水曜日, 5月 21, 2025
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「やってみなはれ」が生んだ3兆円企業、サントリーの成長戦略とは久保田 亮一📖ビジネス分析ノート

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概要

サントリーは、「やってみなはれ」という精神のもと、創業者の鳥井信治郎のビジョンで始まり、現在は売上高3兆円を超える世界的な飲料企業へと成長しました。本記事では、サントリーの創業の歴史、ビジネスモデルの変遷、成長戦略について詳しく分析します。

要約(箇条書き)

  • 創業背景

    • 1899年に鳥井商店を開業し、日本人の味覚に合った洋酒開発を目指す。
    • 赤玉ポートワインの成功や、日本初のモルト蒸溜所「山崎」の設立が背景となる。
  • ビジネスモデルの柔軟性

    • 戦後から高度経済成長期にかけてウイスキーやビールの大量生産を行う。
    • 1980年代には清涼飲料市場に進出、自販機ネットワークを活用して安定収益を確保。
    • 2009年の持株会社制導入以降、意思決定スピードが加速。
  • 商品開発とマーケティング

    • 商品開発力と革新的なマーケティングが成長の要因。
    • 角ハイボールの成功や、記憶に残るCMの展開。
  • 強大な原酒保有と流通網

    • 国内外に約1,900万樽の原酒を保有し、希少価値の高い製品を安定供給。
    • 国内第2位の自販機ネットワークを持ち、キャッシュレス化を進めている。
  • 多角的な事業展開

    • 健康食品、外食、花事業にも展開しており、各事業が良好な収益を上げている。
  • グローバル戦略とM&A

    • Orangina SchweppesやBeam社の買収により、主要市場でのシェアを拡大。
    • 地域特性に応じたブランド展開が成功を収めている。
  • 未来の挑戦
    • 原材料高騰や若者のアルコール離れといった課題を乗り越え、さらなる成長を目指す。

サントリーは創業から120年以上にわたり挑戦を続けている企業です。

「やってみなはれ」が生んだ3兆円企業、サントリーの成長戦略とは久保田 亮一📖ビジネス分析ノート

 「日本人の舌に合う洋酒をつくりたい」という創業者・鳥井信治郎の強い想いから始まったサントリーは、今や売上高3兆円を超える世界的な飲料企業となった。サントリーをここまで大きくしたのは、創業から続く「やってみなはれ」の精神だ。本記事では、サントリーの創業ストーリー、ビジネスモデルの変遷、そして成長戦略を深く掘り下げて分析する。

鳥井信治郎が築いた革新の基盤

 1899年、大阪で「鳥井商店」を開業した鳥井信治郎は、輸入洋酒が日本人に受け入れられない現実に直面した。しかし彼は諦めず、日本人の味覚に合った「赤玉ポートワイン」を開発。「薬より効く」という斬新な広告と道頓堀のネオン看板で注目を集め、大ヒットさせた。

 さらに1923年、日本初のモルト蒸溜所「山崎蒸溜所」を開設し、「角瓶」などのヒットを生み出した。この時代に培われた長期的な視点が、今日のサントリーの発展を支えている。

日本初のモルトウイスキー蒸溜所(山崎蒸溜所)参照:https://www.suntory.co.jp/whisky/yamazaki/distillery/

多角化と柔軟なビジネスモデルが生んだ安定収益

 サントリーの成長を支えたのは、時代に合わせた柔軟なビジネスモデルの変革である。戦後から高度経済成長期にはウイスキーやビールの大量生産を行い、市場を拡大した。1980年代には清涼飲料市場に進出し、ウーロン茶、BOSSコーヒー、天然水を展開。自販機ネットワークを活用し、安定した収益基盤を築いた。

 2009年に持株会社制を導入すると、意思決定のスピードを加速し、Orangina SchweppesやBeam社などの大型買収を成功させた。これによりサントリーは世界的な飲料メーカーへと成長し、収益性の高いプレミアム酒類と安定収益の清涼飲料の両輪でさらなる発展を遂げた。

商品開発力と革新的マーケティングの融合

 サントリーの成長は優れた商品開発力とマーケティング革新に支えられている。2008年に展開した「角ハイボール」では、若者や女性をターゲットに新しい飲酒スタイルを提案し、市場を再活性化させた。

 マーケティング面では、宇宙人ジョーンズのCMで知られるBOSS缶コーヒーが代表例である。記憶に残る長期的なブランド戦略を行い、消費者の心を掴んだ。また、POSデータや自販機データを活用した地域特化型の商品開発により、精緻なマーケティングを実現している。

参照:https://www.suntory.co.jp/softdrink/jihanki/

世界最大級の原酒保有と強力な流通網

 サントリーの競争力は、世界最大級の原酒保有量にある。国内の山崎・白州・知多蒸溜所だけで約80万樽を保有し、世界全体では約1,900万樽を誇る。これにより希少価値の高いプレミアム製品を安定供給できる体制を整えている。

 流通網においては、自販機59万台という国内第2位の規模を持ち、キャッシュレス自販機アプリ「ジハンピ」を導入。2025年末までに15万台をキャッシュレス化し、ECサイトとの連携で顧客の購入頻度を向上させている。

健康食品・外食・花事業という第三の収益源

 サントリーは健康食品、外食、花事業にも積極的に展開している。健康食品事業では「セサミンEX」などを展開し、年間売上は1,136億円を超え、CRMを活用して顧客の高いLTVを実現している。

 外食分野ではプロントが「昼はカフェ、夜はサカバ」という独自の業態を展開し、293店舗で年間254億円の売上を達成している。また花事業では「サフィニア」が累計7億ポットを超えるヒットを記録し、高度なゲノム育種技術を活用して国内外で高い収益を上げている。

参照:https://www.suntory.co.jp/company/business/service/index.html

世界を舞台に躍進するサントリーのグローバル戦略とM&A

 サントリーはM&Aを通じて成長を加速させてきた。Orangina SchweppesやBeam社などの買収により、世界の主要市場で強固な地位を確立。地域特性に応じたブランド展開と、効率的な経営統合でシナジー効果を最大化している。

 北米ではBeam Suntoryがバーボン市場を牽引し、欧州ではOrangina SchweppesとLucozade Ribenaが強力なブランド力を発揮。アジア太平洋地域では現地企業との合弁を進め、市場シェアを拡大している。また中南米やアフリカにも積極的に進出し、さらなる成長を目指している。

 M&A成功の秘訣は、現地のブランドを尊重しつつ、効率的なコスト削減と相互補完を図ることにある。さらにグローバルな人材交流を推進し、多様な経営チームを構築している。

未来への挑戦を続けるサントリー

 サントリーの成功は、「やってみなはれ」の企業文化、多角的な事業展開、革新的マーケティング、積極的なM&Aが一体となった結果である。原材料高騰や若者のアルコール離れといった課題もあるが、それらを克服し、さらなる成長を続けていくことだろう。創業から120年以上経った今も、サントリーは常に挑戦を続けているのである。

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