水曜日, 5月 14, 2025
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「EVO Japan 2025」参戦記。EVOの魅力は対戦のみにあらず! 人との繋がりは対戦に負けずに熱かった!! – GAME Watch


 5月9日から11日まで、東京ビッグサイトにて、世界規模の格闘ゲーム大会イベント「EVO Japan 2025」が開催。エントリー数は9,875人と過去最高を記録した。

 メインタイトルは「THE KING OF FIGHTERS XV」、「グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-」、「GUILTY GEAR -STRIVE-」、「鉄拳8」、「ストリートファイター6」、「STREET FIGHTER III 3rd STRIKE -Fight for the Future-」、「Virtua Fighter 5 R.E.V.O.」の7タイトル。

 「STREET FIGHTER III 3rd STRIKE -Fight for the Future-」と「Virtua Fighter 5 R.E.V.O.」の2タイトルは、各タイトルの歴史ある大規模大会「クーペレーションカップ」と「ビートライブ杯」とのコラボレーションとなっており、伝統の団体戦が取り入れられた。

 そんなEVO Japanに、今年は筆者も初めて参加した。筆者は対戦ゲームをプレイするのは好きだが、大会に参加する頻度は非常に低い。格闘ゲーム歴は30年以上で、「ストリートファイターII」から格闘ゲームを初め、アーケード版の格闘ゲーム、シューティングゲーム、レースゲームをプレイするといったスタイルのプレイヤーだ。主戦場としていたのは3D格闘ゲームで、特に「バーチャファイター」シリーズを好んでプレイしていたが、このような大規模な大会に出場した記憶はない。

 今回「鉄拳8」と「ストリートファイター6」部門にエントリーしたが、どちらも大会への参加経験は初めてであり、EVO Japanへのエントリーも初めてだ。そんな大会ビギナーである筆者はエントリーの時点から調べては行動し、調べては行動しの繰り返しで、大変ではあったが、参加してそこで見た風景は、選手がしのぎを削る対戦以外にも魅力あふれるものだった。それを本稿では紹介したい。

【Day 3 Main Stage | EVO Japan 2025 presented by Levtech】

初戦からプロと対決!? 対戦以外も楽しむための下準備

 筆者は今回「鉄拳8」と「ストリートファイター6」部門にエントリーした。大会開始数日前には組合せ表がstart.ggというサイトで発表されるのだが、「鉄拳8」部門で衝撃事件が起きた。なんと、初戦の相手はプロゲーミングチーム「ZETA DIVISION」に所属するKEISUKE選手だったのだ。筆者にとってはただプロとマッチングした、という意味だけではない。筆者が「鉄拳」のプレイを勉強する際に視聴していたプロ選手の配信がKEISUKE選手であり、コメントで雑談をしたり、「鉄拳」に関する技術の話をやりとりするという、いわゆる「リスナー」というものだった。

 実力差は明白。負ける可能性は高いが、負ければそこで終わりというわけではないのが、この大会の魅力だと筆者は参加前から考えていた。“おもしろき こともなき世を おもしろく”と言っていたのは故郷山口に生まれ、革命家であった高杉晋作の辞世の句である。対戦以外にも面白い事はできるはずだ、というわけであるものを地元の文具店で用意することにした。それがこれだ。

 そう、スケッチブックである。よくプロ選手にファンサービスとして、アケコンや色紙などにサインをお願いするという話は聞いたことがあった。ただ、アケコンならばそれは使っていけば摩耗していってサインが消える可能性もあるし、アケコン自体を処分する際に困ることとなる。色紙に関しては、色紙でサインを複数の選手にお願いするとただの寄せ書きになり、徐々にサインを描ける範囲が制限され、段々他の方に頼むことが難しくなったと、関東に移住してプロとの接点が増えた後輩の経験を聞いて、これらへの対策としてこの手段を考えた。

 1人1人に、思うように広々と書いてもらう。そしてそれを見返す楽しみ。いわば「ゲーマー朱印帳」を作るのも今回の大会の目的としたのだ。ただ、プロ選手は大会に集中したいため、サインや、写真撮影をお願いする場合には問題がないかは必ず訊くように心がけた。

「EVO」の魅力はただ成績を競うだけではない! 人々の優しさを感じられる場

 そしていよいよEVO Japan 2025当日。初戦はそのままプロゲーマーKEISUKE選手との対戦となった。普通なら殺気立つ場面である。だが、KEISUKE選手は非常に気さくに筆者と会話をしてくれた。筆者がまず配信を視聴しているリスナーであることや、メディアで「鉄拳」に関する記事を執筆していること、また今回の取材に関する撮影の許可を取れるかなどを話したが、彼は喜んだり、驚いたりと大きなリアクションで返して頂いた。

