
筆者にとって『遊戯王OCGデュエルモンスターズ』はそのひとつだ。
社会人となり、独立して起業、さらに結婚をして、10年以上はカードに触れていない。
今回はそんな筆者でも“『遊戯王』のオフ会を楽しめるのか?”を調査する企画だ。
トレーディングカードゲーム自体は大好きだが、デッキは持っていないし、最近のカードのことは何もわからない。そうだ、生成AIにデッキを作らせるのはどうだろう。
“前半 -準備編-”では生成AIでデッキを作る様子を、“後半 -当日編-”ではオフ会のレポートを記述する。
結論を先に言うと、すごく楽しかった。
前半 -準備編-
- 誰でも知っている懐かしいカードを使う
- 発動条件が難しいカードを使う
今回は、上記のどちらかひとつをコンセプトに据えたいと考えた。
“誰でも知っている懐かしいカード”とは《ブラック・マジシャン》や《青眼の白龍》といった原作で活躍したカード。“発動条件が難しいカード”は《大革命》などのロマンカードが思い浮かんだ。
せっかくなので、生成AIに無茶ぶりをしてみる。
両方のコンセプトをひとつのデッキにするように、ChatGPTに指示してみた。
ざっくりとしたデッキの方向性を提示してくれた。
(あと丁寧にデッキ名まで考えてくれた)
コンボ例では、それっぽいカードが列挙されていて、《トレジャー・パンダ》で《大革命》の発動条件を満たす方法が提案された。
ちなみに《マジシャンズ・ソウルズ》は効果が間違っていた。実際は魔法・罠を墓地に送る効果なので、《逃げまどう民》を墓地に送ることはできない。
さっそくハルシネーション(AIが間違った情報を生成する現象)を食らったわけだが、《ブラック・マジシャン》のコンセプトを維持しながら、《トレジャー・パンダ》用の、魔法カードを墓地に溜めるアイデアを提示してくれたのだと解釈した。
わかればよろしい。
(機械学習に貢献してしまった)
どうやら「デッキリストも作れるよ!」とのことなので、お願いしてみた。
それっぽいものが出てきたが、このままでは使い物にならない。
(よく見ると、《大革命》が魔法カード枠になっている…)
その後、何回も指摘&指示をくり返して、出力したのがこちら。
なかなかよさそうなので、試しに『遊戯王 マスターデュエル』で使ってみたところ、初動の枚数が少なく、安定感に欠けていた。追加の初動となる《原石竜アナザー・ベリル》や《マンジュ・ゴッド》の採用を検討した。
また、《トレジャー・パンダ》を軸にした「墓地に魔法カードを溜める」という方向性が、環境の速度についていけておらず、あまりにも悠長だと感じた。
そこで、現状のデッキリストに違和感なく組み込める《高等儀式術》(デッキから墓地に通常モンスターを送れるカード)を採用して、《未来への思い》で《大革命》に必要なモンスターを一気にフィールドに並べるコンボを組み込んだ。
完成したデッキはこちら。
昔、『遊戯王』を遊んでいた方々は、《大革命》というカードにどのような印象をもっているだろうか。
「こんな発動条件、満たせるわけがない」
そう思うかもしれないが、いまは容易に発動条件を満たせてしまう。
今回のオフ会の目的は“自分のコンボを決めること”ではなく、あくまで“対戦相手との交流”だ。
結果的に、生成AIが作った今回のデッキは、最速で《大革命》の発動を目指すのではなく、対戦相手との攻防(交流)を楽しんだうえで、“奥義”として《大革命》を狙えるようになった。
後半 -当日編-
今回参加するオフ会の“第8回 AAオフ”は、800名規模ということもあり、天井も高く、広々とした会場で行われた。
便宜上の開会式はあったものの、その前から交流を始めているテーブルもあった。
全体的に、運営側の関与は最低限に留められており、「時間たっぷりに交流を楽しんでほしい」という主催側の意思を感じた。
