

月面電波望遠鏡「LuSEE-Night」がもうすぐ完成へ
2025年8月4日、ブルックヘブン国立研究所が月面に設置予定の電波望遠鏡「Lunar Surface Electromagnetics Experiment-Night(LuSEE-Night)」の主要機器の調達が完了したと発表しました。この望遠鏡は、2026年に打ち上げられることが予定されています。
LuSEE-Nightの概要
LuSEE-Nightは月の裏側に設置され、厳しい環境条件に晒されます。具体的には、14日間続く完全な暗闇と14日間の明るい日差しが交互に訪れ、温度が約-170℃から+140℃まで変動します。しかし、この場所は地球や太陽からの電波干渉を受けにくく、独自の観測環境を提供します。
特に重要なのは、宇宙の「暗黒時代」に発信されたとされる「Dark Ages Signal」を検出することです。これはビッグバンから約38万年後に起こった初期宇宙の信号であり、Earth上では多くの干渉があるため観測が難しいですが、月の裏側では明瞭に捉えることが期待されています。この信号の発見は、暗黒エネルギーの性質や宇宙の形成に関する理解を深めることにつながる可能性があります。
参加機関と技術
プロジェクトはカリフォルニア大学バークレー校宇宙研究所が主導し、ブルックヘブン国立研究所やローレンスバークレー国立研究所などの複数の機関が参加しています。中心的な技術は、ブルックヘブン国立研究所によって特注された高感度の電波分光計です。この分光計は、LuSEE-Nightのアンテナで捕らえた信号を科学的に分析し、初期宇宙の電波帯域をほぼ100%の確率で受信可能です。
今後のスケジュール
LuSEE-Nightの組み立ては進行中で、2025年夏にはユタ州立大学で環境テストが行われる予定です。その後、最終的には月着陸船「ブルー・ゴースト2」に統合される予定です。
このプロジェクトは、宇宙の謎を解明するための重要な一歩となるでしょう。科学者たちはこの新たな観測手段を利用し、宇宙の構造や進化に迫る研究を進めることが期待されています。
🧠 編集部より:
補足説明
月面電波望遠鏡「LuSEE-Night」プロジェクトは、宇宙の初期状態を理解するための重要なステップです。この望遠鏡は、月の裏側に設置され、高感度の電波分光計を用いて約38万年前のビッグバン後の「暗黒時代」に発信された電波を検出します。この時期は、星や銀河が形成される前の宇宙の4898億年の歴史の中で非常に重要な段階であり、これを研究することで暗黒エネルギーや宇宙の進化の謎解明に寄与する可能性があります。
背景と豆知識
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宇宙の暗黒時代: 宇宙のごく初期、まだ光を放つ物体が存在しなかった時代であり、その信号を捉えることは宇宙の構造形成の理解に欠かせません。
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月の裏側の特性: 地球や太陽からの電波干渉が少なく、観測環境として非常に優れています。これにより、地球では捉えることが困難な信号でも、LuSEE-Nightは明確に受信できる可能性があります。
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他のプロジェクトとの違い: 多くの分光計は電波の1%しか捕らえられない中、LuSEE-Nightに搭載される技術は100%の受信成功率を目指して設計されています。
関連リンク
- 【LuSEE-Nightプロジェクトの詳細】BNL Newsroom – Scientists and Engineers Craft Radio Telescope Bound for the Moon
- 【月面での電波観測の重要性】BNL Newsroom – Lunar Telescope Will Search for Ancient Radio Waves
このプロジェクトは、宇宙探査の新たな可能性を切り開き、私たちの宇宙に対する理解を一層深めることが期待されています。
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キーワード: 月面電波望遠鏡
これは、月面に設置される「LuSEE-Night」という電波望遠鏡が、宇宙暗黒時代の電波を検出する能力を持つことで、宇宙の謎を解明することが期待されているという内容です。
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