左が筆者、右側がKEISUKE選手。大事なTEKKEN World Tour2025の開幕戦であるにも関わず、こちらのお願いに全て快諾してくださった

 対戦に関しては見事に撃沈。筆者もシーズン1では上級段位である「鉄拳覇皇」にたどり着いたが、最高段位「破壊神」を保持していたKEISUKE選手の三島一八には敵わず2試合を連続で取られ1敗した。筆者が敗北した後「最終日に生き残ってステステ(「鉄拳」を代表する移動テクニックで、KEISUKE選手の十八番でもある。かつてKEISUKE選手が入場パフォーマンスで行なったことがある)見せてください!」というと笑顔で応えてくれた。

 また、試合終了後は忙しいと思うので、お手すきの際にサインはよろしいでしょうか?とお伺いを立てるとこちらもOKを頂き、後に再度会場で遭遇した際はサインを書いて頂いた。

 その後、筆者はLOSERSでカポエイラを操るファイター「エディ・ゴルド」を使用するプレイヤーに敗北。2連敗で「鉄拳8」部門は初日敗退となった。

 そして、昨年よりもさらに参加人数が増加した「ストリートファイター6」部門にも筆者は出場。こちらはプロ選手が存在しないグループからの対戦となったが、その過程で香港から来日したプレイヤーとも対戦した。日本語や、英語を織り交ぜて交流をしつつ、何とか全勝でDay2にコマを進めることとなった。

 この時感じたのが、プレイヤー同士の温かい交流である。KEISUKE選手のみならず、全ての選手に対して筆者は取材が入る可能性があること、動画の撮影を行ない、記事に反映させる可能性があることを説明していた。それに対して、全ての選手が快諾してくださったことには感謝しかない。また、一緒に写真撮影をしませんか? と尋ねれば全ての選手がOKしてくれた。

 それ以外でも格ゲープレイヤーの結束の力を感じることがあった。それは今大会は6,653名というぶっちぎりの参加人数を記録した「スト6」部門でのことだ。歩くことがままならないほどの混雑に、当然だが現場の混乱は免れなかった。だが、その大会を滞りなく進行できていたのはスタッフの努力と、プレイヤー同士の相互互助にほかならないと筆者は考える。大会はいつもと違う環境でゲームをするという関係上、常時ならば起こり得ないトラブルが突然と降り掛かってくるものである。

 筆者も、「鉄拳8」部門での対戦で、上京前にしっかりと動作確認を済ませておいたコントローラーが正しく動作しなかったトラブルがあった。このようなことがあっても相手の選手が助けてくれたり、周りのギャラリーが知恵を貸してくれるという光景はどこでも見受けられた。特に大人数の「スト6」部門では、スタッフ1人でトーナメントの進行を行なうこと自体がかなりの重労働である。なので、極力トラブルはスタッフだけでなく、皆で協力して解決に動いていたし、公平性は保ちつつも、全ての業務をスタッフに任せすぎないように助力しあっていた。

 EVO Japanは最初期は参加費のかからない大会として運営されていたが、今は参加費のみならず、会場に入場するためにもチケット代を支払う必要があるため、一般的なお店でサービスを受けるような需要(参加者)と供給(運営やスタッフ)の関係に思えるかもしれない。しかし、EVOは全員がゲーム好きで、皆で作り上げるイベントなのだ。サービスを受ける与えるの関係ではなく、皆でこの祭りを作り上げる。より良い進行、楽しい時間を過ごすためにすべての参加者が協力を惜しまない。このことを今後参加する時に筆者も念頭に置いて行動していきたいと思うし、今後参加を検討しているプレイヤー・観戦を希望する人にも引き継がれていってほしい。

この対戦台の数である

プロとの交流も「EVO Japan」の魅力のひとつ

 また、プロ選手とコミュニケーションがとれるのも本大会の魅力のひとつだ。筆者はかつては兼業プロゲーマーとして名を馳せ、現在はM-GAMING/Saishunkan Sol 熊本 from 再春館システムに所属しているネモ選手に偶然居合わせた。その際に「サインは可能ですか?」とお伺いを立てると「本当はしたいんだけど……いろんな人にサインしてたらプライベートでそんなにやっちゃダメだって怒られちゃった」とネモプロ本人はサインしたいけどサインできないということを申し訳なさそうに伝えられた。しかしその後、「自分は『スト6』でケンを使っていますが、『餓狼伝説』ならばほたるを使用すれば楽しめるでしょうか?」と質問すると笑顔で「間違いないよ!」と返して頂いた。サインの代わりに良い言葉をもらえた。

