人気ゲーム『マインクラフト』を原作とした実写映画『マインクラフト/ザ・ムービー』が、4月25日より日本公開中。好調な観客動員数を記録しており、全世界の累計興行収入はすでに1,250億円を突破している。(5月14日時点)
同作にかぎらず、最近では有名ゲームを原作とした映像化作品が次々と成功を収めている。次は一体どんなゲームが映像化されるのか、期待を込めていくつかの有名タイトルを取り上げていきたい。
ゲーム界のアベンジャーズになる? 『大乱闘スマッシュブラザーズ』
一口にゲームといっても、RPGのように物語性の強いものと、パズルやアクションゲームのように物語性がそこまで強くないものの2種類がある。そして『バイオハザード』や『サイレントヒル』といったシリーズが人気を博してきたことからも分かるように、これまでは物語性が強いゲームが映像化されることが多かった。
その一方、最近では『マインクラフト/ザ・ムービー』のように、物語性がほとんどないゲームが実写化されるケースも増えている。全世界興収1,900億円を突破した『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』はまさにその代表格だろう。
こうしたタイトルは無理に凝ったストーリーを盛り込まず、ゲーム体験をそのまま再現するようなエンタメ性の強い作りになっているのが特徴。作り方次第で、物語が売りではないゲームでも映像化できると証明してくれたのだ。
前置きが長くなったが、そんな流れで今こそ映像化に期待したいのが、“スマブラ”こと『大乱闘スマッシュブラザーズ』だ。最新作の累計販売本数が3,600万本を突破するほどの人気シリーズだが、今まで映像化されてこなかった。
同作は任天堂を中心に、各ゲーム会社を代表するキャラクターたちが乱闘を繰り広げるという内容。「大乱闘」モードがメインコンテンツで、ストーリー性にはそれほど重きを置いていない。
しかし同作のゲーム性はオリジナリティ抜群。ステージから叩き落とされたほうが負けとなるシステム、愉快なギミックが仕込まれていて刻一刻と変化するステージ、ランダムに湧いてくるアイテムが巻き起こす波乱……。パーティーゲームの要素と本気で熱くなる格闘ゲームの要素が融合している、唯一無二のタイトルだ。その体験を再現できれば、誰も見たことのない映像になるのではないだろうか。
そして、登場するキャラクターの豪華さも他のゲームにない特徴。マリオにドンキーコング、リンク、カービィ、ピカチュウ、ネスなど、ゲーム界のスターが勢ぞろいしている。もし映像化が実現すれば、ゲーム界の“アベンジャーズ”的な化け物コンテンツになるかもしれない。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』©2023 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.
もともと任天堂は自社作品の映画化などに厳しい姿勢だと言われていたが、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』や『名探偵ピカチュウ』といった成功作が出ている以上、もしかしたら……と思いたくなるのが一ファンとしての心理だ。
誰もがアウトローになれる『グランド・セフト・オート』
『スマブラ』同様、ゲーム体験を活かすかたちで映像化すると面白くなりそうなのが『グランド・セフト・オート』シリーズだ。
同作はロックスター・ゲームスが手掛ける大人気クライムアクションゲーム。とくに2013年に発売された『グランド・セフト・オートV』はオープンワールド史に残る傑作と言われており、累計販売本数は2億1,000万本を突破している。
治安の悪いアメリカの街を舞台に、さまざまな犯罪に手を染めながら成り上がっていくという設定だが、最大の特徴は自由度の高さ。とりわけバイオレンスな方向に特化した、さまざまな遊び方を満喫できる。
強盗やカーチェイスはもちろん、危ない薬を作って売りさばいたり、タクシー運転手になったり、株で荒稼ぎしたりと、まさにやりたい放題。常識にとらわれないアウトローの生き様を体験できるゲームなので、それを実写化するだけでも迫力のある映像になりそうだ。
ちなみにロックスター・ゲームスの設立メンバーだったダン・ハウザーは、アメリカのメディア「The Ankler.」にて、『グランド・セフト・オート』の実写化に向けた話し合いを何度か経験したことを明かしている。しかしリスクの高さやIPを守ることを考慮して、実現には至らなかったという(※1)。
