金曜日, 5月 16, 2025
ホームニューステックニュース「渋滞料金」が導入されたニューヨークでは車が減って渋滞が緩和された上に交通改善のための収入も増加したという報告 - GIGAZINE

「渋滞料金」が導入されたニューヨークでは車が減って渋滞が緩和された上に交通改善のための収入も増加したという報告 – GIGAZINE



「渋滞料金」が導入されたニューヨークでは車が減って渋滞が緩和された上に交通改善のための収入も増加したという報告 - GIGAZINE


メモ


Congestion Pricing(渋滞料金制度)は、バスや鉄道、電気などの公共財の需要過剰を緩和するため、利用料金を需要のピーク時に引き上げたり、道路料金を課したりする制度で、シンガポールやロンドンなどで導入されています。ニューヨークは2025年1月から中央ビジネス地区通行料プログラム(CBDTP)という自動車交通に対する渋滞料金を導入しましたが、4月時点の導入の効果について、The New York Timesが調査結果をまとめています。

Here Is Everything That Has Changed Since Congestion Pricing Started in New York – The New York Times
https://www.nytimes.com/interactive/2025/05/11/upshot/congestion-pricing.html


ニューヨークでは2025年1月5日に渋滞料金として通行料を導入し、マンハッタン60丁目から中心部へと日中に乗り入れるほとんどの車両を対象として、9ドル(約1300円)の支払いを求めるようになりました。The New York Timesは研究者や消防署、レストラン予約プラットフォームなどあらゆるところから情報を集め、渋滞料金によって生じた変化を以下のようにまとめています。

・路上の車:減少
・交通速度:大きく改善
・通勤ラッシュ時の交通:さらに速くなった
・ローカルバス:より速く、より遅れないように改善
・中心部以外の交通:悪くはなっていない
・ニュージャージーからの通勤:改善
・公共交通機関の利用者数:かなり増加
・タクシーの運行:増加
・シティバイク旅行:中心部内外を駆け巡る
・自動車事故による怪我:減少
・駐車違反:減少
・交通騒音に関する苦情:減少
・消防の火災対応時間:わずかに短縮
・スクールバスの遅延:減少
・都市中心部への訪問者:増加
・レストラン、ブロードウェイ:現状維持またはやや好調
・大気汚染:まだ評価不可能
・低所得の通勤者への影響:まだ評価不可能
・世論(制度への支持):素晴らしいとは言えないが、改善しつつある

連邦政府はニューヨークが導入した渋滞料金について、「労働者階級の通勤者に不当な負担を強いる」として、2025年5月末までに廃止するよう要求していました。The New York Timesの調査結果によると、これまでのところ渋滞料金の導入によって渋滞が大きく緩和された上で、通行料収入が初年度には約5億ドル(約720億円)に達すると見込まれているとのこと。

また、シエナ大学が2024年12月に実施した世論調査(PDFファイル)では、ニューヨークの有権者のうち、渋滞料金制度を支持するのはわずか32%でしたが、2025年3月にシエナ大学が実施した再調査や、4月にマリスト大学が実施した世論調査(PDFファイル)では、約40%が制度の継続を支持しました。渋滞料金制度は導入直前の世論調査では不評でしたが、渋滞料金制度のメリットがより実感できるようになるにつれて、制度への支持が増していくと考えられています。

以下は、ニューヨークの公共交通機関を運営するMTAが提供している交通データを元に作成された、渋滞ゾーンへの進入車両数を示したグラフ。緑が実際の車両数で、グレーが過去の交通傾向から予想される車両数。2025年4月には、12%の交通量が削減されていることがわかります。


スタンフォード大学、イェール大学、Googleの研究者が実施した研究によると、ニューヨークの渋滞料金は中心部の交通速度が上昇しただけではなく、中心部以外にも波及効果があり、都市圏全体の交通量が削減されたとのこと。中心部の平均交通速度は他の対象都市と比較して15%上昇し、実際の移動時間が約8%短縮されたほか、車両が排出すると推定される二酸化炭素の減少も見込まれています。

また、渋滞料金の導入が発表された際に、一部の地域団体からは「通行料を回避しようとするドライバーが遠回りした結果、中心部以外の交通量が増えて大気汚染をもたらすのではないか」という懸念の声が上がりました。しかし、ニューヨーク運輸局によると、ニューヨーク南西部のサウスブロンクスにおける交通量は、前年と比べてわずかに減少しているそうです。

その他の波及効果として、渋滞地域の交通量が減少したことで、交通事故も中心部では14%減少、中心部以外でも9~11%ほど減少したことをニューヨーク市警察は報告しました。交通調査シニアディレクターのフィリップ・ミアトコウスキー氏は「(渋滞料金による)渋滞の緩和は、交通量の減少だけではなく、二重駐車や交差点の閉鎖、ハンドルを握ると怒りっぽくなる『ロードレイジ』の減少など、他の面でも安全性を高めている可能性があります」と指摘しています。

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🧠 編集部の感想:
ニューヨークの渋滞料金導入による効果は、交通の改善だけでなく、公共交通の利用促進や収入増加にもつながっています。このシステムが他の都市でも参考になる可能性を秘めており、持続可能な交通政策の一環として期待されます。ただし、低所得層に対する影響や世論の支持がどう変化していくかは、今後の重要な焦点となるでしょう。

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