5月13日に発表された「Xperia 1 VII」。ディスプレイ解像度の変更やスピーカーユニットの刷新など大きなアップデートがあった前機種「Xperia 1 VI」と比べてマイナーアップデートのような印象があるかもしれないが、ソニーが長年注力しているAIを活用した撮影機能や、こだわりのイヤフォンジャックにさらに高音質部材を使用するなど、1シリーズならではのこだわりが詰め込まれている。
短い時間ではあるが、新機能を体験してきたので、オーディオビジュアル面と動画撮影機能について紹介する。
イヤフォンジャックにウォークマンと同じ部材採用で高音質化。スピーカーもよりワイドレンジに
オーディオ面で一番大きな進化がこのイヤフォンジャック部だ。ウォークマンの最上位モデル「NW-WM1ZM2/AM2」にも使われている、金を加えた高音質はんだを使用して伝送ロスを最小限に抑制。微細音の再現性が増して、広がりや定位感を向上させている。
また、非磁性の銅メッキを施した高音質抵抗を出力ラインに採用することで、磁気干渉による音の歪みを軽減し、伸びやかで透明感のある音質を実現したという。
前機種のXperia 1 VIでは、DACなどを含むオーディオICがより高性能なものへと変更。また基板上の配線設計も、オーディオ特性や音質を重視して、左右の音声信号の干渉やグラウンドの抵抗を低減するなどの刷新が行なわれていた。
新モデルの「Xperia 1 VII」は、そこに高音質部材を採用する形で、より音楽専用機の世界に近づける方針に。さらに、これまでの「Powered by BRAVIA」「Powered by α」に加えて新たに「Powered by WALKMAN」の表記を追加。ソニーの技術力の結束力を強化した。
実際に有線ヘッドフォンの音を聴いてみると、比較用の端末が2世代前の「Xperia 1 V」だったこともあり、明確な違いが見える。「つくし/にしな」では、ボーカルの後ろに流れるピアノの音が、鍵盤を叩いてから音が消えるまでの余韻が明確に感じられ、ドラムの低域の沈み込みもしっかりと深い。
「まつり/藤井風」では、出だしのピアノの音が明確に身体の周りを回っている感覚になる。低域の押し出しがパワフルなことも相まって、同じ音量にも関わらず、Xperia 1 VIIの方が音量を上げているような迫力が感じられる。イヤフォンジャックのないスマホに1万円程度のUSB DACを付けて有線イヤフォン/ヘッドフォンを聴くのであれば、Xperia 1 VIIの方が良いのでは、と思うくらいにはしっかりと鳴らしてくれている印象だ。
スピーカー部も前機種でユニットの刷新が行なわれたため、今回はチューニングをより最適化する形でアップデート。従来通りソニー・ミュージックエンタテインメント協力のもと調整されており、70Hz付近の低域が10%以上出力向上。200〜400Hzの中低域も約10%向上しているほか、高域側もレンジを拡大しているという。
スピーカーも2世代前のXperia 1 Vとの比較となっており、その違いは明確。「星座になれたら/結束バンド」はもう出だしの演奏の時点で背中側の空間が一気に広がったような感覚になる。
メリハリのあるボーカルが演奏の中から突き出てくるように聴こえるのも特徴で、「あなた/宇多田ヒカル」では宇多田の声の余韻がたっぷり感じられ、試聴時間が限られるなかでもついつい聴き続けてしまう。
聴き比べてしまうとどうしてもこのような評価になってしまうが、Xperia 1 Vも発売当時は「これならスマホスピーカーで良いかも」と思えるようなクオリティだった。今回は2世代違いでの比較だったが、着実な進化を感じることができた。
AI機能で動画撮影が手軽に
動画撮影向けの機能として新搭載されたAIカメラワークと、オートフレーミング。どちらも、「綺麗な映像として記録を残したいけど、ちゃんと自分の目でも見たい」という人生に一度しかないタイミングを見逃さないための機能とアピールしている。
AIカメラワークは、被写体の位置を画角のセンターなどに固定して撮影できる機能。撮影モードをAIカメラワークに切替、対象の被写体をタップしたあとに、画面右上のロックボタンを押すことで、準備完了。画角は超広角と広角が選べる。広く撮影した4K映像から切り抜き、フルHDで出力することで、できあがった動画の精細さも保っている。なお、画角から被写体が大きく外れてしまうと、ガイドが表示される。
AIカメラワークを試してみた
オートフレーミングは、引きと寄りの2つの映像を残せる機能で、超広角カメラを使用。引きの映像は普通のスマホ撮影の感覚で撮影でき、寄りのガイドも画面内に表示される。こちらも追従したい被写体をタップで選択してそのまま収録を開始するだけだ。ちなみに引きの映像は4Kで撮影され、そこから切り出された寄りの映像はフルHDで書き出される。
オートフレーミングを試してみた
今回の体験では、引きを横位置、寄りを縦位置で撮影しているが、引きと寄りともに、縦、横、アスペクト比も自由に変更できるようになっている。
このほかにも、環境に合わせて輝度だけでなく色も自動調整する機能を搭載していたり、照度センサーが前面だけでなく背面にも搭載されたことで、逆光の環境でも、画面が見やすい明るさに調整されるようになるなど、撮影機能のおいても堅実にアップデートされている。
メインターゲットがクリエイターであることを踏まえると、こういった細かいアップデートが響いてくるようなシーンが多いようにも感じる。ソニーの最先端に触れたい人にはしっかり寄り添ってくれるスマホだろう。
🧠 編集部の感想:
「Xperia 1 VII」の音質と撮影機能の向上は、ソニーの技術力がしっかりと詰まっていることを実感させます。AIを活用した新機能により、クリエイター向けの魅力も増したのが印象的です。使い勝手の良さと音質の向上は、ますます多くのファンを惹きつけることでしょう。
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