
ベセスダ・ソフトワークスとid softwareからFPSの草分け的存在『DOOM』シリーズの最新作『DOOM: The Dark Ages』が2025年5月15日にPC / PS5 / Xbox Series X|S向けに発売されます。
また、Premium Editionを購入すると13日から先行アクセスとしてプレイ可能です。本稿では、それに先駆け、ベセスダ・ソフトワークスからレビュー用のコードを提供いただき、30時間以上プレイしてキャンペーンをクリアしました。 結論から言えば、悪魔をしばき倒す暴力の化身になるFPSゲームとして満点の出来栄えです。
本稿では『DOOM: The Dark Ages』がどのようなゲームか説明しながら、本作の魅力をお伝えしていきます。
リブート版の前日譚を描く

『DOOM: The Dark Ages』は『DOOM(2016)』、『DOOM Eternal』と同じ世界観を共有しながらも、過去の時代を舞台に独自のストーリーが展開されます。地獄の悪魔たちが恐れおののく”ドゥームスレイヤー”が今作も主人公として登場し、これまで以上に力の入ったストーリー展開が用意されています。
本作は全22チャプターで構成され、各チャプターの重要シーンではムービーが挿入され、物語の展開がより分かりやすくなっています。また、世界観や登場人物の詳細を記した”コーデックス”も充実しており、作品の深い理解を助けてくれます。

ドゥームスレイヤーはめったに声を出しませんが、バイザー越しに映る目からデーモンへの怒りという感情が強く伝わり、『DOOM』の主人公として100点満点中120点の表現です。あと画面下にちゃんとドゥームスレイヤーの顔アイコンがあるのも高評価。

一本道のステージから広大なオープンエリアまで、多彩なマップデザインが用意されています。また、特定のステージでは巨大ロボット”アトラン”への搭乗や、ドラゴンに騎乗といった特別なギミックも用意されています。

アトランでの戦闘は、巨大ロボットならではの爽快感があり、映画『パシフィック・リム』を彷彿とさせる演出も見どころです。わざわざ飛ばないロケットパンチがあるなんてジプシー・デンジャーそのものでは?!

探索によって得られる報酬は、スレイヤーの強化素材やお約束の“トイ”や“コーデックス”と“スキン”といったコレクションアイテムです。筆者はガッツリ探索要素を楽しみクリアまで30時間以上かかりましたが、探索を無視すれば20時間以内にクリアできそうです。

探索をしないと入手できない武器などはなく、全てストーリー内で入手できます(筆者の記憶違いでなければですが)。 ただ、探索なしではアップグレード素材が全然足りないので、せっかく手に入れた魅力的な武器の真価を発揮できずに勿体ないと思い探索に励んでいました。
新要素の盾が戦闘の要

ストーリーや探索にも力が入っている『DOOM: The Dark Ages』ですが、プレイヤーを魅了して飽きさせないもの。それは戦闘の気持ちよさです。
本作の最大の特徴は、重厚な近接戦闘を軸とした新たな戦闘システムです。過去作の『DOOM Eternal』は機動力と弾薬管理を重視したゲームプレイでしたが、本作の戦闘は戦車のような重厚な戦士らしさを求めて作られています。その中心となるのが回転刃を仕込んだ盾の”シールドソー”です。この武器は防御、攻撃、探索と多目的に活用でき、戦闘の要となっています。

強敵との戦闘の基本は、シールドソーによるパリィから展開していきます。敵の攻撃は色分けされており、緑色の攻撃はパリィ可能、赤色は不可と一目で判別できます。実は敵によっては距離を取ると厄介な攻撃や無敵シールドを張ったりするので、あえて敵との距離を詰めていったほうが安全です。 パリィの判定も猶予が十分に設定され、難易度調整も可能なため、アクションゲームが苦手なプレイヤーでも楽しめる仕様となっています。
中盤からは”ルーン”システムによってパリィの性能が強化され、防御だけでなく攻撃的な要素も加わります。パリィ時に直線上の敵へのダメージや追尾弾の発射など、戦術の幅が大きく広がります。

シールドソーのもう一つの重要な機能が敵に盾を投げつける”シールドスロー”です。雑魚敵は一発で両断、強敵に当たれば行動封じる従来のチェーンソー効果、こちらの銃撃ダメージを軽減する敵のアーマー破壊など、状況に応じた使い方が可能です。盾を持つ敵に対してはシールドスローが直撃すると周りの敵も巻き込んで一気に切断する効果があり、追加でアーマー回復もドロップすることから戦術的な活用が求められます。
『DOOM: The Dark Ages』は『DOOM Eternal』のような立体的な機動力を活かしたゲームプレイではありませんが、決して鈍重なプレイというわけではなく、非常に軽快にスレイヤーを動かせます。 さらに、盾を構えると敵をロックオンして長距離を一気に移動できるシールドバッシュのおかげで、横移動だけなら過去作にも引けを取らない機動力を有しています。 盾が優秀すぎる!

