コアラが地上に降りる時間は1日たった10分、その短い時間が致命的なリスクを伴う
2025年8月3日、オーストラリアの象徴的生物であり、絶滅危惧種に指定されているコアラに関する新たな研究が発表されました。この研究では、コアラが地上で過ごす時間が1日のわずか1%、つまり平均して10分しかないことが明らかになった一方で、その短い時間が死亡の約66%に関連しているという衝撃的な事実が報告されています。
背景情報
コアラの生息地は、土地の開発や病気の影響で急速に減少しており、これがコアラの個体数に深刻な影響を及ぼしています。特に地上に降りる際のリスクが高く、犬による攻撃や車との衝突が主な死因として挙げられています。
研究の目的と方法
この研究を主導したのは、クイーンズランド大学の博士課程に在籍するガブリエラ・スパークス氏です。彼女のチームは、特製の首輪を装着した野生のコアラ10頭にGPSロガーと加速度センサーを装着し、コアラの行動を追跡しました。これにより、コアラが地上にいる間の行動を詳細に分析することが可能になりました。
スパークス氏は、コアラがどのように地上を移動するのかを理解し、保全戦略を立てるための重要なデータを提供しようとしています。これまでの研究では、コアラの地上活動に関する基本的なデータが不足していました。
研究の重要な発見
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地上での活動: コアラは1日のほとんどを木の上で過ごし、地上に降りるのは日に2〜3回、合計10分未満です。
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行動パターン: 地面にいる時は急がず、ほとんどの時間を歩いたり座ったりすることに費やしています。また、環境によって地上での行動が異なり、道路に近い場所に住むコアラはより長く地上にいる傾向があります。
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致命的なリスク: 地上にいる時間が短いにも関わらず、死因の約66%がこの活動中に発生していることが明らかになりました。
この研究は、コアラを守るためにどのような環境を整備するべきかという新たな視点を提供しています。科学者は、樹上に長く留まることができる種の環境を設計することで、コアラのリスクを減少させられることを期待しています。
シドニー大学のマシュー・クロウザー教授は、「この研究結果は、生息地の回復や保全において重要な貢献を果たすだろう」と強調しています。
この研究は、コアラの保全に向けた新たなアプローチや、環境整備の重要性を再認識させるものといえるでしょう。今後の展開が期待されます。
🧠 編集部より:
コアラの生態や環境についてのこの研究は、彼らが非常に特異な生活様式を持っていることを示しています。オーストラリアの象徴的な動物として知られるコアラは、ユーカリの木の上での生活が基本であり、地上に降りることが非常に少なくなっています。
背景情報
- 絶滅危惧種: コアラは生息地の喪失(森林伐採)、病気(特にクラミジア)、さらには気候変動といった複合的な要因によって、個体数が大きく減少しています。
- 生活習慣: 一日あたり10分足らずしか地上での活動をしないことが、彼らにとってのリスクを増大させていると判断されています。
研究の重要性
スパークス氏の研究はコアラが地上で過ごす時間と死亡リスクに明確な関連があることを示しています。約66%の死因が地上活動中に発生し、特に犬との遭遇や交通事故が主な原因です。この事実は、コアラを保護するための新しいアプローチや政策が必要であることを示唆しています。
豆知識
- コアラの食事: コアラはユーカリを主に食べることから、特定のユーカリの種類によって栄養状態も変わります。
- 睡眠時間: コアラは一日の大半を睡眠に費やし、約18〜22時間を休息や食事に使っています。
今後の取り組み
スパークス氏と彼女のチームは、コアラの生息環境をどのように改善できるか、さらなる研究を進めています。例えば、樹上での安全性を高めるための景観設計が期待されています。
関連リンク
- Koalas spend only 1% of their life on the ground – but it’s killing them | EurekAlert
- ABC News: Koalas spend just 10 minutes a day risking their lives on the ground
- Phys.org
コアラの保護については、個体数を増やすための新しいアプローチがますます重要になっています。これらの情報を元に、さらなる知識を集め、行動を促進することが必要です。
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キーワード: コアラの生息危機
※以下、出典元
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