土曜日, 5月 17, 2025
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『小市民シリーズ』小佐内さんの“爆弾”を見逃すな 羊宮妃那の演技力に感じ入る


 米澤穂信の学園ミステリ『〈小市民〉シリーズ』(創元推理文庫刊)を原作にしたTVアニメ 『小市民シリーズ』第2期が4月からスタートしている。原作の『秋期限定栗きんとん事件』を描くエピソードから始まって、最終巻となる『冬期限定ボンボンショコラ事件』へと進んでいく。

 注目は5月17日放送の第17話「ふたたびの秋」。原作どおりなら、今まで描かれてきた連続放火事件の真相が明かされるとともに、小佐内ゆきという少女の感性が露わになって観る人の心をかき乱す。

『小市民シリーズ』の展開を振り返る

TVアニメ『小市民シリーズ』第2期オープニング映像|ヨルシカ「火星人」

 中学時代に持ち前の推理力を発揮して謎を解き明かし、注目を浴びていた小鳩常悟朗だったが、ある一件をきっかけに目立たずひっそりと生きる「小市民」でいようと決意する。小佐内ゆきも同じように鋭い感性を封印し、共に進んだ船戸高校でいっしょにスイーツ巡りをするような平凡な日常を送り始めようとする。

 ところが、小鳩がちょっとした謎解きに巻き込まれては、見事に解決してしまう。ここから小鳩を探偵役に、小佐内がバディとなって事件に挑むラブコメチックな学園ミステリが始まるのか。そう思わせて、第3話「ハンプティ・ダンプティ」で小佐内の“本性”めいたものを見せて、スイーツが登場するからといって作品世界が甘いものではないことを突きつける。

 第1話「羊の着ぐるみ」で小佐内は、小鳩といっしょに買いに行って自転車のかごに入れていた春期限定のいちごタルトを、自転車泥棒によって台無しにされる。第3話で誰がどうして自転車を盗んだのかが、小鳩の推理によってはっきりしてきたとき、「この辺で終わりにして、もう帰ろう」と誘う小鳩に小佐内が見せた反応がどうにも凄まじい。

 「終わりにする? ううん、小鳩くん、これからじゃない、せっかく尻尾を掴んだんだもん」。そう静かに呟く小佐内の声は、そこまでの無邪気さや幼さが消えて冷え冷えしたものになった。映像のほうも、街道沿いの木の下だった場所が橋の上へと変わり、背景も真っ赤に染まって、観ている人に異界へと引きずり込まれたような感覚を与えた。

 そして、振り向いて「償ってもらわないと」と言う小佐内のそこまで見せてこなかったような微笑みが、小佐内という女子の“正体”を分からせた。執念。あるいは執着。そこから生まれる感情や言動がもたらすことになるかもしれない事態を、小鳩は恐れた。

 この後の『夏期限定トロピカルパフェ事件』で、「小市民」であるために“封印”していた感情を解き放っていく小佐内に小鳩が苦慮する。結果、はた目には付き合っているように見えた小鳩と小佐内の関係が崩れ、小鳩は告白してきた仲丸十希子と付き合い始める。小佐内も声をかけてきた下級生の瓜野高彦と付き合うようになる。TVアニメの第2期はそこから始まった。

海外勢も驚愕 小佐内さんの恐ろしさ

TVアニメ「小市民シリーズ」第2期 第1弾PV【秋期限定栗きんとん事件】|2025年4 月5日(土)より放送開始!

 まず描かれるのが、高校の周辺で発生する連続放火事件に新聞部の瓜野が挑み、犯人を捕まえようと奮闘するストーリーだ。功名心に駆られて突っ走るようなところがある瓜野には少し辟易とさせられるが、誰も読まない校内新聞に注目を向けさせたい、小佐内にも良いところを見せて褒めてもらいたいという思いから頑張っていると思えば、認められないもこともなかった。

 その瓜野の探究心が、意外な方向へと進んだことで緊張感がグッと高まる。火を付けているのはもしかしたら……。そんな疑念を裏打ちするような要素が散りばめられていった先で、いよいよ真相が暴かれると思われた第16話「真夏の夜」を観て、国内のみならず全世界に衝撃が走った。

#shoshimin 1つの会話を中心とした絶対に素晴らしいエピソードで公園からそれをノックアウトします!オサナイは、このような不安な方法で、ウリノの事件に対する完全な認識と彼自身の知性を完全に破壊します!編集、音声演技、全体的な方向性の真のマスタークラス https://t.co/glu8ztnp8c pic.twitter.com/ojmi55rq25

– evan(@harrisharrisev9) 2025年5月11日

Osanai utterly destroys Urino’s entire perception of the case and his own intellect in such an unsettling way! (小佐内は、瓜野の事件に対する認識と彼自身の知性を、あまりにも不穏な方法で完全に破壊し尽くしています)

