水曜日, 5月 21, 2025
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「AIの登場で仕事がどう変化したのか?」を看護師・教師・科学者・ドライバーなど8人の労働者にインタビュー – GIGAZINE



「AIの登場で仕事がどう変化したのか?」を看護師・教師・科学者・ドライバーなど8人の労働者にインタビュー - GIGAZINE


メモ


近年はAIがさまざまな分野に広く普及しており、仕事の一部をAIが肩代わりするようになった一方、AIに仕事が奪われるのではないかという懸念も強まっています。海外メディアのBloombergが、異なる業界で働く8人のアメリカ人労働者に対して、「AIの登場で仕事がどう変化したのか?」をインタビューした内容を公開しました。

How AI Is Changing American Jobs, From Teachers to Nurses – Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/features/2025-05-14/how-ai-is-changing-american-jobs-from-teachers-to-nurses


◆美容院オーナー:サマンサ・ラックニー氏
ラックニー氏はAIの登場によって生じた仕事上の変化として、「顧客が希望の髪型としてAI写真を見せてくるようになった」という点を挙げています。AI写真の中には、実際の人間では難しいような髪の長さとボリューム、質感などを併せ持っているケースがあるとのこと。また、パッと見では美しい髪色に感じられるものの、ある部位は暗すぎて別の部位は明るすぎるというように、不自然なものも多いそうです。ラックニー氏は、「これらのAI写真が、私たちが自分自身に課している美の基準に及ぼす影響を心配しています」と述べています。

一方、ビジネス的な観点で言えばAIはとても役に立っているそうで、従業員向けのハンドブックを微調整したり、弁護士が忙しい時に契約書の内容をまとめたり、インテリアの塗装コストを算出したりする際に役立ったとのこと。また、多くの美容院が顧客に向けた説明文の生成にAIを使用しているものの、AI生成の説明文はフォーマットやレイアウトから判断できてしまうため、ラックニー氏は自分の手で説明文を書くことにこだわっているそうです。

◆看護師:ケリー・ウィルソン氏
ウィルソン氏が務める病院では、退院計画の策定をはじめとするさまざまな仕事に、ヘルスケア向けにデザインされたAIアルゴリズムを使っています。このAIアルゴリズムは、患者の入院期間や診断を入力すると、目標退院日に向けて行うべきケアなどを決めてくれるそうです。しかし、このAIアルゴリズムは効率性と生産性を重視しすぎており、患者ファーストではないため、ウィルソン氏は憂慮していると述べています。

ある事例では、ウィルソン氏の病院に予定を超えて入院している患者について、看護師長がAIアルゴリズムのレポートを読みました。AIアルゴリズムは腎臓の透析治療が退院への障壁になっていることを示したため、看護師長は「退院させて外来患者にすればいい」と主張。担当している看護師たちは皆「そんなことをしてはダメだ」と反発したものの、看護師長は退院を主張し続け、最終的に腎臓医が直接拒否するまで止まらなかったそうです。

ウィルソン氏は、「私たちは技術の進歩を評価していないわけではありません。私たちはこれらのプログラムを活用して患者を支援し、提供しているケアを強化できるようにしたいと考えています。私たちは、プログラムがより良い医療を提供する上での別の障壁になることは望んでいません」と述べました。


◆ナレーションアーティストおよび音響エディター:セルジオ・レアル氏
レアル氏は10年以上にわたり、テレビやラジオでナレーションの仕事を行ってきました。しかし、近年はAIが普及しており、ナレーション業界に大小さまざまな影響が及んでいるとのこと。レアル氏は、「真実は、創造的な労働者が苦しむということです。AIにクリエイティブな用途があることを否定するつもりはありませんが、その代わりとしてAIは製品を安くするだけであり、注意と接続が必要なほとんどすべてのケースで、最終的にはAIの採用が裏目に出ます」と述べています。

Bloombergのインタビュー時点では、レアル氏の仕事に直接的な影響はないとのこと。しかし、声優やナレーターは自らの声がクライアントのAIに利用されないことを確認する必要性に直面しているとも主張しています。

◆中学校教師:ウィル・ペイジ氏
ペイジ氏は中学校で数学と社会を教えていますが、学校にはスペイン語圏の国々や東ヨーロッパから来て、まだ英語を学習中の子どもたちが多くいるとのこと。ペイジ氏は社会科の授業で6年生(日本の小学6年生に相当)の内容を教えていますが、同じ教室にはまた1年生レベルの文章しか読めない子どももいるそうです。

そんな環境で教師を務めるペイジ氏にとって、AIは子どもとのコミュニケーションを大きく変えるツールとなりました。AIを使えばテキストの適切なレベル調整が可能であり、たとえ読解力が1年生レベルの子どもでも、ハンムラビ法典がどのようなものだったか理解させられるとペイジ氏は主張しています。

