金曜日, 5月 16, 2025
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『魔物(마물)』はただの“マクチャンドラマ”ではない 塩野瑛久が成立させた“ありえない男”


 現在放送中のドラマ『魔物(마물)』(テレビ朝日系)は、テレビ朝日が韓国の制作会社「スタジオ・SLL」とタッグを組み、『主君の太陽』などのチン・ヒョクや、『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)などの瀧悠輔、『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(東海テレビ・フジテレビ系)などの二宮崇が監督を務め、『星から来たあなた』(Prime Video)でリメイク作品も手がけている関えり香が脚本を担当した話題作だ。

 ドラマの冒頭から、女性弁護士の華陣あやめ(麻生久美子)が、自らが被告として法廷に立ち、「あれは……なんのために犯した罪だったんだろう」とつぶやいているシーンから始まる、センセーショナルな作品になっている。

 それから物語は1年前にさかのぼる。あやめは女性団体が主催するDV被害セミナーのパネラーもしているような弁護士であり、そのイベントで源夏音(北香那)と出会う。あやめは「暴力をふるう夫とは手っ取り早く別れたらいい」と夏音に接するが、夏音からは「先生にはわからないでしょう」と意味深に言われてしまう。

 最初から、あやめが暴力に対しては、きっぱりとNOと言える人であることがわかるシーンである。

 しかし、彼女を揺るがす人物が現れる。夏音の夫であり、彼女に暴力をふるっているという夫の源凍也(塩野瑛久)だ。

 凍也は夏音が酔っぱらって、自分が暴力をふるわれた嘘の電話をしたとあやめに告げる。そのとき、ふいに暴走してきた自転車とぶつかりそうになったあやめを凍也が助けたことで、あやめはそのぬくもりが忘れられなくなる。

 第1話の前半を観ただけでも、このドラマが韓国の「マクチャンドラマ」(韓国のドロドロの愛憎劇)を、日本と韓国の合作のオリジナルでやろうとしているのがわかる。

 このドラマで重要なのが、元は恋愛に惑わされないと思っているあやめを惑わす凍也の存在感、そしてそんな彼女がおぼれてしまうに足るという説得力だろう。

 凍也を演じる塩野は、2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』一条天皇役が記憶に新しい。一条天皇は、『源氏物語』の中の桐壺帝のモデルとされており、『光る君へ』の中では、藤原定子(高畑充希)と藤原彰子(見上愛)というふたりの女性への愛がたっぷり描かれていて、ラブシーンの美しさと色っぽさが際立っていた。

塩野瑛久、『光る君へ』一条天皇は役者人生を変えるハマり役に 秀逸で繊細な感情の揺らぎ

NHK大河ドラマ『光る君へ』で塩野瑛久演じる一条天皇は、『源氏物語』の登場人物に自分の心情を重ね、物語の展開に関心を寄せている。…

 とはいえ、『魔物(마물)』のような危険な感じとはまた違ったものがあった。

 『光る君へ』の後、塩野は『無能の鷹』(テレビ朝日系)に出演。この作品では、気弱で無能そうと思われてしまうこともある新入社員の鶸田道人を演じていた。髪型や表情、佇まいからして、あの『光る君へ』の一条天皇と同じ人とは気付かない人もいるほどだったとか。

 2025年は『五十嵐夫妻は偽装他人』(テレビ東京系)に出演。こちらは、インテリアメーカーに勤める次長・五十嵐直人を演じ、離婚を考えている妻と同じ会社で働く中で、偽装他人を演じながらも愛情を再確認する様子を表現していた。

 DMM TVで配信中の『幸せカナコの殺し屋生活』では、殺し屋として後半に登場。主人公の殺し屋ののん演じる“ホワイトな殺し屋企業”に就職したカナコの前に現われ、彼女に告白するときの、無表情で心の入っていないキャラクターが面白い。顔はほとんど見えないが、アクションシーンをスタントなしでやっている姿にも注目の一作であった。

 そこからの『魔物(마물)』なのだが、塩野演じる凍也は、香那という妻がいて、しかもその妻に暴力をふるっているかもしれないという事実も知ってはいるのに、あやめは、彼に惹かれることにブレーキをかけることができない。

 当初は、唐突に始まるふたりのラブシーンに、ともすれば不自然なものを感じてしまっていたが、観ていくうちに物語とドラマの空気感に引き込まれてしまい、そんな「ツッコミ」目線も自ずと引っ込んでしまっていた。これは、よくあるマクチャンドラマや、日本にもある愛憎劇を、「ありえない話」であるからこそ、面白がって観ている感覚とは違うものがある。もう少し、前のめりで物語に入り込んでしまった感覚だ。





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編集部の感想:
ドラマ『魔物(マモノ)』が描く人間関係の複雑さに心惹かれます。刑事事件を背景にしたラブストーリーは、視聴者を引き込む新しい展開が期待できそうです。塩野瑛久さんの演技が、キャラクターの魅力をさらに引き立てているのも興味深いポイントです。

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