土曜日, 5月 17, 2025
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「前向きな言葉がしんどい…」無理なポジティブ思考をやめた方が楽な理由


あなたも「ポジティブ言葉自分そう」われことありませんか?

誰か必要いる」大切存在だ」

そんな言葉毎日自分言い聞かせることで、気持ち前向きなり、自己肯定高まるわれています。

自己啓発SNSでも、こうしたポジティブ思考大切盛ん紹介ています。

けれど、そうした言葉えても「なぜか余計しくなる」「逆に落ちんでしまう」という経験したいるではないしょうか?

実は、これらの言葉はすべて効果ず、むしろ自尊心低い効果なる可能性あることが報告されています

こうした事実は、カナダウォータールー大学(University of Waterloo)ニューブランズ大学(University of New Brunswick)研究チームから報告されています

研究の詳細20097学術誌『Psychological Science』掲載した

目次

  • 前向きな言葉がつらく感じてしまう人
  • 自己肯定感の低い人に「前向きな言葉」が逆効果になるワケ

前向き言葉らく感じてしまう人

Credit:canva

長年、ポジティブ自己暗示(Positive Self-Statements)自信幸福高める考えした。

しかし、カナダのウォータールー大学の社会心理学者ジョアン・ウッド博士は「これが本当にでも効果あるか?」という疑問した。

これ心理で「自己検証理論(self-verification theory)」呼ばれる考え方に則った疑問です。

たとえ否定的な言葉であっても、自分現在自己イメージ合う情報方が受け入れやすい傾向があります

自己肯定低いは、自分価値低い存在感じいること多いため、過度られるよりも、自分認識一致する控えめ評価や、時に否定意見が「自分正しく理解てくいる」感じ、違和感なくなるです。

そのため「クズ」「ダメな大人だね」などと言われて逆に喜ぶ人たちがいます。

こうした考えに従うと、自己肯定感の低いは「自分は必要とされている」などのポジティブな言葉を自身に言い聞かせると、自分欠点意識てしまい逆に気分なるではない考えたのです

研究チームはまずカナダ大学生250に対し、「自分を励ます言葉をどのくらい使うか」を調査しました。すると半数が「頻繁使っている」答え、試験プレゼンなど緊張する場面よく活用いることわかした。

そこでチームは、68学生を自己肯定感高い群(high self-esteem group)と自己肯定感低い群(low self-esteem group)分け、こうした言葉の効果について2つの実験で検証を行いました

まずは「私はみんなから愛されているI am a lovable person)」というフレーズ繰り返しもらい、このときの気分自己評価測定する質問票に答えてもらいました

次に、「フレーズ本当に自分当てはまるどうか」考えもらう条件と、「フレーズ当てない場合ある」柔軟考えもらう条件で、参加者の自己評価の変化を比較しました。

すると自己肯定感の低いグループは、みなポジティブな言葉で気分が悪化したのです。

自己肯定感の低いに「前向き言葉」効果なる

実験の結果では、自己肯定感高いでは「いる」というフレーズ唱えることわずか気分改善しました。

しかし、自己肯定感低いでは逆に気分悪化していました

研究者たちその理由として、自己肯定感低いこの言葉自分現実比較しまい、『自分そんなにていない感じしまうからだ」分析ています。

さらに、否定考え浮かぶことで、自分ポジティブことすらないダメ人間なのでは」という悪循環陥ること示唆した

この現象は、心理想起の容易さ効果(ease of retrieval effect) 呼ばれる考え方関連ています。これはある考え記憶について考えようとしてもイメージが上手く作れないときは「自分その特性ないだ」感じすくなるというものです

これにより自分が「思い通り前向き考えない」こと自体が、さらなる自信喪失引き起こしてしまうのです

ウッド博士研究は「ポジティブ自己暗示必ずしも万人良いない」こと明確示しています

Credit:ナゾロジー編集部,OpenAI

そのため特に自己肯定感低いは、無理前向き言葉繰り返すよりも、ありのまま自分受け入れる「自己受容(self-acceptance)」や、自分責め思いやり持つ「自己コンパッション(self-compassion)」有効と考えられるのです

最近、SNSネット掲示板などでは「生きてるだけ偉い」といった言葉多く共感集めていますが、この現象もこれら研究報告深い関連あります。

自己肯定低いが「素晴らしい人間だ」「とてもよく頑張っている」など強い肯定言葉繰り返すと、自分現実増すだけになってしまいますこれ自己不一致フィードバック(self-discrepant feedback)」ともれるものです

一方で「生きてるだけ偉い」というメッセージは、自分に対して高い目標成果求めせん。

  • 仕事できなくいい」

  • 誰か助けなくいい」

  • 今日できなくも、生きいるだけ十分」

という存在そのもの認める言葉あるため、自己肯定低い受け入れすく、むしろ安心与えることできます。

これがいわゆる自己受容(self-acceptance)」呼ばれる考え通じるもので、ありのまま自分そのまま認めること安定保つ方法なのです。

生きてるだけ偉い」という言葉まりは、過度ポジティブ思考ないにとっての、優しい“現代セルフケア”言えるかもせん。

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元論文

Positive self-statements: power for some, peril for others
https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2009.02370.x

ライター

相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。

編集者

ナゾロジー 編集部



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🧠 編集部の感想:
このニュースは、ポジティブ思考が必ずしも全ての人に効果的でないという重要な視点を提示しています。特に自己肯定感の低い人には、無理なポジティブな言葉が逆にストレスを生む可能性があることは考慮が必要です。ありのままの自分を受け入れることの大切さを再確認させられました。

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