

HPの取締役会を説得してPalmを12億ドルで買収したCTOの記録
2025年6月16日、フィル・マッキニー氏が語る、2010年にHPがPalmを12億ドルで買収し、わずか49日後にその事業が崩壊した経緯が注目を集めています。彼は当時のHPのCTOであり、買収を主導した人物です。
Palmの買収背景
HPは、PC市場に依存し続ける中、モバイルへのシフトを模索していました。フィル・マッキニー氏はPalmの「WebOS」技術がモバイルコンピューティング市場でHPを差別化できると確信し、取締役会に対してその必要性を説いて12億ドルの買収を成立させました。
彼はPalmチームと共に、HPのリソースを活用した戦略的な統合計画を進めていました。具体的には、WebOSをスマートフォンやタブレットに展開し、HPのPCプラットフォームと結びつけるビジョンを描いていました。
CEO交代と戦略の変化
2010年8月、HPのCEOマーク・ハードが辞任し、SAPからレオ・アポテカーが新CEOに就任すると、状況は一変しました。アポテカー氏はハードウェアからソフトウェア・サービス企業への転換を目指し、その中でWebOSは疎まれる存在となりました。
マッキニー氏が病気で8週間入院している間、HPはWebOS搭載タブレット「TouchPad」を発表しましたが、その結果は厳しいものでした。
TouchPadの惨状
TouchPadは、競合するiPadに対して出荷数27万台、販売数はわずか25,000台と惨敗。発売から49日後の2011年8月18日、HPはWebOS搭載製品の販売を中止しました。この際、アポテカーCEOはPalmのチームに連絡を取らず、マッキニー氏は無力感を抱えました。
結果と教訓
マッキニー氏は「CEOと取締役会には大人の監視者が必要」との認識を新たにしました。退職金を拒否し、在職時のことを語ることの重要性を強調した彼は、この出来事から多くの教訓を得ました。
元Palmの開発者ジョシュ・マリナッチ氏は、自身の経験を通じて「アポテカーCEOはHPをIBMのように変えようとしたが、WebOSの利用計画はよく考えられたものであった」と述べ、取締役会の判断に疑問を呈しています。
この事例は、企業戦略の変動がもたらす影響や、経営者のビジョンがどれほど事業の成功に寄与するのかという重要なポイントを浮き彫りにしています。
🧠 編集部より:
この記事は、フィル・マッキニー氏がHPの取締役会を説得し、Palmを12億ドルで買収させた後に、その事業がわずか49日で失敗に終わった経緯を述べています。特に、HPのCEOが交代し、企業戦略に大きな変化が生じた点が焦点です。
補足説明
HPとPalmの買収の背景
- HP(ヒューレット・パッカード): 2010年、PC市場に強みを持ちながらも、急速に成長するモバイル市場に対応する必要性がありました。
- Palm: かつてはスマートフォン市場で人気があり、特にWebOSという独自のオペレーティングシステムを持っていました。HPは、WebOSを利用することで、モバイルコンピューティングにおいて差別化を図ろうとしました。
CEOの交代と影響
- マーク・ハードの辞任: CEOの辞任後、レオ・アポテカー氏が新CEOとして就任。彼はHPをハードウェアからソフトウェアおよびサービス中心の企業に変革しようとしたため、Palmとその技術が企業戦略にそぐわないと判断されました。
TouchPadの市場反響
- HP TouchPad: WebOSを搭載したタブレットですが、同じ時期にアメリカで900万台以上売れたiPadに対して、TouchPadはわずか27万台が出荷され、販売も2万5000台に留まりました。この結果、HPはわずか49日で製品の販売を中止する決定を下しました。
豆知識
- Palmの影響: Palmはスマートフォン市場の先駆者で、実はAppleのiPhone開発にも影響を与えたとも言われています。Palmの初期モデルが、タッチスクリーンやアプリケーションストアの概念を提案しました。
参考リンク
このストーリーは、IT業界における戦略的決定が企業の将来にどれほど大きな影響を与えるかを示しており、企業とテクノロジーの歴史の重要な一幕として記憶されています。
-
キーワード: WebOS
HPのCTOフィル・マッキニー氏が、Palmを12億ドルで買収し、短期間で事業が失敗した理由について語っています。WebOSはHPのモバイル戦略に重要だったが、新CEOのアポテカー氏の方針により販売中止に至りました。
※以下、出典元 ▶ 元記事を読む
Views: 0