『ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング』正直な感想を一言で言うと、なかぶ

シリーズの中で一番楽しめなかったかもしれません。というのも、これまでの作品が本当に面白すぎたんですよね。今回の『ファイナル・レコニング』は、いつもとは少し雰囲気が違っていて、観ながらずっと「なんか違うなぁ」と感じていました。そしてその中でも、一番気になったのは「無駄に感じるシーンが多かった」ことかもしれません。上映時間が169分もあるだけに、ある程度のボリュームは覚悟していたのですが、実際には会話や移動、説明のような場面が必要以上にゆっくり描かれていて、「この時間って本当に必要なのかな？」と思う箇所がいくつかありました。テンポがゆるくなるたびに集中力が切れそうになって、正直ちょっと眠たくなる瞬間もありました。それと、アクションシーン自体は迫力はありましたが、全体の流れとしては、以前のように次々と展開していくようなテンポの良さや、連続する緊張感がやや弱く感じられました。その分、テンポがゆるやかで、観ていて少し物足りなさを感じた部分もありました。あとは、あの3人──イーサン（トム・クルーズ）、ルーサー（ヴィング・レイムス）、ベンジー（サイモン・ペッグ）でチームとして動いていく感覚が、ほとんどなかったことも寂しく感じました。もともとこのシリーズって、3人がそれぞれの役割を果たしながら、ひとつのミッションを一緒に乗り越えていくのが魅力だったと思うんです。でも最近は、その“チームでクリアしていく感じ”がだんだん薄れてきて、特に今作では序盤でルーサーが離脱してしまったこともあり、ほとんどイーサン中心で話が進んでいく印象でした。潜水艦の中で“エンティティ”のコアモジュールを探すシーンも、印象に残る場面ではあったけれど、どうしても物足りなさを感じてしまいました。今回特に気になったのは、やっぱり“チームで息を合わせて、敵と駆け引きしながら進む”という流れがなかったこと。過去作では、そういうピンチの場面でこそ仲間との連携や駆け引きがあり、そこにミッション・インポッシブルらしさが詰まっていたと思うんですが、今回はほとんどそれが見られず、任務が静かに、単独で進んでいく印象でした。そのぶん、緊張感や高揚感がやや弱く感じられたのが正直なところです。そしてトム・クルーズ。肉体美は本当に素晴らしいし、アクションに対するストイックな姿勢も圧巻でした。年齢をまったく感じさせないパフォーマンスに、ただただ圧倒されましたし、そのひたむきさも含めて、やはりこのシリーズに欠かせない存在だと改めて感じました。そんなトムの魅力が健在だっただけに、なおさら今回は物足りなさを感じてしまったのかもしれません。全体として「つまらなかった」とまでは思わないけれど、これまでの“ミッション・インポッシブルらしさ”がだいぶ薄れていたのは確か。

シリーズの集大成だからこそ、もっとチームの良さや、詰め込まれたアクションと緊張感を味わいたかったなと思いました。