米国時間2025年5月8日,AMDは,Radeon GPUおよびAPU向けのドライバソフト「AMD Software Adrenalin Edition 25.5.1」(以下,AMD Software 25.5.1)をリリースした。AMD Software 25.5.1は,「AMD Software 24.9.1」以来となるPolarisおよびVega世代に対応するドライバパッケージを含むものだ。
ただ,本稿ではRDNAアーキテクチャ以降向けのドライバにおける変更点を中心に取り上げていく。
WHQL(Windows Hardware Quality Labs,ウィクル)通過版となるAMD Software 25.5.1は,新作への対応や不具合修正が行われたドライバだ。同時に中国市場専用のGPUとして5月に発売になる「Radeon RX 9070 GRE」への対応が行われているが,このGPUが日本で正式販売されるかどうかは分からない。
AMD Software 25.5.1で新たに対応したのは,5月15日発売のFPSシリーズ最新作「DOOM: The Dark Ages」と,F1公式レースゲームの最新版「EA SPORTS F1 25」の2タイトルだ。どちらも性能向上についての記述はなく,AMDが動作を確認したドライバという理解でいいだろう。
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ゲーム関連ではほかにも,AMD独自の超解像&フレーム生成技術「AMD FidelityFX Super Resolution 4」(FSR4)が,「Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUT」をはじめとする7タイトルが対応した。また,ワンタッチで最適化を行う「HYPR-RX」対応タイトルに,「Marvel’s Spider-Man 2」など5タイトルが追加されている。
そのほかには,2024年12月に日本で開かれたコンピュータグラフィックス関連学会「SIGGRAPH Asia」に合わせてリリースされたグラフィックスAPI「Vulkan 1.4」に対応したことも,AMD Software 25.5.1のトピックだろう。
Vulkan 1.4では,3Dレンダリングを中断することなく,GPUに大量のデータをストリーミング転送する拡張に対応した。AMDのリリースノートに明確な記述はないが,ストリーミング転送機能は,Vulkan 1.4の実装要件とされているので対応しているはずだ。
なお,公式リリースノートにおける不具合の修正点は,一部がOptional版の「AMD Software 25.4.1」とダブっている。本稿では,AMD Software 25.4.1で修正済みの問題点は省略するので,詳しく知りたい人は,前バージョンの記事も参照していただきたい。
●AMD Software 25.5.1の対応GPU
- Radeon RX 9070シリーズ
- Radeon RX 7000シリーズ
- Radeon RX 6000シリーズ
- Radeon RX 5000シリーズ
- Radeon VII
- Radeon RX Vegaシリーズ
- Radeon RX 600・500・400シリーズ
- Radeon Pro Duo
- Radeon RX 7000M/7000Sシリーズ
- Radeon RX 6000Mシリーズ
- Radeon RX 5000Mシリーズ
- Radeon 600シリーズ(OEM向け)
※Radeon VII以下の製品ではドライバソフトが異なる
●AMD Software 25.5.1の対応APU
- Radeon AI 300シリーズ
- Ryzen 9000シリーズ
- Ryzen 8000シリーズ
- Ryzen 7000シリーズ
- Ryzen 6000シリーズ
- Ryzen 5000Gシリーズ,Ryzen PRO 5000シリーズ
- Ryzen 4000Gシリーズ,Ryzen PRO 4000シリーズ
- Ryzen 3000シリーズ,Ryzen PRO 3000シリーズ
- Ryzen 2000シリーズ,Ryzen PRO 2000シリーズ
- Athlon PRO 200GEシリーズ
- Ryzen Mobile Processors with Radeon Graphics
- Athlon Mobile Processors with Radeon Graphics
- Ryzen PRO Mobile Processors with Radeon Graphics
- Athlon PRO Mobile Processors with Radeon Graphics
- Radeon 600シリーズ(Ryzen 6000 APU)
※Ryzen Mobile Processors with Radeon Graphics以下の製品ではドライバソフトが異なる
