人気オンラインゲーム「フォートナイト」を手がけるEpic Gamesは、AppleがiOSの「App Store」に対するフォートナイトの提出を却下したと明らかにした。
Epic Gamesは米国時間5月16日の「X」への投稿で、「Appleがフォートナイトの提出をブロックしたため、米国のApp Storeにも欧州連合(EU)のiOS向けEpic Games Storeにもリリースできない。Appleがブロックを撤回するまで、残念ながらiOS版フォートナイトは世界各地でオフラインになる」と述べた。
これは、App Storeの手数料をめぐってEpic GamesとAppleが争う法廷劇の最新局面だ。裁判所は最近、Appleが2021年の差し止め命令を無視してきたと判断した。この命令では、Appleは開発者がモバイルアプリ内でサブスクリプションやアプリ内購入のための外部リンクを設けることを妨げてはならないとされていた。この判断は集団訴訟につながり、Epic GamesやSpotifyなどの開発元は、ユーザーがApp Storeを経由せずにサブスクリプションや購入にアクセスできる方法を組み込んだアプリを再提出できるようになった。
フォートナイトは5月中にiOSのApp Storeに復帰する見込みだったが、今回の却下により当面は実現しないとみられる。
Appleの回答
Appleは米CNETなどメディアの取材に対する回答で、「代替配信マーケットプレイス」からフォートナイトを削除したという、Epic Gamesがしていない主張を否定した。Appleのコメント全文は次のとおりだ。「Epic Swedenに対し、他地域のフォートナイトに影響を与えないよう、米App Storeのストアフロントを含めずにアプリのアップデートを再提出するよう求めた。フォートナイトの本番バージョンを代替配信マーケットプレイスから削除する措置は取っていない」
Appleは米App Storeにおけるフォートナイトの提出状況には触れなかった。
EUでは、米国との規制の違いやEU内での判決により、Epic GamesはiOS向けEpic Games Store を公開でき、プレイヤーは同アプリを通じてフォートナイトをダウンロードできていた。しかし、フォートナイトのアップデートはiOS全体に適用する必要があるため、それも不可能になるとみられる。
エコシステムへの影響
フォートナイトがAppleのストアにないことは、プレイヤーやEpicだけでなく、同プラットフォームにコンテンツを提供するクリエイターにも影響すると、あるデザイナーは語る。
「これは新興のプラットフォーム経済にとって重大な出来事だ。モバイルには膨大なプレイヤーがいる。過小評価できない」と、ゲーム会社Bungieの共同創業者で、現在はLook North Worldを経営し、フォートナイトなどのプラットフォーム向けにゲームコンテンツを制作・配信しているAlex Seropian氏は述べた。
「Robloxの場合、オーディエンスの過半数がモバイルでプレイしている。今のフォートナイトにはそれがなく、だからこそEpicがiOSに復帰することは多くの理由で重大だ。流通は小売経済からプラットフォーム経済へと大きく転換している。Z世代やα世代は最速のアクセスと最もソーシャルな体験を求めている。モバイルで利用できるようになるのを待っているのだ」と同氏は語る。
同氏は、ゲーマー、スタジオ、クリエイターのためにもEpic GamesとAppleが問題を解決することを望んでいると述べた。現状を踏まえ、フォートナイトなどのプラットフォーム向けのアイデアを持つクリエイターは足踏み状態にあるという。
「私はこれを『興奮と困惑のサンドイッチ』と呼んでいる。クリエイターらはモバイル向けに作品を作ることにワクワクしており、特にその多くにとっては初めての体験だ。素晴らしいアイデアを山ほど持ってもいる。しかし、これらの作品がいつ人々に遊んでもらえるのか、モバイルにおけるフォートナイトの新章がどのようなものになるのか分からず混乱している」(同氏)
「だから私たちは皆、焦りつつも待っている。しかし、待つことに価値はあると考えている」と同氏は語った。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
🧠 編集部の感想:
アップルとEpic Gamesの対立が再燃し、フォートナイトのiOS版が引き続きオフラインのままになるのは残念です。この問題は、アプリ内購入に関する政策が大きく影響しており、ゲーム業界全体に波紋を広げる可能性があります。プレイヤーやクリエイターが待たされる中で、双方の早期の解決を期待する声が高まっています。
Views: 0