金曜日, 5月 16, 2025
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「AIに100%を求める」から失敗する。マイクロソフト西脇資哲氏が語る、AIと自然に協働する働き方 |


「このままでは仕事がAIに奪われるって本当?」

「でも、AIはなかなか期待に答えてくれない」

どうすれば、AIとともに共創して、よりよい未来が築けるのか?

そのヒントを知りたくて、足を運んだのが2025年4月23日(水)~25日(金)に東京ビッグサイトで開催された「Japan IT Week 春 2025(システム開発・運用・保守に関する総合展)」。

AI活用からデジタル変革、業務効率化に関するさまざまなカンファレンスが開かれるなか、示唆に富んだ気づきを提供してくれたのが、日本マイクロソフト業務執行役員・エバンジェリストの西脇資哲さんの講演「止まらない!AI人工知能の進化、生成AIからAIエージェントへ」

AIが私たちの働き方をどう変え、企業がこの変革期にどう対応すべきか、具体的なヒントと未来への展望をお届けします。

生成AIから「AIエージェント」時代への転換

IT業界の著名エバンジェリストであり、2009年からマイクロソフト社にてエバンジェリスト活動を継続する西脇さん。AIは今、さらなる進化を遂げようとしていると話します。

これまでAIは、識別・理解・予測、そして生成という機能を提供してきました。

しかし現在はさらに進化して、私たちの代わりに推論し、目的を達成/行動する「AIエージェント」へと変わりつつあるのです。(西脇さん、以下同)

2023年のヒット商品ランキングでは、生成AIが第1位「横綱」に選ばれ、現在では西脇さんが関わる教育現場でも、大学生や中高生が当然のように生成AIを使いこなしているとのこと。

その一方で、日本企業での活用は十分とは言えないと指摘。「現状、生成AIが人の仕事を奪うとまでは言えませんが、AIを使いこなせる企業や人に仕事を奪われる可能性は非常に高い」と警鐘を鳴らします。

日本企業でAI活用が進まない理由は「期待値と会話量」

Photo: ライフハッカー編集部

なぜ日本企業は、AIをうまく使いこなせていないのか。西脇さんは「期待値の不一致」と「会話の不足」が主な原因だと分析します。

西脇さん曰く「日本人は生成AIに100%の完璧さを求めがち」。

AIは自分の言う通りに動くものだと思っていると、現実とのギャップから「まだビジネスでは使えない」と短絡的に評価してしまいます。

西脇さんが約2年間、生成AI導入プロジェクトに携わってきてわかった事実は、日本人のAIとの会話は平均わずか1.2ターンということ。つまり「1回質問して返事をもらったら終わり」というケースがほとんどです。

しかし研究によると、4〜5回のやり取りを重ねることでAIの回答の質が飛躍的に向上することが分かっています。

生成AIに100%を求めるのではなく、一緒に100%に近づけていくというイメージで使うべき。使いこなせるかどうかはテクノロジーの差ではなく、人間の会話力の差です。

講演中、西脇さんはリアルタイムでChatGPTやCopilotを操作し、AIとの対話を実演。最初から複雑なプロンプトを考える必要はない、とアドバイスします。

「プロンプトテクニック」のような言葉を聞くと、多くの人はAIを使うことに尻込みしてしまいます。

AIとのコミュニケーションは、同僚と話すときのような自然な会話で十分。特別な構文や形式ばった表現は必要ありません。

わからなければ「AIにプロンプトも考えてもらう」といった発想も取り入れながら、一緒に100%を目指すのが使いこなしの鍵になりそうです。

AIを「人材戦略」として捉えるべき理由

AIを最大限に活用するためには、すべてを任せるのではなく、協働のパートナーとして位置づけることが重要だと語る西脇さん。

AI導入は単なる「テクノロジー戦略」ではなく、「人材戦略」として捉えるべきだと提案します。

私も会社を経営していますが、経営者はみんな優秀な人材が欲しい。でも、私の会社に東大出身者が来てくれるかといったら難しいでしょう。

しかしAIの力を借りれば、すべての従業員の能力を底上げすることが可能です。

西脇さんが強調したのは、Microsoft Copilotの統合力。Copilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlookといったマイクロソフトの日常業務アプリケーションと直接連携し、セキュリティレベルも一致しています。

ChatGPTで情報を得る場合、コピー&ペーストする手間やセキュリティリスクが生じますが、Copilotならアプリケーション内で直接AIを利用できるため、これらの問題が解消されるのです。

AIが私たちの代わりに日常業務をこなせば、私たちはより創造的な仕事に集中できる」と西脇さんは語ります。

デモンストレーションではボイスメールの文字起こしと要約、上司からのメールの検索、スケジュール調整、迷惑メールフィルターの作成、データのExcel化など、AIが実際に作業を代行する様子が紹介されました。



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編集部の感想:
AIとの協働を促進するには、まず期待値を現実に合わせることが重要です。西脇氏が指摘するように、AIは完璧でなくとも共に成長できるパートナーとして活用すべきです。日本企業がその潜在能力を最大限に引き出すためには、会話力を高めてAIとのコミュニケーションを深める努力が必要です。

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