「資産価値2円」ってマジか…DeNA出身社長のユニコーンが倒産した「衝撃の真相」写真はイメージです Photo:PIXTA

2016年に始まった電力自由化によって新電力が注目されていた頃に、急速に伸びていたユニコーン企業「パネイル」。DeNA出身の若手社長はその経営手腕をふるい、時流に乗ったビジネスを展開したものの、突如赤字を発表。順調に成長していたかに見えた同社に、一体何があったのか。※本稿は、帝国データバンク情報統括部『なぜ倒産 運命の分かれ道』(講談社+α新書)の一部を抜粋・編集したものです。

AIとクラウドを活用し
時流に乗ったビジネスを展開

社名 パネイル
事業内容  新電力向けシステム開発
負債 約61億4200万円

 電力自由化時代のプラットフォームを提供する企業として、かつては多くのメディアで取り上げられた期待のユニコーン候補だったが、2020年以降はほとんど忘れられた存在となっていた。

 名越達彦社長は学生時代、鳥人間コンテスト選手権大会優勝チームのメンバーであり、株式会社ディー・エヌ・エー(東証プライム)入社後は同社の代名詞的存在であるモバゲーの立ち上げに携わったバイタリティ溢れる人物だ。

 眼のつけどころもよかった。時流に合わせてスピーディに事業を展開していく経営センスが名越社長にはあった。当初は太陽光発電事業者の営業を代行、法人・個人のユーザーを獲得する「太陽光発電顧客紹介サービス」というポータルサイトの運営や、部材の調達代行サービスを手がけ、2012年に開始された固定価格買取制度(FIT)による太陽光バブルに乗って順調に会員数を増やしていく。

 ところがバブルが崩壊するころにはこれらの事業をあっさりやめる。早くも次の成長市場を見つけていた。新電力をターゲットに、2016年4月にサービスを開始した「Odin(オーディン)」、のちの「Panair Cloud(パネイルクラウド)」だ。