この機動力のおかげで有効活用しやすいのが近接攻撃です。 近接攻撃は”ガントレット”、”フレイル”、”メイス”の3種類が用意され、それぞれに特徴的な効果があります。共通して重要なのは、近接攻撃が命中すると弾薬がドロップする仕組みです。近接攻撃はクールダウンがありますが、敵の攻撃をパリィすることでクールダウンをリセットできるので、敵に近づくメリットが大きくなり、銃撃戦と近接戦闘を組み合わせた流れるような戦闘が可能になります。
銃も近接に負けない気持ちよさ

従来の『DOOM』の特徴である爽快な銃撃戦も健在です。各武器には2つのモードが用意されています。 例えばショットガンは使い勝手のよい標準的なコンバットショットガンと、ダメージとアーマー破壊能力が上がるが1発ごとにリロードが必要なお馴染みのスーパーショットガンに切り替えできます。 さらに、アップグレードによって独自の特性を獲得し、時にはプレイヤーを笑顔にするようなシナジーも生まれます。
例えば、ロケットランチャーは爆発に巻き込まれると自傷ダメージがありますが、そのダメージが回復に変わるアップグレードが存在し、近接攻撃と組み合わせることで、HPと弾薬を同時に回復できる強力なコンボが可能になります。そのため、スレイヤーがロケランを構えながらゼロ距離まで近づいてくるというデーモンが泣いてしまいそうなシチュエーションが発生します。

ついでに近接攻撃を敵が炎上してアーマー回復をドロップしつづけるというフレイル用アップグレードも採用したら、HPもアーマーも弾薬も回復するという地獄のシナジーが生まれます。スレイヤーの殺意マシマシです。

この他にも脳汁が止まらないシナジーはたくさんあり、この武器をアップグレードしたらどんなシナジーが生まれるだろうと気になって、各ステージの探索もモチベを保ち続けられました。 戦闘中の近接と銃撃のバランス、戦闘の盛り上がりとマッチするBGM、戦闘と探索の緩急、どれも絶妙なバランスで終始楽しむことができました。
不便な要素とガッカリだった要素
しかし、本作にも改善の余地がある点が存在します。

最も気になるのがマップです。3D形式で表示される広大なマップは縮小できないせいで全体像を画面に収めることができず、現在地と目的地の把握が困難で、方角の表示やピン機能もないため、探索の際の道標として機能を果たしきれていません。特に縦方向に広がるエリアでは、マップの回転操作が必要となり、かえって混乱を招くことがあります。
一応、ストーリーの次の目標地点はアイコンが表示されているので迷子にはなりづらいですが、探索しないのならば気にならないレベルです。

もう一つの課題は、ドラゴンステージです。ドラゴンにまたがって高速飛行による追跡や探索は魅力的ですが、ドラゴンで空を羽ばたいていたはずが、戦闘では急に敵の攻撃にあわせて回避をするだけの単純なリズムゲーに切り替わってしまいます。

筆者はドラゴンと敵の戦闘機とのドッグファイトを求めていたのですが、実際はただの固定砲台でした。おそらくはドッグファイトが苦手なプレイヤーを考慮してこの形になったのかもしれませんが、本作の目玉要素だけに、より深い戦闘システムが望まれました。
ただし、マップは気合でカバー、ドラゴンは特定ステージのみなので、これらの不満点は本作の核となる戦闘体験を大きく損なうものではありません。
総評:幸せだった先行プレイ期間
総じて『DOOM: The Dark Ages』は、シリーズのDNAを色濃く受け継ぎつつ、重厚な近接戦闘という新たな魅力を開花させた快作です。探索や一部ステージ構成に惜しい点はあるものの、ひとたび戦闘が始まれば、そんな不満も吹き飛ぶほどの興奮と達成感が待っています。悪魔を蹂躙する純粋な喜びを求める全てのプレイヤーに、自信を持っておすすめできる一本です。
DOOM最新作『DOOM: The Dark Ages』は5月15日にPC / PS5 / Xbox Series X|S向けに発売。価格は通常版が9680円,2日間のアーリーアクセスができるPremium Editionは1万3750円です(いずれも税込)。
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