🧠 あらすじと概要:
『ミステリアス・スキン』は、過去のトラウマに苦しむ少年ニールを中心に描かれた物語です。彼の友人であるウェンディとエリックはそれぞれの視点からニールに向き合い、彼を支えようとします。ウェンディはニールの魅力や傷ついた心を理解しつつ、彼との距離感を保とうと苦悩します。一方、エリックは彼に思いを寄せつつも、彼の影響に振り回されていきます。
記事では、ウェンディの忠告や彼女のニールへの深い思いが描かれており、愛情と友情の複雑さが伝わってきます。特に、ニールの「惑星」としての存在が、周囲の「衛星」であるウェンディとエリックに与える影響について考察されています。物語を通じて、彼らの成長や葛藤が映し出され、視聴者に深い感情を呼び起こします。
全体として、この映画は友情、愛情、トラウマに踏み込む作品であり、観る者にさまざまな感情を与えることが特徴です。

ネタバレなしの(1)はこちら↓
「惑星」に振り回される「衛星」のよう、ニールの友人ウェンディとエリック。
ニールが「コーチとの秘密」を唯一打ち明けたのは、幼馴染のウェンディ(ミシェル・トラクテンバーグ)だった。
ニールに惹かれ、しかしただ友人として付き合い見守ることしか出来ないエリック(ジェフリー・リコン)
この2人がいなければ、ニールはどうなっていただろう。しかし、この2人の存在は必然であった。ニールが自らの力で、彼らを引き寄せたのだ。と、私は思う。象徴的なシーンがある。ウェンディが地元を離れニューヨークへ旅立つ時、真剣な口調でエリックに忠告するのだ。
正確な台詞は失念してしまったが、概ねの意味合いはこう。
ニールを好きになり過ぎないで。私も昔、彼が好きだった。でも振り回されてはダメ。
長年ニールの「親友」であるウェンディは、誰よりもニールの魅力を、引力を知っている。彼が破滅的な行動をとってしまいがちなのも知っている。そしてその理由も彼女だけは知っている。
だからこそ、この忠告は重い。
やがてニールも退屈な田舎を離れ、ニューヨークへ向かう。地元に残ったエリックは手紙を書く。しかしニールからの手紙は一向に届かない。
嘆くエリックにウェンディが掛けた言葉。
ニールは惑星で、私たちはその衛星なの。惑星が衛星を気にかけると思う?
特別な幼馴染であるウェンディにしか伝えられない感覚、言えない言葉。秘密を共有して、傷ついた彼を見つめ続けて、彼に恋をした。けれど思いは届かない、届くわけがなかったのだと悟る。だって彼は、8歳の傷に囚われ続けているから。彼は血を流し続け、それをかき消すように町中の男と寝て、酒を飲み、タバコをふかし、やたら陽気になる。いきなり不機嫌になる。目が離せない。どうしても惹きつけられてしまう。でもきっとこの気持ちは、単純な恋心ではない。ウェンディは賢い。何もかも飲み込んで、彼と共にいたのだ。苦しくなり過ぎないように、彼に魅せられるがまま自分の人生を疎かにしてしまわないように。そんな言葉を受けたエリックは、分かったような分からないような顔をする。戸惑う表情がリアルだ。こちらまで胸が痛くなる。諦めの混じった、それでいて清々しいようなウェンディの表情など、見ていられないほどだ。この悟りを得るまでの彼女の痛みや流した涙を、嫌でも想像してしまう。それでも「親友」で居続けるんだ。2人は。
だってニールは、それに値するから。
思いがけず長くなってしまったので、(3)に続きます。
Views: 0