褒められたときにどう対応するかは、難しいものです。そういうときには、謙虚さと自信とスマートさが同時に感じられる姿勢で対応したいですから。でも、そのためにはどうすればいいのでしょうか。
褒められれば、誇らしい気持ちになるはずなのですが、かえって不安になることもたびたびです。
そこで、褒められてうろたえてしまったという人のために、褒め言葉をスマートに受け取る方法をご紹介しましょう。
自己肯定感のためというより、周りの人に気まずい思いをさせないために、ぜひ試してみてください。
褒め言葉を否定しない
褒められて本能的に反論してしまうのは、謙虚な気持ちからかもしれません。ただ、そうしたとき、褒めてくれた人をないがしろにしています。
考えてみてください。反論された相手は、いったいどうすればいいのでしょうか。
あなたが褒め言葉を素直に受け入れるまで、褒め続けるのでしょうか。
それとも、自分が間違っていたことを認め、「やっぱりあなたは大したことありません」とでも言えばいいのでしょうか。
賞賛に対して「そんなことはありません」とか、「ありがとうございます、けれども……」と返した場合、あなたも、褒めてくれた人も、気まずい思いをしてしまうでしょう。
それよりも、ひと呼吸おいて、褒め言葉を否定したくなる気持ちを抑えましょう。このあと詳しくご説明するように、ときには「ありがとう」だけで十分な場合もあるのです。
褒め言葉の応酬を避ける
褒められると、それを否定したくなるのと同様に、即座に褒め返したくなるのも自然な反応です。
本能的に、最初に褒め言葉を発した相手を褒めたくなるかもしれませんが、注意が必要です。互いにより多く相手を褒めようとして、エンドレスな褒め合い合戦が始まってしまうことがあるからです。
相手を褒めるつもりなら、相手が言ったことを無視してはいけません。まずは、褒められたことをきちんと受け止めて、お礼を言いましょう。
「褒めてくれたこと」を褒める
褒め言葉をより自然に受け入れるひとつの方法は、感謝を表すことです。
たとえあなたが、完全主義を目指すあまり、自信がなくて、自分を卑下する気持ちに苦しんでいたとしても、褒めてくれた人を満足させる方向にエネルギーを使うことはできます。
たとえば、「ありがとうございます。あなたはいつも褒め方が上手ですよね」。
または、「わざわざそう言ってくださって、ありがとうございます。言葉の使い方がいつもお上手ですね」と言ってみましょう。
そのように言えば、褒め言葉を受け入れると同時に、相手も誇らしい気分にすることができます。
いつでも使える答えを用意しておく
褒められて不安になる気持ちに対処する確実な方法は、いつでも使える、ソツがない言い回しを用意しておくことです。例えば、こんな言い方があります。
- 「ありがとうございます、おかげで最高の気分です」
- 「それは嬉しいな、すごく一生懸命やったんだ!」
- 「気付いてくれて、ありがとう」
- 「そう思ってくれるなんて、嬉しいです」
誰かに褒められるような状況になることがわかっているなら、ひそかに答えを用意しておくのが得策です。
「ありがとう」だけでいい
何と返したらいいかわからないときは、考えすぎないこと。
「ありがとうございます」と言って、賛辞を言葉どおりに受け取り、あとは会話を続けましょう。
しぐさも考慮に入れる
誰かのことを褒めたら、相手が目をそらしたり、腕組みをしたり、話題を変えようとしたりした、という経験はありませんか。褒めたほうは、喜ばせるどころか傷つけてしまったような気がして、罪悪感を覚えます。
しぐさは、褒め言葉をスマートに受け取る上で大変重要です。「ありがとう」と言うときは、相手の目を見て、にっこりするよう心がけましょう。
口ではうまく言えなくても、褒められて感謝していることを相手に伝えるのに、しぐさは大いに役に立つのです。
まずは、褒め言葉を信じてみよう
褒め言葉を受け入れるためのいちばん簡単な方法は、自分は褒め言葉に値する、と信じることです。
口で言うほど簡単ではありませんが、褒め言葉を受け入れることを拒む頭の中の声を、まずはいったん消してしまいましょう。そうすれば、ご紹介した方法を実践するのがずっと簡単になります。
誰かが、無理してあなたを褒めなければならないことなど、ほとんどありません(何か理由があって媚びているのでもない限り)。
つまり、あなたは本当に褒められるに値するのでしょう。素晴らしいことです(褒めているのですから、受け入れてくださいね!)。
翻訳: 浅野美抄子(ガリレオ)
——2022年3月11日の記事を再編集のうえ、再掲しています。