日本政府は本日(2025年6月3日),「知的財産推進計画2025」を決定し,資料を公開した。コンテンツ産業の海外展開やAI関連の動向,メタバースなどにおけるクリエイター支援の環境整備などを盛り込んでいる。
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日本のコンテンツ産業の市場規模は,2023年時点で13.3兆円であり,石油化学産業と並び,半導体産業よりも大きい。海外市場規模は5.8兆円であり,このうち2兆4833億円を「家庭用ゲーム(オンライン)」,8697億円を「家庭用ゲーム(ソフト販売)」が占めており,政府は今後もゲーム市場が,コンテンツ市場の海外展開をけん引する分野として期待しているという。
また,政府はエンタメ・コンテンツ産業について,海外市場規模を2033年までに20兆円に拡大する目標を掲げている。
今後のコンテンツ産業の消費者および担い手はデジタルネイティブ層が中核となってくることを想定し,新たなデジタル技術等を活用した高品質なデジタルコンテンツの創出を可能とする産業基盤の整備も目指していく。
例えば,Web3.0やメタバースなどの技術を活用した,個々のクリエイターを支援する環境整備の取り組みなどである。
また,AIについては,企業の業務における生成AIの利活用は海外と比較して進んでいないとした。権利者への対価還元の機会が得られないことや,AI業者による情報開示が進んでいないことにより,AI利用者側として訴訟リスクがあり,利活用を躊躇してしまうといった影響が生じている。
日本企業のAI利活用率を概ね100%にまで高めることなどを目標にし,今後,「AI 事業者ガイドライン」などを通じて,AI事業者による主体的な開示対応を促すとともに,国際的な働きかけも行いつつ,透明性を確保するなどの方向性を示した。
そのほか,海賊版・模倣品対策の強化や新たなクールジャパン戦略の実装なども盛り込まれている。詳細は,下記リンクから確認してほしい。
首相官邸「知的財産推進計画2025の概要」(PDFファイル)
首相官邸「知的財産推進計画2025」(PDFファイル)
🧠 編集部の感想:
「知的財産推進計画2025」によって、日本のゲーム市場が国際的に拡大することが期待されるのは素晴らしい。特に、生成AIの透明性確保が進むことで、クリエイターや企業が安心して新技術を活用できる環境が整うことは重要だ。また、デジタルネイティブ層を意識した戦略が、今後のコンテンツ産業を活性化させる可能性があることにも注目したい。
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