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概要
この記事は、バンド活動における販売のアプローチについて、人気漫画『ONE PIECE』を例に挙げながら「バンドを売るな、バンド活動のストーリーを売れ」という視点で論じています。ストーリーの持つ力を活かし、消費者の心に響くようなバンド活動を設計する方法を提案しています。
要約
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基本概念
- 「モノを売るな、ストーリーを売れ」というビジネス原則をバンド活動にも応用可能。
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ストーリーの重要性
- 人は製品自体より、その背後にあるストーリーに価値を見出している。
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『ONE PIECE』のストーリー設計
- 長期的な目標: 物語全体を貫く最終目的(例: 海賊王になる)。
- 短期的な目標: 各章での具体的なミッション(例: 仲間を増やす)。
- 信念・理念: 行動の基礎となる価値観(例: 仲間を大事にする)。
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バンド活動への応用
- バンドも同様に、長期的目標、短期的目標、信念を明確にしてストーリーを構築することが重要。
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読者(ファン)への考慮
- ストーリーはお客さんの視点を考慮して作られるべき。
- まとめ
- 効果的なバンド活動には、興味を引くストーリーが必要であり、ファンにワクワク感を与えることで支持を得られる。
数年前に僕が連載させてもらってたコラム「オ客ハ読ムナ」の原稿がいくつか出てきたのでちょっとだけ加筆修正して再掲載②
「モノを売るな、ストーリーを売れ」
──ひと昔前のビジネス書に書いてありそうなこの言葉
今さらこんな事を書くのも恥ずかしいぐらいですが
それでもバンド活動にもちゃんと応用できると思うんです。
人は、「CD」や「ライブチケット」を買ってるようで、
実はその背景にある“ストーリー”を買ってるんですよ。
じゃあ、どうやってそのストーリーをお客さんに伝えるか?
今回は、国民的漫画『ONE PIECE』をヒントに、「バンド活動におけるストーリー設計」を考えてみましょう。
題して「ONE PIECEに学ぶ~バンドを売るな、バンド活動のストーリーを売れ~」
みたいな。
今回のは前回と違って「オ客ハ読ムナ。」です。
そして今回は「ONE PIECEヲ読ンダコトナイ人ハ読ムナ。」
ONE PIECEのストーリーをおおまかでも知っている前提なんで
ONE PIECEを知らない人はすまん。
▼ まず、ONE PIECE的ストーリー設計の基本構造
ONE PIECEの魅力的なストーリー構成は、ざっくりこの3つの要素でできていると考えます。
▼ストーリー構造の3要素
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長期的な目標最終的なゴール「海賊王になる」
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短期的な目標各章でのミッション「仲間を増やす」「旅の準備をする」
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信念・理念行動指針・譲れない価値観「仲間を大事にする」
この3つの要素がうまく機能すると、放っておいてもストーリーが転がっていきます。
失敗してるストーリーの場合、この3つがゴチャゴチャになっているケースも多い。
まずはこの3つをきちんと把握して、区別して、きちんと機能するようにすすめていくのが大切。
以下、簡単に説明してみます。
▼ ①長期的目標
ONE PIECE のような冒険活劇には、主人公の目的があります。
これを成し遂げるために物語が進んでいくという物語のキーになる「大きな目標」また「最終的な目標」
ONE PIECE における主人公 ルフィ の最終的な目標は「海賊王に俺はなる!」です。
うむ。
なんと、わかりやすい。
ややこしい目標だと読者が混乱するので、シンプルなのがいい。
すばらしい。
ルフィは、海賊王になるために仲間とがんばる。
これが物語の大筋になります。
長期的目標 →「海賊王になる!」
▼ ②短期的目標
とはいえ「海賊王に俺はなる!」と言うだけで、フーシャ村でずっとのんびり過ごしていたら物語は進みません。
(まるで「売れたい!」と言ってるだけで、具体的に何もしないバンドのようです 笑)
物語が先に転がっていくためには「長期的な目標」を叶えるための「小さな目標」、「短期的な目標」が必要になります。
「①長期的な目標」を叶えるために、まずは「②短期的な目標」を叶える。
「②短期的な目標」をたくさん積み重ねていって、いつか「①長期的な目標」を叶える。
大ボスを倒す前に、中ボスをガンガン倒していく!…そんなイメージです。
