KOJIMA PRODUCTIONS並びにソニー・インタラクティブエンタテインメントは、6月26日に発売を予定しているプレイステーション 5用アクション「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH(デス・ストランディング2)」(以下、「DS2」)のプレビューイベントを4月22日より25日の4日間にわたって開催した。
イベントには国内外のメディア関係者数十名が招待され、KOJIMA PRODUCTIONS内に設けられた特設会場に4日間通い詰め、現在開発中の「DS2」を合計30時間程度プレイする機会が設けられた。国内ではあまり例のない大規模なプレビューイベントで、試遊だけでなく、監督の小島秀夫氏や開発陣に対するQ&Aセッションや、コジプロ内のスタジオツアーなども設けられた。
弊誌では前作となる「DEATH STRANDING」および「DIRECTOR’S CUT」版を含め400時間程度プレイし、エンディングも見ている筆者が参加。待望の新作を体験してきたので、そのファーストインプレッションを前後編に分けて紹介していく。その前半となる本稿では、ゲーム序盤をプレイしての手触りに関する第一印象をお届けしていきたい。
なお本稿では、事前に披露されたプレオーダートレイラーで公開されている内容以外のストーリーには極力触れず、ゲームの体験部分を主軸に置いている。それでもインプレッションの性質上どうしても触れなければならないネタバレ要素があるかもしれないので、その旨ご留意いただければと思う。
【DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH | プレオーダートレイラー】
前作のゲームシステムを継承しつつ、引き込まれるストーリーと、幅広いプレーヤーに向けた新要素を盛り込んだ「DS2」
イベントは初日は早朝から始まった。当日の明け方まで別件の仕事をしていた筆者は、あまりコンディションが良くない中での参加となったが、コジプロ公式サイトや小島監督のSNSなどで目にしたことがある同社オフィスのカフェテリアに作られた特設会場に足を踏み入れると、そのモチベーションは急上昇した。
イベント開会にあたり、小島監督も挨拶。本作の“繋がる”というテーマを踏まえ、メディア関係者が一緒にゲームを体験することで、相互に繋がりを感じてもらうためにこのような“ブートキャンプ式”の体験会を実施したと語る。「本当はラストまで遊んでいただきたいところですが、30時間だと全体40%ぐらいまで進められると思います」と説明し、ゲームはまだ完成に至っておらず、最終調整中ということも明かされた。
開会の儀もそこそこに、11時を過ぎた頃には試遊がスタート。監督はまだ(制作が)フィニッシュしていないと述べてはいたものの、ゲーム体験は製品版とほぼ同じとなるはずだ。
ゲーム開始時のメニュー画面には「Story of DEATH STRANDING1」というデッドマンのナレーションで前作のストーリーを5分ほどで振り返る項目が用意されていた。映像ではなく画像を添えたテキストベースのものなので、どちらかといえば前作をプレイした人がその内容を思い出すための要素と思われる。
ゲームの難易度は4段階から選択可能。ストーリーを中心に楽しむための最低難易度「Story」から「Casual」、「Normal」を挟み、最も難しい「Brutal」が並んでいる。今回筆者は「Normal」を選択したが、ゲーム進行中も変更が可能だ。
気になったのは、ゲーム開始時にプレーヤーの誕生日を入力する項目があったこと。ゲーム中、DOOMSとしての素質に何かしらの影響があるとのことだが、詳細は不明。ゲームの演出にどう影響するのかは製品版のお楽しみとなった。
ゲームのストーリーは前作から続いている。主人公の「サム・“ポーター”・ブリッジズ」とブリッジ・ベイビーの「BB-28(ルー)」は前作でアメリカ大陸を繋いだ後、行方がわからなくなっていて、本作はそこからの物語を描いている。
サムが最初に足を踏み出すのは同じ北米大陸のメキシコだ。彼がルーとともになぜここにいるのかは、ぜひ本編で確認いただきたい。その場所は見渡す限りの岩山が続く乾いた高地で、時雨(ときう/タイム・フォール)が降り続いたアメリカ大陸とは違った趣がある。何よりこの絶景がPS5 Proではない通常のPS5で表示されていると聞いて、この段階から製品版への期待値が大いに高まった。
【サムとルーが足を踏み出すメキシコの地【デス・ストランディング2】】
※権利楽曲の都合により音声がミュートになっています
コートを着た姿で登場するサムは、少し成長したルーとともに目的の場所へと向かっていくこととなる。ブリッジズ時代のポーターとしてのフル装備ではないが、バックパックと「オドラデク」は装備していて、この時点でセンサーも使用可能だ。なおセンサーのボタンは前作のR1からL1へと変更され、R1はサムのしゃがみがアサインされているので、しばらくは慣れが必要かもしれない。
