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「マンハッタン超高層ビル、嵐で倒壊危機!」

「自分が設計したマンハッタンの超高層ビルが今年中にも嵐で倒壊するかもしれない」と気付いたエンジニアはどうしたのか?

公開日:2025年6月17日

アメリカの構造エンジニア、ウィリアム・ルメジャーは、マンハッタンのシティコープセンター(現在の601レキシントンアベニュー)を設計した功績で知られていますが、彼が直面した危機的状況についての動画がYouTubeで公開されています。

1960年代、シティコープ(現シティグループ)は新たな本社ビルを建設する際、周辺の福音ルーテル教会の立ち退きを求めたものの、教会は拒否。そこでルメジャーは、教会を残しつつビルの設計をすることになりました。特に、4つの角を取り払った「高床式ビル」という大胆なアイデアを採用しました。しかし、この構造は強風に対する安定性に課題を抱えていました。

ルメジャーはV字型の支柱を用いることにより、ビルの荷重を中央に集約する構造に改良。さらに、最上階には「チューンドマスダンパー」という技術を導入し、風による振動を軽減しました。これにより、大幅なコスト削減を実現しましたが、設計ミスが知られることになったのです。

設計ミスの発見

1978年、ルメジャーは他のプロジェクトのためにシティコープセンターの溶接方法について尋ねたところ、支柱がボルト留めされていたことが判明。この変更により、風に対する反応が予想以上に悪化している可能性が出てきました。

さらに、風が建物に斜めから吹き付けると、特定の部分にかかる負担が40%も増えることがわかり、ルメジャーは不安に駆られました。この不安が現実のものになる前に、ルメジャーは危機管理に動き出しました。

危機管理と対策

ルメジャーは、専門家と共に問題解決に向けたプロジェクト「セリーン」を立ち上げ。TMDの改良や補修作業を密かに進める一方で、避難計画も策定。この取り組みは極秘に実施され、問題が公にならないよう注意が図られました。

特に、ハリケーン・エラが接近した際には、ビルの安全が危ぶまれましたが、予想外にもハリケーンは進路を変更し、シティコープセンターは危機を免れました。

結果と影響

ルメジャーの迅速な対応により、重大な事故は回避され、シティコープセンターは無事に運営を続けました。この一連の出来事は、建築業界においてエンジニアリング倫理の重要性を再認識させるものであり、今もなお教育における優れた事例として参照されています。

最終的には、ニューヨーク市も建築基準法を改正し、斜めの風に対する計算を義務付けるなどの影響を受けました。また、シティコープセンターに導入されたTMDは、全世界の高層ビルに広まりました。

この事件は、エンジニアとしての倫理観と責任の重要性を示すものとして、後世に語り継がれています。

🧠 編集部より:

補足説明と背景情報

事件の背景

ウィリアム・ルメジャーが設計したシティコープセンター(現601レキシントンアベニュー)は、高層ビルのデザインにおいて前例のないV字構造を採用し、屋上にチューンドマスダンパー(TMD)を導入したことで、当時注目を集めていました。この技術は、自然災害や高風による揺れを軽減するためのものであり、シティコープセンターが新たに採用したものでした。

構造的な危険性

ルメジャーは、V字構造が斜めからの風に対して非常に脆弱であることを発見しました。この構造は、中心から荷重を分散させるための特異な設計であり、特に接合部にかかる応力が増加することが問題となりました。リスクの高さは、風に関連する自然現象や強風にさらされる頻度によって実証され、過去の気象データがその危険性を裏付ける結果となりました。

ルメジャーの決断

ルメジャーは、自身の設計ミスを報告することが大きな訴訟や自身のキャリアを脅かす可能性があることを理解しつつ、最終的に事実を公表する決断を下しました。この判断は、数多くの人々の命を救う可能性をもたらすものでした。

プロジェクト・セリーン

ルメジャーが立ち上げた「プロジェクト・セリーン」は、シティコープセンターの接合部を強化するための緊急工事でした。この作業は、日常業務を行っている間に行われるなど、計画的かつ秘密裏に進行しました。

結果と影響

最終的に、シティコープセンターは無事に嵐を乗り越え、補修作業も完了しました。ルメジャーの行動は、エンジニアリング界における倫理的判断の模範とされ、後にニューヨーク市の建築基準法改正につながる一因となりました。また、TMDは世界中の多数の高層ビルに導入されています。

豆知識

  • シティコープセンターは1977年に開業した当時、世界で11番目に高いビルでした。
  • TMDは、巨大な質量を利用して建物の揺れを抑える技術であり、特に高層ビルや橋梁など、さまざまな構造物で導入されています。

関連リンク

参照動画

  • キーワード: エンジニアリング倫理

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※以下、出典元
▶ 元記事を読む

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