もちろん、シーズンごとに「②短期的な目標」は変わっていきます。
シーズンごとの短期的目標 →
「仲間を増やす」
「旅の準備をする」
「イーストブルーを抜けてグランドラインを目指す」
など
▼ ③活動してくうえで信念や理念
さて。
①と②の目標も大事なのですが
実は一番大事にしたいのが、この ③ 信念や理念。
会社で言えば「経営理念」にあたるもの。
これがないと例えどんなに立派な目標があってもすべてがブレてしまいます。
ルフィの信念は、少年漫画的
すごくシンプルにわかりやすい。
「とにかく仲間を大切にする」
物語中、自分の信念をまげてまでルフィは目標を達成したいとは思っていません。
「仲間達と一緒でないと目的を達成することに意味はない」と彼は考えているはずです。
なんと青臭い。
なんとガキっぽい。
でも、それが素敵で読者の心を打つわけです。
だからある意味で「海賊王になる」という最終的な目標よりも、
信念をつらぬくことの方がルフィにとっては大切なことだし、
読者にとっても大切なことなのかもしれません。
信念→
「仲間を大切にする」
「仲間の夢を尊重する」
「海賊の誇りを大切にする」
など
図解:ONE PIECEのストーリー構造
以上のことを簡単な図にしてみた。
左からスタートで、右側がゴール
「③信念」をもって「①長期的な目標」を達成するために「②短期的な小さな目標」を目指していく…というのが大まかな流れ。
▼バンド活動もこの構造で考えてみる
では、バンド活動にこの構造を当てはめてみましょう。
僕がでっちあげたこの図だけで、なんとなくストーリーの流れが理解できる頭の良いあなたならもう後は簡単。
自分のバンド(または個人)に、この構造を当てはめるだけ
①長期的な目標
②シーズン毎の短期的な目標
③活動してくうえで信念や理念
の3つを考えて、図にそのまま当てはめて考えていけば、バンドが歩むべき大まかのストーリーが見えてくるかと思います。
▼バンド版ストーリー構造の例
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長期的な目標「デビューして人気バンドになる」「武道館に立つ」など
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短期的な目標 「平均動員20人を目指す」「EPを完成させる」など
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信念・理念 「日本語の歌詞を大切にする」「みんなが楽しめるライブをする」など
図解:バンド活動のストーリー設計

図にするとこんな感じでしょうか。おなじく左スタートの右がゴール
みんな、なんとなくはこういうのって頭の中にあると思うのですが
実際に紙に書き出してみたりすると、自分たちの活動の方向性がすごく見えてくるので図にしてみるのはおすすめ。
▼「読み手」の視点を考えることを忘れるな
さて、ここからが重要。
大事な話です。
物語は、読者がいてはじめて成り立ちます。
バンド活動も同じ。
届ける相手がいるからこそ、意味がある。
物語を追いかけている読者 (お客さん)の気持を考えてみましょう。
まずは、さっきの図を参考にして、
実際にワンピーズの物語を楽しんでいる読者の気持ちを考えてみましょう。
人に楽しんでもらうための物語なので
読者の目線を考えることがすごく大事です。
お客さんの目線を考えてみる
▼まずは物語の導入部
物語のはじまりはすごく大切。
ここで読者に色々なことを伝えなくてはいけません。
最初に提示しなければいけない要素は「物語の世界観」です。
例えば
-
主人公(物語)の目的
-
キャラ設定
-
後に回収するための伏線
などでしょうか。
これを最初に上手く提示できれば、
「お?なんだか面白そうだぞ?」
と物語に読者を引き込むことができます。
ツカミってやつですね。
これを失敗すると、
「面白くなさそう…」
といきなり読んでもらえなくなります。
逆に言えば、ツカミさえ上手くいけば、最初の数話は中身が薄くても楽しみに読んでもらえるはずです(笑)。
ってなわけで、物語の冒頭、かなり重要。
▼続いていくエピソード
物語の冒頭から、最初の小さなエピソードがはじまり
最初の ②短期的な目標 を叶えることができたとします。
その頃には、
物語の世界観も主要キャラの設定も、きっと読者に伝わっているはずです。
そして、満を持して次のエピソードに進んでいくのですが、ここで注意。
各キャラの個性も確立しだして、どんどん魅力的になる反面
物語が複雑になりだして、間延びしたり、ダレるのもこの頃。
物語がダレないように
-
主人公の新しい目的をわかりやすく提示したり
-
新キャラを登場させてみたり
-
最初にはった物語の伏線を回収したり
と、とにかく面白く読んでもらうために、色んな工夫も必要になってくる大変な時期です。
単行本でまとめて読むとすごく面白いけど
週刊連載で毎週ちょっとづつ読んでいると間延びした印象になってしまったり
…なんてジレンマが起きるのも、たぶんこの頃。
これをひたすら繰り返して、最終的な長期目標に主人公達が近づいていくのが長期連載のストーリー漫画だと思います。
すごく大変。
最初の図の下に「読者の目線」を書き入れてみた図が以下になります。

意味わかりますかね?