 また、最終日となるDay3「鉄拳8」部門TOP8の休憩時間中、筆者は化粧室へ向かった所、対戦を控えた「鉄拳8」TOP8唯一の日本人選手、PINYA選手に出会った。ここでは「カッコいい日本のニンジャ期待してます!」とだけ声をかけたが、PINYA選手からは「もうここまできたら負けられないっす」と、覚悟を感じさせる返事をいただけた。

「バーチャファイター」のステージイベントに参加! 近くには対戦台も

 また、セガの公式ブースでは、「バーチャファイター5 R.E.V.O.」を用いたイベントが実施されていた。特に印象的だったのは、特設ステージに希望者が集まり、希望者同士で野試合をおこなうというもの。ここで5連勝を達成すると特別な景品がもらえる。

 ここに筆者は参加しようとしたのだが、最初はあまりの盛況ぶりにイベントに参加できず。2回目のチャレンジで参加でき、セガの公式ブース配信に映ることとなった。対戦相手はルチャドール「エル・ブレイズ」を操り連勝していたプレイヤーであり、何とか連勝を止め、そこから自分が5連勝をして景品をもぎ取るつもりだったが、敗戦。悔しい結果となった。そもそも次に控えていたのが大会優勝経験もある猛者だったようなので、かなり厳しい条件ではあったのだが……。

左(2Pサイド)が筆者だ

 ブースの近くには、誰でも参加できる「R.E.V.O」の対戦台もあり、さながらゲームセンターの野試合のような雰囲気を醸し出していた。こちらにも足を運ぶと、自分より1回りぐらい年上の男性が対戦相手を募集しているようだったので、快諾。一緒に対戦を楽しんだ後、お話を伺うと同じく「EVO Japan」の取材のために会場を訪れた同業の方だった。対戦相手が「バーチャ」好きのみならず、生業も同じ。こんな偶然もあるものかと大変驚いた。

 その他、一応全てのブースは見て回ったつもりだが、会場内にはメインタイトルには選ばれなかったゲームで大会や対戦回などを行なうサイドイベントをはじめ、魅力的なブースが多すぎて取りこぼしもあるかもしれないのが心残りではある。

 土産物を買ったり、ここでしか楽しめないアトラクションを楽しんだりと、いわば“ゲーミング夏祭り”だった。無数の遊びが経験できる空間がこの出展ブースだ。

EVO会場で戦うドクター! EVO Japan 公式eスポーツドクターREKKA氏に施術を受ける体験をした話

 筆者はEVO Japanに備えホテルで荷物整理をしていた際、誤ってシェービング用のカミソリで左指を大きく切ってしまうというトラブルを起こした。EVO Japan初日では急いで購入した消毒液と絆創膏で応急処置を行ない「鉄拳8」と「ストリートファイター6」の予選プールに参加。日中はなんの問題もなく過ごせたのだが、夜に様態が悪化。指のあたりに熱と痛みを感じ、これが原因で全く睡眠を取れないほどだった。

 そんな状態で迎えたEVO Japan2日目だが、会場に到着して1つのことを思い出した。それは会場内に救護室があることだ。そこでは実際に医療現場で働いている方々が会場での救護措置を行なっているとのことを昨年のEVO Japanの情報を追っている際に知っていたので、実際に足を運ぶことにした。

 足を運んでみると、そこは病院の診察室と遜色ないような空間。そこにいたのが普段は内科医であり、EVO Japan 2025公式eスポーツドクターを務めていたREKKA氏であった。

「ストリートファイター4」で「RE:」というリングネームでフェイロン使いとして名を馳せていたREKKA氏。自分も氏の対戦動画を視聴していたが、かなりの猛者プレイヤーである。山口勢である筆者にまでその名が轟いていたことを知ると目が輝き、「スト6」へのモチベーションが高まり、やり込もうかと呟いていたのが印象的だった

 筆者が前述の症状を伝えると、テキパキと患部を確認、そして改めて消毒措置を行ないつつ、傷に関する知識をわかりやすく教えてくれた。具体的に言えば筆者が行なった措置は間違っておらず、何度も過剰に消毒を行なうのはダメだということを教えて頂いた。筆者のイメージでは痛みを感じたり、今回は膿のようなものが見えたので慌ててホテルで再度の消毒をすべきだと思っていた。そして救護室に向かえば再び薬剤などで治療を行なってもらえると思っていたが、そう何度も続けざまに薬剤を使用することが正しいということではないことを知った。

 また、筆者が「スト6」部門のDay2にも駒を進めていること、またライター業務のことを話していると「本当は左手を使う作業は控えて安静にしていただきたいんですけどね……仕方ないですよね」とゲーマードクターらしい返答を聞けたのも普通の医療現場ではまずお目にかかれない珍しさにふと笑みがこぼれた。