ここを歩いていくだけでも「DS2」ではかなり様々なことが発生することがわかった。一つは時間経過によって日が傾いてくること。本作にはタイム・オブ・デイ(TOD)の概念が導入されていて、時間経過で昼夜が入れ替わっていく。オープンワールドのゲームとしては珍しくないが、時間の変化がなかった前作を遊び込んでいると、感覚的にはなかなか新鮮だ。
そしてもう一つは「ゲート・クエイク」なる局地的な地震が発生すること。その後のプレイでわかったことだが、発生する場所や震度はまちまちで、激しいものになるとサムが立って歩けなくなることもあり、場合によっては荷物が損傷したり、建造物がダメージを受けたり、落石が発生したりすることも確認できた。気象やTODとはまた違う、予測できない環境変化として気を付ける必要があるだろう。
【ゲート・クエイクの発生とその影響による崖崩れの発生【デス・ストランディング2】】
※権利楽曲の都合により音声がミュートになっています
さらにフィールドには、得体の知れない虫のような生物が生息している。これは「カイラルクリーチャー」なる、デス・ストランディングの影響で発生した生物だそうで、複数の種類が存在しているようだ。BTとは違い積極的に襲ってくることはないようだが、ちょっかいを出すと攻撃されることもあった。
気象に関しても新たな変化があり、このメキシコでも時雨が降り、ときには嵐のような大雨となってサムの行く手を阻んでくる。激しい雨は土地を分断する河川に激流をもたらし、場合によっては橋などが冠水して渡るのが困難になることもある。川沿いを移動中に突然上流から濁流が流れてくることもあった。もしこのときに渡河をしていれば、間違いなく流されてしまっただろう。
【大雨の影響で河川が氾濫する様子【デス・ストランディング2】】
冒頭から自然の脅威に晒され、この先の道中を思い知らされるサムとプレーヤーだが、そんな中で大きな癒しを与えてくれるのがルーの存在である。前作では7か月の胎児だった彼女(?)が数カ月の時を経て成長し、髪の毛が生え、口元には小さな歯も見えている。メキシコの道中ではカプセルに入っていない生身の彼女をあやすシーンもあり、その愛らしさにプレーヤーの母性・父性が刺激されることは間違いない。最愛の彼女と一緒にいるひとときはきっと安らかなものとなるはずだ。
“伝説の配達人”サム・ブリッジズが復活。カイラル通信を繋ぐために、各地の人々との絆を深めていく
紆余曲折を経てサムは“伝説の配達人”として復活を遂げる。新たなフィールドへとおもむき、プレッパーと呼ばれる住人達に荷物を配達しながら彼らの信頼を得て、カイラル通信を繋いでいくことが当面の目的となる。
配達の要領は前作と同じで、配送センターやプレッパーの住居で配達のミッションを受け、荷物を所定の場所へと届ける。荷物を傷つけたり壊したりせずに運ぶことができれば依頼者から「いいね」がもらえ、配達人としての評価が上がり、サムの能力が上がっていくという具合だ。
【依頼された荷物を配送センターまで運び、カイラル通信を繋ぐ【デス・ストランディング2】】
ここでは新たな天候、「砂嵐」にも遭遇した。巨大な砂煙の塊が向こうからやってきてサムを呑み込んでいき、その中は数メートル先も見えないほど砂塵が飛び交い、暴風がサムの身体を押しやりまっすぐ歩けない中で、周囲には雷も落ちてくる。この描写は本作にゲスト出演しているジョージ・ミラー監督の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で見たことがあり、あの恐ろしさをサムを通じて体感することができるだろう。
【サムを呑み込んでいく巨大な砂嵐【デス・ストランディング2】】
本シリーズの大きな特徴である「ソーシャル・ストランド・システム(SSS)」もこのときから本格的に利用可能となる。SSSとは、他のプレーヤーとオンラインで間接的に繋がり、互いが設置した移動手段や建造物、乗り物などがフィールドで共有されるシステムで、前作で助けられて他のプレーヤーに「いいね」をたくさん贈った人は多いはず。このプレビューイベントでも、同時に試遊をしている来場者や本作のテストプレーヤーがオンラインで接続されていたので、実際に助け合う体験を味わうこともできた。
このSSSにはいくつかの新機能が備わっていて、その一つとしてプレッパーや仲間達からSSSを通して通信が入ってくることもある。ゲーム進行に関わるミッションをこなした後などに、該当の人物からリアルタイムに通信が入ってくる演出は、前作以上に彼らとの繋がりを感じることができ、ポーターとして彼らの役に立ちたいというモチベーションが上昇した。
なおメキシコの一部でもBTや敵対する武装組織、そしてボスとも遭遇している。彼らとの戦闘はあらゆる部分が進化を遂げているので、レポートの後編で改めてお届けしていきたい。
【BT(Beached Things)との戦い【デス・ストランディング2】】
ひとまずここまで記してきたことは、一部を除いて4日間のプレビュー初日で進めた1章前後までのプレイ体験で得られた内容にすぎない。4日間で計30時間設けられたゲーム体験は伊達ではなく、本作のさらなる奥深いところまで触れることができたので、そちらは続く後編の記事をご覧いただきたい。
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