任天堂は4月17日、「マリオカート ワールド Direct」にて『マリオカート ワールド』に関する新情報を公開した。新アクション「チャージジャンプ」や新機能「リワインド」などが紹介された中で、海外を中心にとあるシーンが特に注目を集めている。「ペンギンの落下」である。
今回、注目を集めているシーンは2つある。2分8秒ごろのコース紹介で「ロゼッタてんもんだい」が映し出されているシーンと、12分4秒ごろの「フリーラン」モードが紹介されているシーンである。一見して普通のゲーム紹介の一幕だが、この2つのシーンではどちらも操作キャラクターがペンギンとなっており、なぜか2つとも落下するシチュエーションとなっているのだ。この状況がかつて『スーパーマリオ64』で多くのプレイヤーが実行した「ある行為」を思い出させると、話題になっている(IGN、GameSpot)。
マリオシリーズにペンギンが初登場した作品は、NINTENDO 64のローンチソフト『スーパーマリオ64』である。『スーパーマリオ64』は、全120個ある「パワースター」を集めることでゲームが進行していく。パワースターを一定数集めると、新しい扉が開かれるなど、行動範囲が広がっていく仕組みだ。パワースターは多数あるコースの各地に点在しており、隠されたものもある。ペンギンはそんなコースのひとつ「さむいさむいマウンテン」に登場する。
この「さむいさむい マウンテン」に存在するパワースターのうちひとつは、「まいごの こペンギン」を攻略すると獲得できる。まいごになってしまった子ペンギンを山のどこかから見つけ出し、親ペンギンのもとへ無事に送り届けるという流れだ。マリオの“やさしさ”も垣間見える一幕だが、同スタ―については、子ペンギンを送り届けてパワースターが出現した後にも、なんと再び子ペンギンを持ち上げることができる。そのため、親ペンギンが追いかけてくる目の前で子ペンギンを崖の下へ放り投げるという、血も涙もないアクションが可能だったのだ。ほかでもないマリオがひどい行為をする意外性や、「さむいさむいマウンテン」のほのぼのとしたBGMとのギャップも相まって、“ペンギン落とし”はインターネットミーム的に広まることになる。
そして『スーパーマリオ64』のローンチから約29年後の2025年、任天堂は「マリオカート ワールド Direct」内で、1度ならず2度もペンギンを落下させたのだ。2つめのフリーランのシーンでは「さむいさむいマウンテン」のものではないながら、『スーパーマリオ64』のメインテーマのアレンジまで流されていた。
もちろん任天堂が公式にインターネットミームについて言及したわけではない。ただ、任天堂が子ペンギンを落とす行為が広く知られているのを承知の上で、落下にまつわるシーンに敢えてペンギンを選んだのだとすれば、インターネットミームを知るファンたちへのさりげない「サービス」と言えるだろう。

さいわいにも、今回落下したペンギンは無事のようだ。コース外へ落下した後に救出されるのは『マリオカート』シリーズでは恒例となっている。フリーランで崖から落下したペンギンも終始たのしそうにしており、崖下の水面に着いてからも問題なく走行できているようだ。「マリオカート ワールド Direct」の映像は、かつて落とされた子ペンギンも実は無事だったのだという、ひそかなメッセージなのかもしれない。
『マリオカート ワールド』は6月5日に、Nintendo Switch 2と共に発売予定。ダウンロード版は8980円で、パッケージ版は9980円。また、4万9980円の日本語・国内専用版Nintendo Switch 2本体と同梱の、「Nintendo Switch 2 マリオカート ワールドセット」は5万3980円で販売予定だ(価格はいずれも税込)。