミングチーム「Crazy Raccoon」が主催するストリーマー参加型のイベント『VCR』、アナログゲームのカルチャーで言えば、「テーブルトークRPG」のような遊び心を持つのが、『ストグラ』という実況・配信企画である。

 日本国内で『GTA6』に大きな注目が集まっている背景には、『ストグラ』といった実況・配信コンテンツを通じて、『GTA5』が従来とは異なる層にアプローチできていることによる影響があるのではないか。「新作が発売されるのなら、いい機会だし実際にプレイしてみよう」と考える視聴者も少なからずいるのかもしれない。おそらく同タイトルのリリース後には、こちらを題材にした新たな企画が立ち上がっていくのだろう。

 こうしたシリーズの“伸びしろ”には、先に述べた特有の自由度の高さが影響している。『VCR』において、(『GTA5』のほかに)『Rust』や『ARK:Survival Evolved』『Minecraft』といったタイトルが扱われやすいことも、その一端であると言える。実況・配信文化には「コア層が知る世界をライト層へと伝えていく」という拡声器のような役割がある。

 『GTA6』の発売延期は残念なニュースであったが、発売日の確定、第2弾トレーラーの公開は、一転して界隈のボルテージを高めるトピックとなったはずだ。そうした動向からの影響もあり、今後、新たな購入には至らないとしても、実況・配信文化を通じて、前作『GTA5』に集まる注目は拡大していくに違いない。その先にあるのは、新作『GTA6』のヒットだろう。

 制作側の預かり知らぬところで、シリーズの求心力は高まりつつある。最終的な販売本数には実際の出来が大きく影響するため、現時点で前作の数字を超えるかはわからない部分があるが、少なくとも国内の初動においては、シリーズでも最高のスタートダッシュを切る可能性がある。発売延期というネガティブニュースは、『GTA6』に思わぬ副産物をもたらすかもしれない。

HoYoverseが5月3日に映像公開した、「崩壊」シリーズの新作にあたるタイトルはどのような内容となるのだろうか。映像から見え…

リアルサウンド テック部

結木千尋

ユウキチヒロ。多趣味なフリーライター。執筆領域は音楽、ゲーム、グルメ、テクノロジーなど。カルチャー系を中心に幅広いジャンルで執筆をおこなう。人当たりのいい人見知りだが、絶対に信じてもらえないタイプ。

結木千尋の記事一覧はこちら



続きをみる


編集部の感想:
『GTA6』のトレーラー公開は多くの注目を集め、特にライト層へのアプローチが成功する可能性があるのが興味深いです。『ストグラ』などの実況文化が新たなファンを生み出しており、その結果として国内初動がシリーズ最高になるかもしれないのは期待が膨らみます。延期された発売日が逆に盛り上がりを強める要素になるのは、時代の流れを感じさせますね。

Views: 1

RELATED ARTICLES

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

- Advertisment -

インモビ転職