とはいえひと昔前とは違って、数多くのゲームが実写化に成功している現在であれば、話は変わってくるのではないだろうか。
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今世界でもっとも映像化を期待されているゲームの1つといえば、やはりフロム・ソフトウェアの『ダークソウル』シリーズではないだろうか。
同シリーズは、シリアスで陰鬱なダークファンタジーの世界観を基調としたアクションRPG。強大な力をもつドラゴン、立派な鎧を身にまとった騎士たち、壮麗な魔術を操る魔女、そしてこの世のものとは思えない見た目をしたクリーチャー……。恐ろしくも魅力的な世界がそこには広がっている。
プレーヤーは剣や盾、弓や魔法などを操りながらフィールドを探索するのだが、最大の特徴は難易度の高さ。少し操作を誤っただけで即ゲームオーバーになる容赦ない戦闘システムで、スリルあふれる“命のやりとり”を体験させてくれる。
こうしたゲーム体験をそのまま映像に落とし込むだけで、第一級のファンタジー大作が出来上がるのではないだろうか。とくに実写作品にすれば、世界観の魅力が伝わりやすいはず。予算規模は大きくなりそうだが、ここ数年では『ウィッチャー』や『Fallout』、『THE LAST OF US』といった壮大な作品が実写ドラマとして成功を収めているため、決して夢物語ではないだろう。
なお、2023年には一部の海外メディアで「Netflix主導で『ダークソウル』のアニメが制作されている」という噂が報じられていた(※2)。公式発表は一切なく、その後続報は途絶えているが、こちらの動向についても気になるところだ。
壮絶な運命のラブストーリー『ファイナルファンタジーX』
ストーリー性を重視したゲームとしては、『ファイナルファンタジー』シリーズも忘れてはならない。中でも多くの人が映像化を期待しているタイトルといえば、2001年発売の『ファイナルファンタジーX』(FF10)が挙げられるだろう。
同作の物語は、主人公のティーダが巨大な魔物・シンの襲撃に巻き込まれ、幻想的な異世界「スピラ」に飛ばされるところから始まる。そこでティーダはシンに立ち向かう覚悟を決めた召喚士の少女・ユウナと出会い、彼女の旅路に同行することに。しかし長い旅のなかで、次々と衝撃的な事実が明らかとなっていく……。
FFシリーズでも随一と言われるほど完成度の高いシナリオ、美しい景色で彩られた世界観など、さまざまな魅力をもつゲームだが、とくに印象的なのはティーダとユウナの壮大なラブストーリーだ。その衝撃は発売から20年以上が経った今でも、多くの人の心に刻み込まれている。
なおFFシリーズの映像化といえば、2001年に公開された映画『ファイナルファンタジー』を思い出す人も多いかもしれない。同作はハリウッドのスタッフと当時のスクウェアが協力して手掛けた3DCGアニメで、きわめてハイレベルな映像に仕上がっていた。しかし興行面では振るわず、歴史的な失敗作として言及されることもある。
その失敗の原因としては、分かりやすい“FFらしさ”がなく、挑戦的なオリジナルストーリーだったことなどが挙げられる。だとすると召喚獣たちがド派手に活躍し、骨太なシナリオが用意されている『FF10』であれば、何の心配もなく映像化できるのではないだろうか(ちなみに映像配信もされた『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』はファンからも好意的に受け入れられた)。
ゲームの実写化が当たり前となった今こそリベンジを行い、日本を代表するRPGのポテンシャルを世界に知らしめてほしいと願うばかりだ。
以上、映像化されてほしい4つの有名ゲームを取り上げてきた。2025年から翌年にかけて、すでに『ゼルダの伝説』や『8番出口』などの実写化が決まっており、映像業界でゲームが占める位置はますます大きくなっていきそうだ。今後、どんなタイトルが映像化されていくのか楽しみでならない。
参照
※1。 https://theankler.com/p/dan-houser-absurd-ventures-hollywood-videogames
※2。 https://www.giantfreakinrobot.com/ent/dark-souls-anime-netflix.html
編集部の感想:
最近のゲーム映像化の成功は驚きです。特に『スマブラ』や『FF10』の映像化は、視覚的に楽しませてくれる新たな体験になるはずです。これからどの作品が映画化されるのか、非常に楽しみです!
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