開会式直後にさっそく勇気を出して、参加者に声をかけてみる。
「ぜひお願いします!」
難なく、対戦相手の確保に成功した。
(拒否されないか心配だったので、思わず笑みがこぼれる)
対戦相手のデッキは【氷結界】と【相剣】を合わせた水属性が主体の構成のようだ。
先攻のこちらのターンで《青眼の白龍》を場に出したのだが、相手のターンでは《氷魔龍 ブリューナク》で一瞬で手札にバウンスされてしまう。
(ブリューナク? ……こいつ昔、見たことある気がするが…なんか姿が違うぞ)
さらに《相剣大師-赤霄》や《相剣大公-承影》など、つぎからつぎへとモンスターが展開されて、地獄のような盤面に。
筆者の知らないカードがどんどん出てくる。
ただ、対戦相手が、カードの効果を丁寧に説明をしてくれたので、困ることはなかった。
またもや、すごく強いカードを出された。
なんか……「破壊できない」って書いてあるんですが……。
絶体絶命だったが、相手のモンスターをリンク召喚の素材として代用できる《閉ザサレシ世界ノ冥神》を出すことで、何とか突破した。
カードの選択肢が多く、知恵を絞れば何とかなるのがいまの『遊戯王』の楽しみかもしれない。
そして、なんとつぎのターンで《弾圧される民》《逃げまどう民》《団結するレジスタンス》の3体を場に揃えて、《大革命》を決めることに成功した。
まさかの復帰1戦目で“奥義”を決めてしまった。
対戦後に談笑を終えて、席を立つと、すかさず別の方から「対戦しませんか?」と声をかけられる。
「(え! まじで!?)もちろんお願いします!」
初戦の興奮が冷めやらぬなか、つぎの対戦相手も確保できてしまった。
安心したのも束の間、先攻の相手に《七精の解門》から《光なき影 ア=バオ・ア・クゥー》《サイバー・エンジェル-那沙帝弥-》を含めたモンスター4体という、強すぎる盤面を作られてしまう。
すかさず、知らないカード《光なき影 ア=バオ・ア・クゥー》のテキストを確認する。
どうやら、こちらのターンでも(こちらの)カードを破壊して、エンドフェイズまで除外ゾーンに逃げられるらしい。
(いや、コイツ強すぎでは??)
だが、こちらの初手も強い。
《トイ・ボックス》と《マジシャンズ・ソウルズ》の初動を決めて、《青眼の白龍》《トイ・ソルジャー》《御影志士》(《天獄の王》をサーチ)の盤面を作る。
《青眼の白龍》の攻撃で《光なき影 ア=バオ・ア・クゥー》を倒そうとしたが、バトルフェイズに入る前に、効果で逃げられてしまう。
《光なき影 ア=バオ・ア・クゥー》を倒す機会を失っただけでなく、墓地の《チョウジュ・ゴッド》を蘇生されて、手札枚数の補充もされてしまう。
とはいえ、バトルフェイズで相手のモンスター3体を戦闘破壊。
メインフェイズ2では、戦闘済みの《御影志士》を素材にして《天霆號アーゼウス》をエクシーズ召喚。
さらに《青眼の白龍》と《トイ・ソルジャー》で《照耀の光霊使いライナ》をリンク召喚して、対戦相手の墓地の《チョウジュ・ゴッド》を奪って特殊召喚する。
これがまさかの友情コンボとなり、筆者のデッキのキーカードである《イリュージョン・オブ・カオス》と《高等儀式術》が同時に手札に加わる。
いまの『遊戯王』は「1ターンが長い」というが、まさにそのとおりで、こちらのメインフェイズ2はまだ続く。
先ほど手札に加えた《高等儀式術》を発動して、《弾圧される民》などのモンスターを墓地に落とし、次ターンの《大革命》の“仕込み”をした。
残った《照耀の光霊使いライナ》と《チョウジュ・ゴッド》は《神聖魔皇后セレーネ》となり、《アクセスコード・トーカー》までつながった。
相手フィールドのラスボスである《光なき影 ア=バオ・ア・クゥー》は倒せなかったが、こちらも《天霆號アーゼウス》に加えて、相手の効果を無効にする《イリュージョン・オブ・カオス》を並べて、けん制するには十分な盤面を作った。
