木曜日, 5月 22, 2025
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『8人の女たち』フランソワ・オゾンと豪華スターが紡いだ、50年代美意識とマイノリティ


『8人の女たち』あらすじ

8人の女たちの紹介ページです。1950年代のフランスの田舎町。雪に閉ざされた大邸宅にクリスマスを祝うべく家族が集まっていた。だが、メイド・ルイーズが一家の主・マルセルの寝室に朝食を持っていくと、マルセルが何者かに殺されているの発見する。警察を呼ぼうにも電話線は切られ、外は大雪で車も動かせない。被害者の老母マミー、妹のピレット、妻のギャビー、その妹でオールドミスのオーギュスティーヌ、長女のスゾン、次女のカトリーヌ、メイドのルイーズ、家政婦のマダム・シャネルと、邸宅に居合わせた8人の女たちには各自彼を殺す何らかの動機があり、犯人捜しは紛糾するが……。

索引

意識したのは50年代「ニュールック」


 日本でミニシアターブームが続いていた2002年。小規模ながら個性的でセンスが光る映画を求め、観客たちは劇場の前に列をなしていた。その盛り上がりを示すヒット作品の一つとして多くの観客の記憶に残っているタイトルに、豪華キャストとオシャレなファッションが話題を呼んだ『8人の女たち』がある。

 すでに、フランス本国では『アメリ』(01)を抜くオープニング記録を樹立し、8人の主要キャスト全員が「芸術貢献賞」として「銀熊賞」を受賞するという異例の出来事が話題となっていた。日本でも、1950年代を舞台としたクラシカルで鮮やかな色合いの服装に身を包んだ女優たちの共演に、胸をときめかせた観客は多かった。

 ここでは、そんな本作『8人の女たち』の知られざる魅力にフォーカスし、現在の目で見ることでより分かりやすくなった、作品の真価を掘り起こしていきたい。

 カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、イザベル・ユペール、ファニー・アルダン、ヴィルジニー・ルドワイヤン、リュディヴィーヌ・サニエ、ダニエル・ダリュー、フィルミーヌ・リシャール(公式掲載順)という、まさにオープニングで映る花々に象徴されるように、それぞれが主役を張れる華やかな顔ぶれを集めたことが、まず本作の快挙である。オファーは難航したというが、カトリーヌ・ドヌーブの快諾が得られると、スムーズにキャスティングが進んだのだという。

『8人の女たち』(c)Photofest / Getty Images

 監督のフランソワ・オゾンは、フランスの劇作家ロベール・トマ作の戯曲を基に、登場人物の関係や演出を大幅に変更し、残酷さを強調して脚本を書いたと語る。彼曰く、1950年代は女性の服装が最も美しい時代で、クリスチャン・ディオールの「ニュールック」を意識したのだとか。1940年代後半から50年代にかけて、ウエストがくびれたブーケ(花束)のようなフェミニンなフォルムが、オゾンの美意識にうったえかけたのだ。

 以前、筆者はフランスのアニメーション監督のミッシェル・オスロにインタビューをした。その際、ロングドレスの優美さを表現したいがために、『ディリリとパリの時間旅行』(18)の舞台をベル・エポックにしたと語っていたことが印象に残っている。同じフランスの監督でも、ファッションの最もアイコニックな時代への認識が異なっているところが面白い。

 本作では、衣装デザイナーのパスカリーヌ・シャヴァンヌが、それぞれの役柄に合ったオリジナルの衣装をデザイン。ニュールックに加え、ハリウッドの黄金期などで活躍した大物衣装デザイナー、イーディス・ヘッドの映画衣装を参考に、花畑のように多彩な色で俳優たちの個性を表現しつつも、ややくすんだ色合いに調整することで、全体の調和をとっている。

オゾン監督のクラシカル志向

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編集部の感想:
『8人の女たち』は、豪華キャストと1950年代の美意識が見事に融合しており、視覚的にも楽しませてくれる作品です。オゾン監督の独自の演出が登場人物たちの複雑な感情を際立たせ、深いドラマを生み出しています。ミニシアターブームの中で多くの観客が心を奪われたのも納得の、魅力的な映画です。

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