土曜日, 5月 17, 2025
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「推し」に生きるか、「沼」を避けるか?76%が熱狂する“大学生の趣味” |


情報が瞬時に駆け巡り、無数の「好き」が可視化される現代。私たちは、自分だけの特別な「何か」とどう向き合い、日々を彩っているのだろうか。

「推し活」という言葉が市民権を得て久しく、何かに熱中する姿はもはやクールな自己表現のひとつ。この潮流は、趣味の世界にも大きなうねりをもたらしている。

熱中できる「マイフェイバリット」を持つ
大学生のリアルな割合

株式会社「RECCOO」が運営するZ世代に特化したクイックリサーチサービス『サークルアップ』が2025年4月に実施した調査は、まさにそんなイマドキ大学生のリアルな趣味との向き合い方を鮮やかに映し出す。

同調査によると、現役大学生のじつに75%が「現在、お金や時間をかけるほどの趣味がある」と回答。これは、4人に3人が生活の中に「沼れる」対象を見つけていることを意味する。いっぽうで、「ない」と答えたのは残りの25%。多くの学生が、多忙な日常の中にも、心を躍らせる何かを確かに掴んでいるということだろう。

では、彼らの心を射止めているのは具体的にどんなジャンルなのか。人気の趣味としてトップ3に輝いたのは、1位「音楽」(16%、80人)、2位「旅行・観光」(15%、77人)、そして3位「スポーツ」(14%、70人)という結果。次いで「ゲーム」(9%、44人)が続く。

この結果に対し、調査に協力した学生ライターからは「趣味とまではいかなくとも、音楽を通じて友達との話が盛り上がることはよくあるので、ある程度は知っておきたい分野かもしれない」といったコメントも。趣味が純粋な楽しみだけでなく、仲間とのコミュニケーションを円滑にするスパイスとしての役割も担っていることがうかがえる。

©株式会社RECCOO

©株式会社RECCOO

時間もお金も「推し」のためなら
76%が抱く、さらなる深掘り願望

特筆すべきは、趣味を持つ大学生の多くが、その「好き」をさらに深め、広げたいという強い意欲を持っている点。

「自分の趣味に、よりお金や時間を費やしてみたいと思うか」との問いには、驚くべきことに76%が「かなり思う」または「まあ思う」と熱烈に肯定。これは、趣味が単なる気晴らしや暇つぶしを超え、自己投資であり、生活の質を高めるための積極的なアクションとして捉えられている証左だろう。時間やお金といった貴重なリソースを、自らが心から価値を見出す対象へと注ぎ込みたいという、彼らのピュアな情熱とも捉えることができるのではないだろうか。

また、この傾向は、昨今の「推し活」文化の隆盛と決して無縁ではない。好きなアーティストのライブに全国を飛び回り、限定グッズをコンプリートし、聖地と呼ばれる場所を巡礼する。あるいは、特定のスポーツチームの勝敗に魂を揺さぶられ、選手の一挙手一投足に熱い視線を送る……。

その対象はアニメ、漫画、俳優、インフルエンサーと多岐にわたるが、何かひとつのことに心血を注ぎ、知識を深め、リアルな体験を積み重ねることで得られる高揚感は、共通の魅力だ。この趣味への没入感と投資意欲の高さは、まさに現代を象徴する価値観のひとつの発露とも言えるだろう。

©株式会社RECCOO

「好き」で共鳴する時代の光
「何もない」が怖い影

さらに目を引くのは、趣味を介した他者との結びつきの強さ。「周りの友達と趣味がよく被るなと思ったことはありますか」という質問に対し、54%が「かなり思う」または「まあ思う」と回答。半数以上が、身近な友人たちと同じ「好き」を分かち合っている実感を持つようだ。

XやInstagramで「#〇〇好きな人と繋がりたい」「#趣味垢さんと繋がりたい」といったハッシュタグが日常的に飛び交い、共通の興味関心を持つ者同士が瞬時に、そして国境さえも越えて繋がれる現代。趣味は、リアルな人間関係を豊かにするだけでなく、オンライン上に新たな共感コミュニティを形成する強力なマグネットなのだろう。同じ話題で心を通わせ、熱量を共有することで生まれる一体感や安心感は、多くの人にとって何物にも代えがたいものだから。

しかし、その華やかな世界の片隅には、見過ごせない影も存在する。今調査では、現役大学生の35%が「趣味がないことに対して、不安・焦り・コンプレックスなどを感じた経験がある」と胸の内を明かしている。

「みんな楽しそうに何かに夢中なのに、自分だけ取り残されているような気がする……」。そんなふうに、漠然とした疎外感や焦燥感を抱える人が決して少なくないという現実。

誰もが「リア充」な瞬間を切り取って発信するSNS時代だからこそ、「自分には語れるものがない」という感覚が、「何か特別なものを持っていなければならない」という無言のプレッシャーへと転化しやすいのかもしれない。趣味を持つのは当たり前という社会全体の空気が、知らず知らずのうちに誰かの心を重くしている可能性も。

©株式会社RECCOO

「タイパ」の先にある充足感

上位にランクインした音楽、旅行・観光、スポーツ。これらは一見すると普遍的な趣味だが、その背景には「タイパ(タイムパフォーマンス)」だけでは測れない、現代ならではの価値観ウェルビーイングへの意識が色濃く反映されているのではないだろうか。

たとえば音楽。サブスクリプションサービスで膨大な楽曲にアクセスし、AIがレコメンドする新たな出会いに胸をときめかせる。いっぽうで、フェスやライブといった一度きりの「生」の体験には時間も費用も惜しまない。これは、効率的なインプットと、そこでしか得られない感動や没入感を両立させようとする姿勢の表れかもしれない。

旅行・観光もまた、「コスパ」や「タイパ」を意識しつつも、そこで得られる体験の質、つまり「コト消費」を重視する傾向。ただ観光地を巡るだけでなく、その土地ならではの文化に触れたり、日常を離れて自分自身と向き合ったりするデトックス旅やワーケーションのようなスタイルも広がりを見せる。これは、リフレッシュや自己成長といった、精神的な充足感を求める動きと連動しているとも捉えられる。

スポーツは、健康志向の高まりはもちろん、「推し」の選手やチームを応援する熱狂、仲間と汗を流す一体感など、多様な魅力を持つ。eスポーツのように、場所を選ばずオンラインで繋がれる新しい楽しみ方も定着。フィジカルな充実感だけでなく、メンタルヘルスへの好影響も期待される。

これらの趣味が支持されるのは、単に楽しいから、流行っているからという表層的な理由だけではないだろう。それらが自己実現や他者との深い繋がり、そして何よりも日々の生活における精神的な安定や幸福感に貢献してくれるからこそ、時間やお金をかけてでも深く関わりたいと願うのではないか。

情報過多の時代だからこそ、自分自身の「心地よさ」に耳を澄ませてみては?誰のためでもない、あなただけの「好き」が、きっと見つかるはず。

【調査概要】
・調査日:2025年4月3日
・調査機関(調査主体):サークルアップ運営(株式会社RECCOO)
・調査対象:アルバイトをしている大学1年〜4年の大学生
・有効回答数(サンプル数):500人
・調査方法:サークルアップのアンケートオファー

Top image: © iStock.com / AsiaVision





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🧠 編集部の感想:
大学生が趣味に深く没入する姿勢が現代の自己表現として注目されているのは興味深いです。特に「推し活」がコミュニティ形成や自己投資に繋がっている点は、時代の価値観を映し出しています。しかし、一方で趣味がないことへの不安が存在することも、社会的圧力として無視できない現実を示しています。

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