その後、いろいろな攻防のなか、《天霆號アーゼウス》の効果で盤面を全て破壊して、状況はほぼ互角に。
ただ、対戦相手の墓地にある《サイバー・エンジェル-那沙帝弥-》は(墓地から)「こちらのモンスターのコントロールを奪う」という効果を発動できるので、フィールドだけを警戒すればいいわけではなく、厳しい状況だ。
ここで1戦目でも大活躍してくれた《閉ザサレシ世界ノ冥神》をリンク召喚する。
墓地からの効果を無効にする効果がとても強く、見事に勝利できた。
対戦終了後に教えてもらったら、“無限に攻撃力を上げるコンボ”を内蔵したデッキとのこと。
(対戦相手も“奥義”を狙っていたのか…)
お互いにコンボデッキでありながらも、質実剛健なシーソーゲームになり、一方的ではないコミュニケーションのある戦いを楽しめた。
ここで少し休憩。
なんと、この日は『遊戯王OCG』の新パック『DUELIST ADVANCE』の発売日でもあった。
オフ会の会場内にはカードラボとBIG MAGICが協賛として出店していたので、発売したばかりの新パックを買ってみた。
購入したパックから出てきた《原石融合》《原石竜ネザー・ベルセリウス》。
筆者のデッキは【原石】カードを使っているので、さっそく組み込んでみる。
オフ会の後半戦は、強化されたデッキで戦う。
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その後も、会場を散策していると、ありがたいことに「対戦しませんか?」と何人も声を掛けてくださった。
また、こちらから声を掛けたとしても、断られることはなく、時間を忘れて対戦を楽しんだ。
総評:どんな形で作ったデッキでもオフ会は楽しかった
#AAオフ お疲れ様でした!
10年ぶりの遊戯王オフ参加
chat GPTで生成したデッキで出場
2回に1回は《大革命》決まって面白かった!
取材記事の”企画”としての単独参加でしたが、イベント中は「対戦しませんか?」と頻繁に声をかけてくださって、ぼっちになることはありませんでした
マジで神だった pic.twitter.com/HlhgFD4Nbi— 小川翔太@編集者/eスポーツ取材 (@oga_5648) April 27, 2025
対戦後の交流を経て、SNSでつながる場面もあり、その日だけの出会いだけでなく、一生の『遊戯王』の友達を見つけられる機会にもなった。
(この年齢になると、共通の趣味の知り合いと出会う機会も減るので……貴重だ)
今回は生成AIでデッキを作ったが、もちろん自分で作ってもOKだ。
皆さんも、お盆休みや年末休みなどの長期休暇で、実家に帰省した際、押し入れからカードを発掘して、オフ会用のデッキを作ってみるのもいい。
最近の『遊戯王OCG』はカードが強くなりすぎていて、カジュアルでは遊びづらいという意見もあるが、それは捉え方次第だろう。
10年ぶりに復帰する際、「いまの遊戯王はインフレしてるから注意したほうが良い」と助言をされたが
どちらかというと”前提”が変わったなと
どのテーマ・カードも「手札誘発1~2枚食らいつつ制圧盤面を立てられること」が前提にデザインされていて…— 小川翔太@編集者/eスポーツ取材 (@oga_5648) April 27, 2025
生成AIでのデッキ作成もおもしろかったが、マイナーなカードにはハルシネーションが多く発生するので、ある程度のカード知識は必要だと感じた。
自分ひとりでは出せない奇々怪々なアイデアも出るかもしれないので、興味のある人は試してみてほしい。
イベント詳細(撮影協力)
『遊戯王』オフ会は生成Aiで作ったデッキでも楽しめるのか? 検証したらすごく楽しかった。
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