わかりにくいかもだけど、なんとか解読してくれ。
で、これをバンド活動に応用してみる。
おなじく、バンド活動の図にも同じくお客さん目線を下に書き込んでみたものが以下の図

はい。
けっこう、そのまんま使いまわせます。
これはあくまで例なのでね。
長期的目標を「売れたい/デビューしたい」みたいなわかりやすいものにしてみましたが、
これが例えば
「健康に死ぬまでライブハウスで歌い続ける」
みたいな最終目標でも良いと思うんです。
別に売れるためだけにやるのがバンドじゃないですから。
▼ 読者の心を掴む3つのタイミング
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最初の数話=バンドの初期
→「このバンド、なんか面白そう」と思わせるツカミ -
シーズンが進む=ライブやリリースを重ねる
→マンネリ化しないように、新たな展開や深みが必要。 -
伏線回収=昔の発言や出来事が今につながる
→「あの頃言ってたことが、今ここに繋がった!」と思わせられると最高。
読者目線を加えたストーリー構造
【物語の構造】 信念 → 短期目標 → 長期目標
【読者の感情】 共感 → 応援 → 感動
▼まとめ:バンドを売るな、ストーリーを売れ
CDを1枚買ってもらうのにも、ライブに遊びに来てもらうのにも、そして気にかけて応援してもらうのにも、その裏にあるストーリーが必要です。
ライブを観に来てもらうには、「このバンド、今どうなってるんだろう?」というワクワク感がぜったいに必要。
ONE PIECEと同じく、バンドにも
-
わかりやすい長期目標
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シーズンごとの短期目標
-
ブレない信念や理念
この3つがあると、自然と応援したくなる“物語”になるはずです。
📝 次回予告
かなり長くなってしまったので、今週はここまで。
来週はもう少し具体的に「バンドのストーリー」作りのことや、
実際に活動しているバンドを例にあげたりして、色々と書いてみようと思います。
それでは世界が終わらなければ、See you next week.
🎁 おまけリンク
↓ちなみに本日の内容は2018年のツイートからでした
ワンピース(週刊連載漫画)と、バンド活動を図にしての比較
①バンドとしての長期的な目標
②シーズン毎の短期的な目標
③活動してくうえで信念や理念を区別して進めてく。
適当に見比べて自己解釈してみてください。これ、たぶん僕にしかわからない図なんで、質問あれば会った時に直接聞いて。 pic.twitter.com/IgEskAgb3N
— 倉坂さん (@thedenkibran) March 28, 2018
いやー、これ前にに載せた記事と同じく、次に何を書いたのか全然覚えてない(笑)。
この記事、けっこう時間をかけて、図まで用意して気合を入れて書いた割に、あんまり反応なかったんですよね。
悲しい。
でも読み返したら、反応が悪かった理由がわかった。
長すぎるわ(笑)
誰がこんなもの最後まで読むねん!?(笑)と思ってしまった。
というわけで、ここまで読んでくれた、あなた
本当にありがとう。
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