📌 概要
大阪地方裁判所は、原告ユーロスクリーンASの特許第3,288,384号に対する請求を棄却しました。この特許はケモカイン受容体に関連するものであり、原告は特許が有効であると主張し、小野薬品工業に対して特許侵害の訴訟を起こしたものの、裁判所は特許が新規性や進歩性を欠いており無効であると認定。結果、16億円の損害賠償請求も認められませんでした。大阪地裁は、先行技術の非特許文献をもとに判断し、特許庁の審査が不十分だったことも指摘しています。特許の正当性を検証するための調査範囲の拡張が求められる事例です。
📖 詳細
大阪地方裁判所の特許無効判決
概要
- 原告: ユーロスクリーンAS(特許権者)
- 特許番号: 3,288,384(ケモカイン受容体88-2B及びその抗体)
- 判決内容: 原告の請求棄却、特許無効
判決の詳細
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特許の有効性の検証:
- 原告が特許の「有効性」を確認したかどうかは不明。
- 特許の「有効性」とは、第三者からの無効審判に対してもその特許が堅固であると確認することを指す。
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訴訟の背景:
- 原告は小野薬品工業に対し特許侵害を提訴。
- 大阪地方裁判所は、特許が新規性や進歩性を欠くと認定し、原告の権利行使を認めなかった。
- 結局、16億円の損害賠償請求は認められなかった。
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特許の無効理由:
- 基礎出願が実施可能要件を満たさず、優先権が認められなかったため。
- 先行技術文献として「乙10文献」と「乙11文献」が挙げられ、これらは審査段階では見つからなかった。
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特許庁の審査問題:
- 特許庁の審査官は特許文献のみを考慮したため、非特許文献も調査範囲に加えるべきと指摘。
- このため、特許が不当に付与された可能性があるとされる。
- 関連資料:
- 特許公開の「出願情報」の「FI」と「Fターム」の資料も提供され、検索用語や論理検索式の例が添付された。
まとめ
本件は、特許の有効性と審査の重要性が問われる事例であり、特許権の行使が認められなかった背景には複雑な要因が絡んでいます。特許庁の審査体制の改善が求められています。
🧭 読みどころ
この記事は、大阪地方裁判所が特許権の無効を認定した事例を取り上げています。原告ユーロスクリーンASは、特許の有効性を確認せずに訴訟を起こした結果、損害賠償を得られませんでした。特許審査の過程で非特許文献が見つからなかった問題提起もあり、特許審査の品質向上の必要性が示されています。この例から、特許の有効性確認や文献調査の重要性が得られます。
💬 編集部メモ
この記事を取り上げた理由は、特許権の有効性に関する重要な裁判例を通じて、特許制度のフレームワークや審査の課題を考察するためです。特に、大阪地方裁判所が判断した「特許が新規性や進歩性を欠く」という一節からは、特許に関する厳格な基準が求められていることが伺えます。また、非特許文献の重要性が強調されている点にも注目したいです。皆さんも、特許申請を考えている際には、これらの要素を十分に検討することをお勧めします。
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