●AMD Software 25.5.1が統合するコンポーネント(※比較対象はAMD Software 25.4.1)
- Display Driver Version:25.10.01.09-250425a-415182C-AMD-Software-Adrenalin-Edition(←24.30.31.08-250415a-414875E-AMD-Software-Adrenalin-Edition)
- UI:2025.0425.1714.2068(←2025.0316.2242.2052)
- AMD Windows Driver version:32.0.21001.9024(←32.0.13031.8021)
- 2D Driver:8.1.1.1634
- Direct3D Driver:9.17.11.0281(←9.17.11.0279)
- OpenGL Driver:25.04.250223_d1f9d32(←25.03.241127_5715cfc)
- Audio Driver:10.0.1.40(←10.0.1.38)
- Vulkan Driver:2.0.342(←2.0.331)
- Vulkan API:1.4.308(←1.3.302)
●AMD Software 25.5.1における最適化
- 記載なし
●AMD Software 25.5.1における新要素
- 「DOOM: The Dark Ages」「EA SPORTS F1 25」に対応
- HYPR-RX対応タイトルに5タイトルを追加
- Vulkan 1.4に対応
- 「Radeon RX 9070 GRE」に対応
●AMD Software 25.5.1で解決した問題
- Radeon RX 9000シリーズに(他のAMD製GPUから)アップグレードしたあとで,AMD Softwareのユーザーインタフェースで「AMD Chat」をインストールすると,進行状況が「0%」と表示したままになった問題
- Radeon RX 9000シリーズなど一部のAMD製GPUで「SteamVR」を使用すると,メモリリークによりシステムがクラッシュすることのあった問題
- 「Metro Exodus Enhanced Edition」をプレイ中に,断続的にゲームがクラッシュしたり,ドライバのタイムアウトが発生することのあった問題
- 「Civilization VII」を「Anti-Lag」を有効化してプレイすると,断続的にゲームがクラッシュしたり,ドライバのタイムアウトが発生することのあった問題
- デスクトップのコンテキストメニューやシステムトレイから,AMD Softwareのユーザーインタフェースを起動しようとすると,失敗することのあった問題
- 「Call of Duty: Black Ops 6」をプレイ中に,断続的にゲームがクラッシュしたり,フリーズすることのあった問題(※Polaris/Vega世代のみ)
- 「DOOM 2016」をプレイ中に(AMD Softwareのショートカットキーである)「Alt+R」や「Alt+Z」を押すと,断続的にゲームがクラッシュすることのあった問題(※Polaris/Vega世代のみ)
●AMD Software 25.5.1における既知の問題
- 「The Last of Us Part 2」をプレイ中,断続的にゲームがクラッシュしたり,ドライバのタイムアウトが発生することがある
- Radeon RX 7000シリーズなど一部のAMD製GPUで,一部のVR HMDでリフレッシュレート80Hzまたは90Hzに設定してゲームをプレイすると,表示がカクつくことがある。リフレッシュレートを変更することで,この問題を一時的に回避できるとのこと
- 「Cyberpunk 2077」をプレイ中,断続的にゲームやシステムがクラッシュすることがある
- 統合GPUを内蔵するRyzen 9 9950XとRadeon RX 9000シリーズを組み合わせたシステムで,「Battlefield 1」が起動しないことがある。この問題が発生した場合,BIOS(UEFI)設定で統合GPUの無効化することを,AMDは推奨している
- 「Anti-Lag」と「Instant Replay」を有効化して「モンスターハンター ワイルズ」をプレイすると,断続的にゲームがクラッシュしたり,ドライバのタイムアウトが発生することがある
- Radeon RX 7000シリーズにおいて,「Battlefield」プレイ中に,グラフィックにゴミ(アーティファクト)や破損が表示されることがある
- 「Radeon Boost」の設定において,「性能モード」の「画質」と「性能」の選択が逆になることがある
- 一部のAMD製GPUで,「Call of Duty: Warzone」のSeason 03において,「Verdansk」(ヴェルダンスク)マップをプレイしている最中にカクつき(スタッター)が生じることがある
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