 そして、ゲームの話をしつつ、EVO Japanでは救護室を利用する方が少ないことを危惧しているという話を聞くことが出来た。内容を要約すると

・医療スタッフが会場にいることがまだ浸透しきっていないように感じられる
・救護室を利用することに抵抗がある人が多いと思われる

 ということだった。REKKA氏に救護室へ措置を受けた人の人数を訪ねた所、2日目朝の時点までで筆者を含めて5人程度。大人数で人の通るスペースもなく、長老若男女問わず、長時間会場を行き来していれば、何かしらの不調を訴える人がいるはず。それにしてはあまりにも少なすぎる数だ。

 なので、治療をして頂いたお礼も兼ねて、本稿で宣伝をさせていただきたいと申し出た。REKKA氏いわく、もっと気軽に救護室を利用していただきたいとのことだ。例えば熱気にあてられたとか、移動中に怪我をしたなどでも構わない。決して重病にならないと利用してはいけないということはない。

 ちなみに、筆者はDay2に続いてDay3でも入場処理を終えた後真っ先に救護室を訪れた。救護室で本年から新たに行なわれた試みとして「EVO Japan 2025 メディカルセミナー」という講習会が開催されたのだが、その講師が筆者と交流のあるゲーマーだったので、すでに会場入りしていれば挨拶に伺いたいと思っていたからだ。

 残念ながら筆者が訪れた際は前日お世話になったREKKA氏を含め両者とも救護室にまだ到着していなかった。怪我の方は、幸い熱っぽさを感じることはなかったが、他の救護スタッフの方が代わって経過を見てくださった。前日とは違い、血圧や脈拍、体温もチェックして頂き、血圧が高く脈拍が乱れていたことにやや驚かれたが、生命を脅かすほどではないし、それ以外は問題なかった。

 このように、eスポーツメディカルチームのSin-RyouKen!の皆様が活躍されていたEVO Japan 2025。そしてゲーマーと医療という普通ならば結びつかないような要素をつなぎ合わせたのはREKKA氏をサポートしているデバイスメーカー「Mad Catz」の力も欠かせない。この取り組みのありがたみを本大会で実感することが出来たことに対し、この場を借りて各位にお礼申し上げたい。

それぞれがそれぞれの方法でイベントを楽しむ!足を運ぶことに意義があるイベント

 このように、EVO Japanはただ対戦をして、ゲームの腕前を競うだけのイベントではない。3日目には多くの人が会場を訪れ、予選会場として使われていた無数の机とPS5は姿を消し、そこが観客席となっていた。1日目、2日目とは全く違う姿を見せていたのもこのイベントの特徴だ。また、今回はその観客席でも、車椅子が必要な人でも観戦しやすい位置、スペースを確保されていたようだったので、その点の配慮も素晴らしく感じた。観戦することを楽しみとするという意味では、まさしくe“スポーツ”となった証拠ではないだろうか。

 また前述のようにグッズ販売や、選手同士との交流で新しい出会いを築いたりと、人それぞれの楽しみができるイベントだと思う。筆者は業界で働いてのキャリアは長くない、いわゆる「グリーンボーイ」だと自身のことを評価していた。だが、「GAME Watchで鉄拳の記事を書かれていた人ですか?」と問いかけられることがあり、こんな自分を知っている人がいるのか!? と思いも寄らないところでゲームと関わる人々に影響を与えていたことを感じた。

 コスプレでキャラクターへの愛を伝えたり、前述のeスポーツドクターREKKA氏のように、医療の目線からゲームと携わり、EVO Japanの会場からすれば目立たないところではあるが、このイベントの成功のために戦い続けていた方々もいる。

 もし参加に二の足を踏んでいる方がいれば、是非次回は参加してみてはいかがだろうか。ゲーマーたちが集うここでは様々な方法でイベントを楽しむことができる。話題の最新作を追いかけるもよし、最新デバイスを探したり、自分の愛機をパワーアップさせるためのパーツを探すもよし。同じゲームを愛する友人を作る目的で参加するのもいいだろう。「どこから来ましたか?」「朝自分が来た時は土砂降りの雨でしたが、今はどうでしたか?」これらは実際に筆者が話題のキッカケに話した内容だ、何も臆する必要はないのだ。

 そして最初に述べた「ゲーマー朱印帳」だが、今大会では4枚ほどしか埋まらなかった。だが、プロゲーマーのみにお願いしたわけではなく、モノマネ芸人として有名なコンビNOモーション。さんや、広島TeamiXAのオーナー板垣氏など、ゲームが好きな人に書いていただけた。今大会だけでなく、今後ゆっくりゆっくりと埋めていこうと思う。

 だからこそ、大会が苦手だったはずの筆者はこう思っている。来年もここに来ようと。





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