「海底並みの水圧を克服！地芳トンネル」

この動画では、愛媛県と高知県を結ぶ「地芳トンネル」というトンネル工事の難しさと、その背景について詳しく解説しています。

トンネル概要

地芳トンネルは、国道440号の一部であり、2000年から2010年にかけて建設されました。全長290mの山岳トンネルで、急カーブや急勾配が多く、安全面での課題を抱えていた地域において非常に重要な交通路となっています。

技術的な挑戦

このトンネルの建設は、凶悪な地下水の水圧に直面したため、非常に難易度が高かったことが特筆されます。地芳トンネルは、標高1080mの地点にあり、海底トンネル並みの水圧の影響を受けていたため、周到な対策が求められました。

地下水の影響

特に影響を与えたのは、カルスト地形の影響による地下水の豊富さです。この地域には大量の地下水が蓄えられており、施工中に水圧が2MPaに達し、毎分20トンの水が湧き出すという事態も発生しました。これにより、工事は当初予定していた期間を大幅に超え、さらなる対策が必要となりました。

対策と対応

工事中に遭遇した地下水の問題に対して、水抜きトンネルの構築や地下水注入による対策が講じられました。しかし、これにもかかわらず、崩壊が発生し、工事は一時中断。最終的に、調査を基にしてより強固な構造を採用することで、問題を克服しました。

完成とその影響

2010年にトンネルが正式に開通すると、旧道と比較して約25分の時間短縮を実現し、地域の文化的経済的交流にも寄与しています。住民からは大きな感謝の声が上がり、トンネルは地域にとっての重要なインフラとして機能しています。

この動画は、トンネル工事に伴う地下水の影響と、それに対する技術的な取り組みの重要性を理解するための貴重な内容を提供しています。特に地質や地下水の扱いに関する知識が、今後のトンネル工事の参考となることでしょう。

🧠 編集部より：

地芳トンネルの難工事と地下水圧

概要
地芳トンネルは、愛媛県と高知県を結ぶ国道440号の一部として建設され、全長290メートルの山岳トンネルです。このトンネルは、2000年から2010年にかけて建設され、急峻な山岳地帯を通るため、過去の道路では交通障害が多発していました。そのため、新道路の整備と同時にこのトンネルが建設されることになりました。

難工事の背景
地芳トンネルは、特に地下水の水圧が非常に高いエリアに位置しています。標高1080メートルの地点で海底トンネル並みの水圧に直面し、そのため非常に難しい工事が強いられました。特に、地下水を多く含むカルスト地形の下での建設は予想以上の苦労を伴いました。

技術的課題
トンネル工事は1980年代から始まっていましたが、実際の掘削本体は2000年から。掘削を進める中で、2001年4月に地下水が大量に湧き出て、毎分20トンの水量と水圧2メガパスカル（200メートルの水深に相当）という異常な水圧に苦しむことになります。これは地層の上部にあるカーバスト層から地下水が押し出されることによるもので、一時は全作業が中断しました。

水管理の工夫
問題を解決するため、最初は水抜きトンネルの構築が考えられましたが、地域の水源への影響も懸念され、方針が転換され、水注入による対応が行われました。過去の成功事例を元に水ガラス系薬液を注入し、地下水の浸透を防ぐために努力しましたが、全てがスムーズには進まず、工事の後期には特に複雑な工法が採用されました。

成果
最終的には、地域住民からの感謝も受けつつ、2010年には自吉道路が全線開通。元々24キロメートルあった峠越えの道が約9キロメートルに短縮され、34分の時間短縮を果たしました。このトンネルは現在、地域経済や文化の交流に大きく寄与しています。

参考リンク

• 鳥形山鉱業所の解説動画

豆知識

1. カルスト地形について：日本有数のカルスト地形は、四国にも存在し、多くの鍾乳洞が見られます。地下水がカルスト地形の形成に大きな役割を果たしています。
2. トンネル工事の歴史：日本国内でも、トンネル建設には多様な技術や工法が必要ですが、近年では環境に配慮した施工が求められるようになっています。

このように、地芳トンネルの建設は単なるインフラ整備だけでなく、地域全体に影響を与える重要なプロジェクトでした。

• キーワード: 地下水圧