「所作としての美」──Apple製品と出会って、私は“暮らし”をアートにと思ったKazuhiko

全てのことに芸術であれ──Apple製品が私の暮らしをアートにする理由墨を“指で描く”アーティストと出会ってある朝、いつものように「めざましテレビ」の人気コーナー「キラびと」を見ていたときのこと。紹介されていたのは、一風変わった墨絵師──**荒川颼（あらかわ しゅう）**さんというアーティストでした。彼は、筆を使わずに**“手や指”だけで墨を操る**という、日本唯一の“指墨”アーティスト。絵の具のように墨を掬い、キャンバスに滑らせ、飛ばし、弾き、ときには指先で叩くようにして、馬や龍、鳳凰などの生命を宿す作品を描きます。特に「跳墨（ちょうぼく）」と呼ばれる技法は、墨の粘性や流れを熟知した者にしか使えない、極めて繊細かつ野性的な描写技術で、彼の代名詞とも言える手法です。そんな荒川さんが番組の最後に語った言葉が、私の心に深く刺さりました。「全てのことに芸術であれ」この一言が、その日一日、そしてその後の日々までも、私の心の奥に静かに残り続けたのです。⸻芸術とは、“特別な人”だけのものなのか？かつて私は、「芸術」という言葉に少し距離を感じていました。絵を描く人、詩を書く人、音楽を奏でる人──どこか特別な感性やスキルを持つ人だけが扱う“特別な領域”。それが芸術なのだと思い込んでいたのです。でも荒川さんの「全てのことに芸術であれ」という言葉は、その考え方の根っこをやさしくほぐしてくれました。たとえば──朝のコーヒーを丁寧に淹れる。花を選んで、一輪だけ飾る。声をかけるとき、言葉をそっと選ぶ。こうした、誰の目にも止まらないような行為にさえ、美しさへの意識が宿るとき、それは“芸術”になり得るのだと。そして私は、荒川さんからもうひとつ、**「自分自身の内にあるものを感じることの大切さ」**を教わったように思います。それは、周囲から“かっこよく見られる生き方”を目指すのではなく、自分の感性に忠実に、静かに内側の声と向き合うことの尊さ。そこにこそ、“芸術としての人生”があるのだと感じさせてくれました。⸻そして私は気づいた──Appleが好きな理由も同じだったこの言葉を反芻しながら、ふとあることに気づきました。私がApple製品を長年愛用し、心から好きだと思っている理由も、まさにこの「芸術性」にあるのではないか──と。もちろん、スペックや性能、ブランドへの信頼もあります。けれど、それだけでは説明しきれない「心が動く感覚」が、Apple製品にはあるのです。その理由をひとことで言えば、**Apple製品は“所作として美しい”**のです。⸻iPhoneの動作ひとつが、日常のリズムを整えるたとえば、カフェのテーブルに置かれたiPhone。鞄から取り出す動き、指先で画面をタップする仕草、スッと開くロック画面、自然に切り替わるアプリの滑らかさ──これらすべてが、「使う」というより、**“馴染む”**に近い。PCを取り出してバチバチとキーを叩く時の「始まるぞ」という構えとは対照的に、iPhoneは呼吸のリズムに似た軽やかさで、日常に溶け込んでいきます。そこには「目立たないけれど整っている」という余白の美学がある。このさりげなさが、まさしく芸術なのだと私は感じるのです。⸻Apple製品は“美しい習慣”を導いてくれる私は夜、iPhoneを開いて明日の天気を確認します。お気に入りのノートアプリに、今日の感情を少しだけ書き留める。それから静かな音楽を流し、心を落ち着かせてから眠る。これらの行動は「タスク」ではなく、**“所作”**です。決まった手順の中に、安らぎがあり、リズムがあり、美しさがある。Apple製品は、そんな**「感覚の整え方」**を教えてくれる存在なのだと思います。それは単に機能的というより、心の動きに寄り添う美学なのです。⸻「重くない」という自由さApple製品の軽さは、重量だけの話ではありません。その所作すべてが「生活を重くしない」という設計思想でできていると感じます。たとえばノートPCを開いて作業を始めると、どうしても「仕事モード」になってしまい、空間の空気も変わります。一方で、iPhoneはあくまで“私”という存在の延長線上にある。カフェにいても、山の上でも、ベッドの中でも、iPhoneは空気を変えずに、そっと寄り添ってくれるのです。その“自由さ”が、私にとっては、美しく生きるための道具であることの証明のように思えるのです。⸻アートとテクノロジーの調和という思想Appleが他のデバイスメーカーと一線を画していると感じるのは、やはり「技術」と「美意識」の両立に、妥協がないことです。・フォントの選び方・アニメーションの滑らかさ・触れた時の反応速度や余韻の設計どれもが、“ただの道具”には収まらない芸術的な感性に基づいている。これはまさに、荒川颼さんが「指で墨を操る」ときに宿る感覚と、どこかで響き合っている気がしてならないのです。⸻所作に宿る美しさ、それが人間らしさAIが暮らしのあらゆる場面に浸透している今、“人間らしさ”とは何かを改めて問われるようになった気がします。情報を処理すること。速く正確に答えること。そうしたことは、AIに任せてしまえばいい。私たちが向き合うべきなのは──所作の美しさをどう育むか、ということかもしれません。たとえば：・音を立てずにカップを置く・ゆっくりと呼吸する・静かに画面を閉じるこうした動作のひとつひとつに、“丁寧に生きること”への美意識が宿る。Apple製品は、そうした所作を育てる“環境”を静かに支えてくれていると私は思います。⸻最後に──芸術であるように、生きていく「全てのことに芸術であれ」この言葉は、私にとって“目指す暮らし”の指標になりました。それは絵を描くことでも、楽器を奏でることでもなく、日々の行動を、自分なりのリズムで丁寧に紡ぐこと。・iPhoneを丁寧に扱う・Macのトラックパッドを撫でるように操作するそうしたすべてが、私にとってのアートであり、生き方そのものを作品にするという表現なのだと感じています。そしてこれからも、私はApple製品とともに、「所作を整えること」「感覚を研ぎ澄ますこと」

そんな静かな芸術を、日々のなかで育んでいきたいと思っています。