ヘッジファンド運用者マイケル・バーリ氏率いる投資会社サイオン・アセット・マネジメントが、1-3月(第1四半期)に上場株式ポートフォリオのほぼ全てを売却し、トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争が世界の市場に動揺をもたらす前に、エヌビディアや中国関連株に対する弱気ポジションを新たに構築していたことが分かった。
バーリ氏は2008年の金融危機前に住宅市場の崩壊に賭けた「世紀の空売り」で有名になった。
15日に公表された株式保有報告書「フォーム13F」によると、バーリ氏はエヌビディアの株価下落で利益が得られるプットオプションを取得。資料によると、エヌビディアや他の銘柄のプットオプションについて「報告対象外のロング(買い持ち)ポジションに対するヘッジとしての役割を果たす可能性がある」という。
この大規模なポートフォリオの転換は、中国の人工知能(AI)新興企業DeepSeek(ディープシーク)の画期的な進展をきっかけに、中国のハイテク企業が年初に力強い上昇を見せた時期に行われた。DeepSeekの低コストAIモデルを受けてエヌビディア株は急落。複数国からの輸入品に対するトランプ氏の関税措置に市場が備える中、投資家心理の幅広い悪化に拍車をかけた。
バーリ氏はすでに2024年第4四半期時点で中国ハイテク株への投資を縮小し始めており、JDドットコムやアリババの保有比率を同時期に削減していた。
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バーリ氏はまた、これまでの四半期で保有銘柄上位だったアリババグループ・ホールディング、百度、JDドットコムに加え、昨年末に新たにポジションを構築したPDDホールディングスに対してもプットオプションを購入。フォーム13Fには株式のロングおよびオプションのポジションのみが記されるため、表記されないショート(売り持ち)ポジションを相殺している可能性がある。
エヌビディア株は15日の時間外取引でわずかに下落した。一方、サイオン・アセットが唯一保有を続けるエスティローダー株は保有比率が倍増したことが明らかになり、時間外取引で3.6%上昇した。
サイオン側は現時点でコメント要請に応じていない。
原題:Burry Bought Puts on Nvidia, China Stocks Ahead of Trade War (1)(抜粋)
🧠 編集部の感想:
マイケル・バーリ氏がエヌビディアや中国株に対するプットオプションを購入したニュースは、彼の過去の成功を再び思い起こさせるもので興味深いです。貿易戦争の影響を見越した戦略は、投資家心理の変化を反映しており、今後の市場動向に影響を与えるかもしれません。特に中国ハイテク企業への影響が気になります。
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