水曜日, 5月 21, 2025
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『サンセット・サンライズ』感想:クドカン流、人間賛歌morikana

🧠 あらすじと概要:

映画『サンセット・サンライズ』あらすじ

映画『サンセット・サンライズ』は、震災から9年、そしてコロナ禍の影響を受けた2020年の世界を背景にしています。菅田将暉が演じる西尾は、大手企業に勤めるビジネスマンで、リモートワークをきっかけに三陸の漁師町に移住します。地元の住人たちとの交流を通じて、彼の生活がどのように変化していくのか、そして人々とのつながりを描いたストーリーです。

記事要約

この記事は、映画『サンセット・サンライズ』に対する感想を述べています。著者は、過去に映画を劇場で観る機会を逃してしまい、配信でようやく視聴した経緯があります。作品は震災やコロナをテーマにしていますが、あくまで宮藤官九郎の独特のスタイルが強調され、深刻さよりも軽妙なドラマが展開されます。登場人物たちの関係性や田舎町の温かい雰囲気が描かれ、理想的な人間関係が表現されています。著者は、クドカン流の人間賛歌を感じ取り、観る人に優しい感情を与える作品と評価しています。

『サンセット・サンライズ』感想:クドカン流、人間賛歌morikana

当時、劇場で観たかったのに、タイミングを逃してしまった作品。
配信が始まり、ようやく観ることができました。

東北の震災から9年、コロナ禍でロックダウンが起きていた2020年の世界観を下敷きに描かれた作品です。
菅田将暉の演じる、大手企業に勤める”西尾”がリモートワークを機に三陸の漁師町に移住してきて、地元の住人と交流していく筋書きです。

この映画、震災やコロナなどの象徴的なテーマ設定に惹かれて観た人のなかには、期待外れと感じる人もいるかもしれません。

本作は、あくまでも宮藤官九郎の新作なので、そこを踏まえて観たほうが良いのと、映画のタイトルが震災もコロナも関係なく「サンセット・サンライズ(陽はまた昇る)」だという点を、ぜひ念頭に置いて観ていただきたい。そんな映画です。

※文中の画像は公式サイトや予告動画から引用しています
https://wwws.warnerbros.co.jp/sunsetsunrise/

軽妙なドラマのノリで描かれる、三陸での生活と、人と人とのつながり

作品全体のディティールはほどほどに抑えられていて、軽妙なドラマをやるトーンになっています。いわゆるクドカン節というやつです。

たとえば、地元で暮らす人々の生活の描かれ方が、コロナ禍で経済がストップしたり色々あるはずなんだけど、そういった深刻さはあえて表立っては表現されません。

西尾の勤める「シンバル社」も、田舎の人が知っているくらいの超大手企業として描かれていますが、それにしては西尾自身にエリート感がないし、彼の職種も判然としない。
社長(小日向文世)がいち部門の業務に関わってくるのも、現実味のある展開には見えません。

井上真央が演じるヒロインの関野百香と父親役の関野章男(中村雅俊)との関係にもそれは現れています。
二人とも三陸の田舎の人の設定で、方言が強い言葉遣いをします。非常にわかりやすく田舎の人だとわかるキャラ付けがされているのですが、根っこのところに持っている価値観は都会的です。

移住者を積極的に受け入れたり、最終的に夫婦という形にこだわらない生き方を選んだりと、先進的な考えを自然に受け入れられるパーソナリティとして描かれています。

映画の2時間のなかで、二人の思想が大きく変化したようには表現されておらず、作品で描きたいテーマに合わせて、多少、理想化されている印象も否めません。

ただ、このあたりは、意図的にそう描かれているようにも思えました。

個人的に、クドカン作品は、あまりリアリティを重要視しないというか、テーマを直接的に捉えるのではなく、そこで生活する人の人間関係を描くことで、結果的に、テーマらしきものが背景として立ち上がってくることが多いと感じます。

そして、人と人とのあるべき関係性のようなものを、現実や論理を越えて、その場の雰囲気のなかに描いてしまうのが、魅力の一つでもあると思います。

西尾と町の人々との関わりや、百香と章男の親子を越えた関係性は、見ていて実に居心地よかったです。

町の仲間たちが集う小料理屋のウェルカムな雰囲気も、Theクドカンなノリで最高でした。みんなが思い描く「こうあって欲しい、理想の田舎町」の姿が温かく描かれています。



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