HoYoverseは現地時間5月7日、『原神』公式サイトにて、米国のプレイヤーに向けて5月20日までに年齢確認プロセスを導入すると発表した。このことを受けて海外メディアPolygonなどは、米国で「16歳未満のユーザーが保護者の同意なしに課金機能を利用できなくなる」可能性を伝えている。
今回『原神』公式サイトにて公開されたお知らせでは、米国のプレイヤーに対して現地時間5月20日までに年齢確認プロセスが導入されることが告知。ログイン時または新規登録時にすべてのプレイヤーに対して年齢確認がおこなわれていくという。年齢確認に必要な情報については今年7月18日までに提出することが求められており、確認がとれない場合にはアカウント停止やフレンドおよびチャット履歴の削除などがおこなわれる。さらに2026年7月20日までに認証を完了しなかった場合は、HoYoverseアカウントが完全に削除されることが伝えられている。
年齢確認プロセスが導入された背景には、米国FTC（Federal Trade Commission・連邦取引委員会）が、『原神』を運営するHoYoverseを擁するCOGNOSPHEREに対して今年1月におこなった指摘がありそうだ（関連記事）。FTCの1月18日の発表では、COGNOSPHEREが子供に向けてガチャ関連の積極的なマーケティング行為をおこなっていたという主張に基づき、COPPA（Children’s Online Privacy Protection Act・児童オンラインプライバシー保護法）に違反していると指摘。COGNOSPHEREが2000万ドル（約28億6000万円）の罰金を支払う和解案に合意したことが伝えられた。また、COGNOSPHEREは16歳未満の子どもが保護者の同意なしに少額課金機能を利用できないよう、措置を講じることなどについても合意したとされている。
COGNOSPHEREは合意の際の声明で、FTCの主張の多くは不正確だという見解を示しつつも、コミュニティの信頼やプレイヤーに対する透明性を確保するために和解に応じたと発表。未成年者向けの新たな年齢確認機能、および保護者の同意機能を導入し、米国のプレイヤー向けにゲーム内通貨や報酬に関する情報開示を強化すると述べていた。そうした背景もあり、今回年齢確認プロセスが導入されたわけだろう。
そして海外メディアPolygonなどは、現地時間5月20日からは『原神』において、「16歳未満のユーザーはひとりでガチャを購入できなくなるだろう（after age verification, they won’t be able to independently make the loot-box purchases）」との見解を伝えている。つまり年齢確認プロセスが導入されることで、16歳未満のユーザーに向けては課金機能利用時に保護者の同意を求める仕組みが実装される可能性があるということだろう。
先述のとおりCOGNOSPHEREは16歳未満の子どもが保護者の同意なしに少額課金機能を利用できないようにする措置をとると、FTCと合意していたとされ、1月時点で保護者の同意機能を導入する方針を発表していた。5月7日の発表では言及されておらず、いつどのような仕組みとして導入されるかは不明ながら、保護者の同意機能自体は今後導入が予定されているのだろう。
米国においてはこれまでFTCの指摘を受けて、Google PlayストアやApp Store、Epic Gamesストアなどが未成年者保護の観点で個人情報収集や購入システムの是正を求められてきた。そうした中で各ストアでは13歳未満のユーザーに制限アカウントを付与し、アプリの購入やアプリ内課金などをおこなう際に都度保護者の同意を求める設定などが用意されている。
ちなみに上述したうちEpic Gamesストアは、『フォートナイト』における未成年者からの個人情報収集や課金方法を巡ってFTCから指摘を受けていた（関連記事）。今回も単体のゲームである『原神』が名指しで指摘を受け、是正を求められている状況だ。ただし上述した例とは違って『原神』では16歳未満という高めの年齢制限が設けられており、ゲーム内にどのように保護者の同意機能が用意されるかは注目される。
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