ペイジ氏は、「これは圧倒的な仕事です。もしキャリアの早い段階でAIを持っていたら、もっと早く熟練した教育者になれたと思います」と述べています。それと同時に、かつては週に80時間近く、場合によっては90時間ほど働いていたのが、AIのおかげで週55時間ほどにまで短縮できたことも報告しました。


◆バイオテクノロジー企業の科学者:アシュリー・カイザー氏
カイザー氏の仕事はポリマーやプラスチックなどの材料科学に関するもので、AIのおかげで研究のさまざまな側面が改善されていると主張しています。AIは非常に多くのデータを取り込んで処理することができ、新たな実験データを受け取ったらそれを解釈し、次の実験がどうなるのかを予測することができます。これは、カイザー氏ら人間の科学者ができることを上回っており、AIのおかげで迅速かつ大量の実験をこなせるとのこと。

カイザー氏は、「科学的な方法を実行すると、アイデアや仮説が生まれます。研究室に行ってテストを行い、テストの結果を得て、データを分析しました。そして、新たに得た洞察を取り入れて、新たな仮説を立てます。このプロセスを何度も繰り返すのです。自動化により、これらの実験の多くを連続して実行し、より迅速に洞察を得ることができます」と述べました。

◆ドキュメンタリー映画のアーキビスト:レイチェル・アンテル氏
さまざまなドキュメンタリー映画を収集・整理・保存するアーキビストであるアンテル氏は、ChatGPTがオンラインになり始めた頃、収集したドキュメンタリーに「AIで生成された超リアルな写真」が登場するようになったことに気付きました。ある作品では、物語に登場する女性の1900年代の写真が登場しており、そんな写真があるはずないと思っていたアンテル氏が「この写真はどこで見つけたのですか?」と尋ねたところ、「見つけたのではなく、作り出したのです」と回答されたそうです。

AI生成の写真をドキュメンタリー映画に用いることには、観客に対する透明性の問題がある上に、ドキュメンタリー映画が持つ「信頼できる文化的資源」という性質を損なう危険性もあります。しかし、AIが登場したばかりの頃はドキュメンタリー映画からAIを排除すべきだと考えていたアンテル氏も、近年はAIの存在を受け入れざるを得ないと感じるようになりました。そこで、ドキュメンタリー映画におけるAIの使用基準を開発して、映画に登場したメディアが本物かAI生成かどうか見極める仕事も行っています。


◆モバイルアプリ開発者:トム・リー氏
リー氏が勤める会社にはコード生成AIを制限するポリシーがいくつかありますが、リー氏は生成AIがコーディングで何ができるのかを理解するため、仕事以外の場でAIを試してみたとのこと。その結果、自分自身が熟練した分野ではAIが大きな生産性向上につながったものの、専門知識があまりない分野では物事が悪化し、結局はリー氏が最初からやり直さなくてはならない状況になったそうです。

この理由についてリー氏は、「労働者自身が持っているノウハウが、知らないうちに大規模言語モデルの出力をフィルタリングし、フレーム化している」と考えています。つまり、自分がよく理解している分野では、AIの出力のうち使える部分や間違っている部分、改善すべき点などがすぐに理解できる一方、よく知らない分野ではAI出力の何がよくて何がダメなのかがわからず、結果として失敗してしまうというわけです。リー氏は、自分自身のノウハウがAI出力のパフォーマンスを左右しているという事実について、人々は過小評価していると主張しました。

◆配車サービスのドライバー:カルロス・モンタノ氏
モンタノ氏は約8年間にわたってUberやLyftのドライバーとして働いてきましたが、近年は地域にWaymoなどの自動運転タクシーが走るようになったとのこと。すでにWaymoは週に20万回も利用されており、モンタノ氏のようなドライバーと競合することは間違いありません。

そこでモンタノ氏は、商用運転免許を取得して自営業のタクシー運転手として活動し始めたり、VIPユーザーの乗車を増やしたり、さまざまな種類のサービスを提供したりすることでこれまでとは違う方向性でのビジネスを考えています。モンタノ氏は、「私は自分の仕事が好きですが、これから起きることに備えないわけにはいきません」と述べました。

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🧠 編集部の感想:
AIの導入による仕事の変化についてのインタビューは、職種ごとに異なる影響があることを示しています。看護師や教師などの専門職はAIを活用する一方、その効率性が人間の判断を揺るがす可能性も懸念されています。全体として、AIの進化が業務の生産性向上に寄与する一方で、倫理的な側面や職業の未来についても深く考える必要があると感じました。

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