 ポストされたこの一文だけでも、何か恐ろしいものの片鱗を味わわされたことが伺える。


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 小佐内というキャラが第3話で露わにした“本性“がここで働いたのだとしたら、気になるのはなぜ付き合っていたはずの瓜野にそれが向かったのかという点だ。第17話「ふたたびの秋」で小鳩によって解き明かされるのがその答え。観たら誰もが驚き、そして第13話「とまどう春」を観返さずにはいられなくだろう。

 そこでは、放課後の遅くに新聞部の部室を出た瓜野が、夕陽の差し込む廊下で待っていた小佐内と出会うシーンが描かれた。小佐内は遅くまで彼氏を待つくらいに瓜野を気に入っていたのかと思いたくなるが、直後に繰り広げられるあるやりとりを境にして、一気に不穏な空気が漂い始めることに改めて気付く。

 詳細は観て確かめてもらうとして、TVアニメはここで映像面を細工することで不穏さを倍加させている。一連のシークエンスでは、廊下には窓から夕陽が差し込んでいて、小佐内はその中に立っているが、瓜野はずっと陰の中にいる。ふたりの関係が微笑ましいカップルといったものではなさそうだと感じさせる演出だ。

 原作では、小佐内は瓜野を残して帰っていこうとして、その際に1枚のレシートを瓜野に渡す。「ほとんど晴れやかと言ってもいいほどに、笑っていた」小佐内が、くるりと身を翻しながら肩越しにレシートを落とし、それを瓜野が拾っている間に小佐内はいなくなる。これがTVアニメでは、小佐内は瓜野と向き合ったまま手からレシートを落とし、拾おうとする瓜野を微笑みながら見下ろす場面でシークエンスが終わる。

 第3話「ハンプティ・ダンプティ」でも示されたように、小佐内が笑うときにはそこに何かがうごめいている。背の高い瓜野をずっと見上げていた小佐内が、見下ろすかたちになったことも、世界がガチャリと世界が変わったことを暗示する。その真相が、第16話での衝撃を経て第17話で満天下に示される。前週以上の衝撃が世界に走るだろう。

 原作を読んで展開を知っている者には、“あのセリフ”がどのようなトーンで放たれるのかが気になるだろう。そして、小佐内という存在の底知れ無さを知り、そんなキャラを演じてのけた羊宮妃那の凄さに感じ入るだろう。

 この後、TVアニメは原作の『冬期限定ボンボンショコラ事件』に当たるエピソードが描かれることになる。大学受験を控えた小鳩の身に起こった重大なアクシデントの真相究明に絡んで、中学時代の小鳩と小佐内が直面した事態が描かれる。そのときの手痛い経験から「小市民」であろうと決めた小鳩と小佐内が、高校で「小市民」で収まらない言動を繰り広げ、挙げ句に一度は崩壊した関係を取り戻した先で謎解きに挑んだ果て。共に牽制し合うような関係から、補うような関係になっていくふたりの将来に、強く興味を誘われるだろう。

■放送情報
『小市民シリーズ』
テレビ朝日系全国24局ネット“NUMAnimation”枠ほかにて、毎週土曜25:30〜放送
各配信プラットフォームにて配信
キャスト:梅田修一朗(小鳩常悟朗役)、羊宮妃那(小佐内ゆき役)、古川慎(堂島健吾役)、上西哲平(瓜野高彦役)、宮本侑芽(仲丸十希子役)、山下誠一郎(氷谷優人役)
原作:米澤穂信(創元推理文庫 刊)
監督:神戸守
シリーズ構成:大野敏哉
キャラクターデザイン:斎藤敦史
サブキャラクターデザイン・総作画監督:具志堅眞由
色彩設計:秋元由紀
美術監督:伊藤聖(スタジオARA)
美術設定:青木智由紀 イノセユキエ
撮影監督:塩川智幸(T2studio)
CGディレクター:越田祐史
編集:松原理恵
音楽:小畑貴裕
音響監督:清水勝則/八木沼智彦
音響効果:八十正太
アニメーションプロデューサー:渡部正和
ラインプロデューサー:荒尾匠
アニメーション制作:ラパントラック
OPテーマ:ヨルシカ「火星人」
EDテーマ:やなぎなぎ「SugaRiddle」
Ⓒ米澤穂信・東京創元社/小市民シリーズ製作委員会
公式サイト:https://shoshimin-anime.com/

公式X(旧Twitter):@shoshimin_pr (https://twitter.com/shoshimin_pr)





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編集部の感想:
『小市民シリーズ』の第2期が始まり、小佐内のキャラクターが持つ複雑さに驚かされました。羊宮妃那さんの演技力が、彼女の内面的な葛藤を巧みに表現しており、視聴者を引き込む魅力を感じます。今後の展開が楽しみであり、彼女の成長がどのように描かれるのか期待しています。

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