ドナルド・トランプ大統領が推進してきた予算調整法案「One, Big, Beautiful Bill(大きく美しい法案)」が2025年5月22日に下院で可決しました。「大きく美しい法案」には州や自治体によるAI規制を10年間禁止する条項が含まれています。
H.R.1 – 119th Congress (2025-2026): One Big Beautiful Bill Act | Congress.gov | Library of Congress
https://www.congress.gov/bill/119th-congress/house-bill/1
US House Passes 10-Year Moratorium on State AI Laws | TechPolicy.Press
https://www.techpolicy.press/us-house-passes-10year-moratorium-on-state-ai-laws/
Pro-AI, pro-pollution, pro-surveillance: what to know about Trump’s budget | The Verge
https://www.theverge.com/news/673015/trump-big-beautiful-bill-budget-reconciliation-ai-border-energy
「大きく美しい法案」はトランプ大統領が推進する大規模な改革法案で、歳出削減や減税、債務上限引き上げなど多岐に渡る条項が盛り込まれています。下院では5人の共和党議員が反対票を投じるという展開もありましたが、2025年5月22日に「賛成215」「反対214」「棄権1」の僅差で可決しました。
「大きく美しい法案」には「州や自治体が『AIモデル』『AIシステム』『自動意思決定システム(automated decision systems)』を規制することを10年間禁止する」という条項が含まれています。アメリカではカリフォルニア州など複数の州でAIの規制案が議論されていますが、「大きく美しい法案」が成立すれば州ごとの独自の規制が撤廃される可能性があります。
また、法案では「自動意思決定システム」を「人間の意思決定に実質的な影響を与えたり、人間の意思決定に取った変わったりするために、簡略された出力を発行する機械学習や統計モデリング、データ分析、AIから派生したシステム」と定義しています。このため、「自動意思決定システム」というフレーズの解釈によっては禁止の対象となる規則が広い範囲に及ぶ可能性もあります。
ホワイトハウスは「トランプ大統領の『大きく美しい法案』は繁栄・機会・安全保障というアメリカ第一主義の政策を法律として確立するという一世代に一度の機会であり、下院での可決によってゴールに一歩近づいた」という声明を発表しています。
WHAT THEY ARE SAYING: One, Big, Beautiful Bill Clears House – The White House
https://www.whitehouse.gov/articles/2025/05/what-they-are-saying-one-big-beautiful-bill-clears-house/
なお、OpenAIは「中国とのAI技術開発競争に勝つために規制を少なくするべき」と主張しており、アメリカ政府に対して規制の縮小を提言しています。また、OpenAIのサム・アルトマンCEOは2023年5月には「AIの害を最小限に抑えるために政府による規制介入が必要」と主張していましたが、2025年5月には連邦議会の公聴会ではAIの規制に反対する姿勢を示しています。
OpenAIのサム・アルトマンCEOが「AIの公開に政府の承認が必要になるとアメリカの優位性が壊滅的な打撃を受ける」と指摘 – GIGAZINE
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🧠 編集部の感想:
トランプ大統領の「大きく美しい法案」が下院を通過し、AI規制を10年間禁止する条項が含まれていることに驚きました。AI技術の急成長と影響力を考えると、規制の禁止がもたらす影響は大きいでしょう。今後の技術発展と社会的なリスクのバランスをどう取るのかが重要な課題となります。
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