クリエイティブな仕事を求められた際に、アイデア出しに窮すると大変です。
「スランプだ……」「何もひらめかない」「アイデアが枯渇してしまった」
こうした状況を打破するには、どうすればいいのでしょうか? もしかしたら、SNSを見る回数を減らし、椅子からちょっと立ち上がってみれば、解決できるかもしれません。
スマホを置いて、尊敬できる人の本を読む
アイデアは、無からは生み出せません。
世界中で長く読み継がれているアイデア出しのバイブルともいえる名著『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)では、アイデアとは既存要素の新しい組み合わせだと解説されています。
その前提として、情報を収集し、あなたの頭の中に要素を蓄えておく必要があります。
しかし、情報過多な現代。過剰な情報収集習慣により脳がオーバーフローを起こし、記憶障害や判断力の低下などを招く「情報過多シンドローム」が起きていると警鐘が鳴らされているほどです。
特に意識していなくても、シャワーのように情報を浴び続けているのは、皆さんも感じているところでしょう。
特にSNSは要注意です。
各種SNSはユーザーの可処分時間を1秒でも多く獲得するために、独自のアルゴリズムによりユーザーを惹きつけようと魅力的なコンテンツを次々と表示させます。
フォローしている・していないに関わらず、タイムラインには他人の投稿や広告が延々と乱立。そうしたSNSのアルゴリズムに自分の情報収集を委ねていると、頭の中がノイズでいっぱいになってしまいます。
そこで、SNSの閲覧回数を減らし、情報源を厳選することが大切になってきます。

おすすめなのは、読書です。
自分が尊敬できる専門家が書いた、学べる本を読みましょう。筆者は、赤青えんぴつを持って紙の本に向かっています。
手でページをめくりながら、自分にとって重要な箇所に赤で線を引き、青で気づいたことなど補足を書き込みます。こうすることで、あとから振り返りやすくなるからです。
もちろん電子書籍も読みますが、じっくりと読みたい書籍に関しては紙の本を選ぶようにしています。
顔を上げると脳がクリアになる
集中して本を読んでいるのに、どうにも頭に入ってこない。でも、頭を上げて本から目を離して周囲を見ているうちに「あ、わかった」と感じることはありませんか。
筆者は移動中に電車やカフェの窓際のカウンター席に座って読書をすることがよくあります。頭を上げたときに景色がパッと広がるからです。
この瞬間、頭の中がすっきりとして、理解が深まったり、自分ごとに置き換えて気づきが得られたりします。
これはどういうメカニズムなのでしょうか。作業療法士の菅原洋平さんは、脳と運動は密接に関わっていると言います。
脳は情報を仕入れるだけではなく整理もしないと無駄に容量を使ってしまうので、中心を見てばかりでは「頭に入ってこない」と感じます。
そこで、PCやスマホの画面から目を離すと、眼球は周辺を見る「運動」をします。ここで脳内の情報は整理され「わかった!」となります。
理解するためには、運動が必要。
目線を動かすというのはとても小さな動きですが、医学の分野では発声や咀嚼などの動きも運動に含まれるとのこと。本を読んでいるときは、中心を見るという眼球運動をし、頭を上げるときは、周囲を見るという眼球運動をしています。
このように運動を変えることで、情報を仕入れるモードから整理するモードへとスイッチさせることができるのです。
筆者自身も実体験として、電車の窓から遠くを眺めたり、カフェの外を歩いている人を見渡したりするときに、頭が整理されていると感じます。
情報は、仕入れるだけではなく、整理も必要ということ。ささいな運動であっても、動きを変えることで脳が疲れにくくなるのです。
余談ですが、子どものころ、勉強をしながら鉛筆をくるくると器用に回す同級生をよく見かけました。今思い返せば、あれは情報を仕入れながら、同時に脳内の整理をしていたのかもしれませんね。
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