木曜日, 5月 22, 2025
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「この件はフジテレビと同じ構図」 性的暴行被害訴える女性検事が涙…元検事正の“口止め”直筆書面を公表


元大阪地検検事正が元部下に対する準強制性交罪に問われている事件で、被害を訴えている女性検事が21日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を行った。性犯罪などの被害者支援の強化を訴え、「被害者の権利を守る被害者庁の創設が必要だと思います」と提言した。「意識の低い幹部・職員は、真相解明を尽くす義務があることを自覚するべき」

 元大阪地検検事正が元部下に対する準強制性交罪に問われている事件で、被害を訴えている女性検事が21日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を行った。性犯罪などの被害者支援の強化を訴え、「被害者の権利を守る被害者庁の創設が必要だと思います」と提言した。

 2時間超にわたった会見。女性検事は涙で声を詰まらせながらも、被害者が受ける深刻なダメージの実態や検察改革を強く訴えた。

「性暴力は相手の意思決定をないがしろにし、相手の同意なく境界線を侵害します。人は意思や感情を持っており、自分に関することを自分で決める権利を持っています。しかし、性暴力被害を受けると、人としての存在を否定され、物のように扱われ、深く傷付けられます。被害を軽んじる性暴力への誤った認識がまん延する、現代の社会の価値観や風潮によって傷付けられます。職場で被害に遭うと、組織が適切な対応をせず、被害者が辞職せざるを得なくなったり、組織内に被害者への誹謗(ひぼう)中傷が広がり、それ自体が新たな傷付きとなります。捜査の過程で二次加害に傷付けられる場合もあります。孤立感が深まります。家族も苦しみます。命を失うこともあります。私は検事である前に、被害者であり、妻であり、母であり、1人の人間です。私は苦しみ続けています。検事の仕事がしたい。穏やかに家族と暮らしたい。でも、検察の二次加害により、それすらもかないません」。切なる思いを口にした。

 起訴状などによると、元大阪地検検事正の北川健太郎被告は2018年9月、当時住んでいた大阪市内の官舎で、酒に酔って抵抗できない状態だった部下の女性検事に性的暴行を加えたとされる。北川被告は刑事裁判の初公判で起訴内容を認め謝罪したが、その後、一転して無罪を主張する方針を示している。

 この無罪主張への転向について、女性検事は「(当初は)北川が認めてホッとしました。やっとこれから解放されて一歩前に進めるなと思いました。ところが否認に転じて、裁判が膠着(こうちゃく)して、いつ再開するか分からない状況です。PTSDの治療も進められません。どんな卑劣なうその弁解をしてくるのかという怖さもあります。自己保身の塊で、被害者のことを何も考えていない。残念です」と突き放した。

 また、今回の事件に絡んで懲戒処分を受けたものの不起訴になった副検事について、「検察が必要な捜査をせず、不起訴処分にしたため、事件を検察審査会に申し立てる必要があり、調査をしています」とし、広く情報提供を求めた。

 女性検事は、直近の事例を挙げるなどして検察組織の実情にも言及。「ハラスメントが横行しています。検察には自浄作用がないです。検察内での被害を訴える先は、検察の内部にしかなく、公正に調査もされず、闇に葬られることはこれからも起き得ることだと思います」と糾弾した。

 被害者に力添えしたいという強い思いで検事に任官したという女性検事。検察の在り方に触れ、「検察が信頼できる場所でなければ、国民の安全を守ることはできません。そのためには検察という組織に対し、独立した公正な第三者機関による監察が必要です。検察組織の問題が露見した今回の事件を契機として、第三者委員会を設置し、徹底的に検証し、再発防止策を講じるべきです。そして、検察は、被害者の尊厳や正義の回復のためにも、真相を解明する努力をすべきであり、被害者支援を充実させるべきです」と涙ながらに語った。

 そのうえで、「検察は組織として被害者支援の体制を整備し、意識の低い幹部・職員は、被害者の尊厳や正義の回復のためにも真相解明を尽くす義務があることを自覚し、必要な研修を義務付け、被害者保護の意識を高める必要があります。そして、被害者の権利を守る被害者庁の創設が必要だと思います」。被害者支援のさらなる充実化、匿名性を担保した公正な調査の実施などを訴えた。

直筆書面「これでおまえも俺の女だと言ったことは記憶しています」

 さらに、会見内で女性検事は、北川被告の直筆とする書面を公表した。

 事件から約1年後の2019年10月28日付で、書面で北川被告は「全部私の責任です。本当にごめんなさい」と謝罪の言葉を記す一方で、「今回の事件が公になった場合、私は絶対に生きてゆくことはできず自死するほかないと考えているということです。大スキャンダルであり、発覚した場合、私のみならず、検察組織に対しても強烈な批判があることは明らかです。私のためというよりもあなたも属する大阪地検のためということでお願いします。仮の話ですが、あなたから『今回の事件のことは胸にしまっておく』と言われたら、私は喜んで死ぬことができます」などと記述。女性検事に口止めするような内容となっている。長文がしたためられており、事実関係として「これでおまえも俺の女だと言ったことは記憶しています」などと記載されている。

 司会が会見終了を告げようとすると、女性検事は最後に発言の機会を求めた。フジテレビの一連の問題を取り上げ、「この件はフジテレビと同じ構図だと、私は思っています。民間企業は株主やスポンサーからの要望があったりして、第三者委員会が入って、職員にもきちんとしたヒアリングができて、膿を出して、責任者は全員辞職して、社長が被害者に直接会って謝罪したいというふうになっていく。しかも、コンプラを強化していこうとする。監督省庁の総務省は行政指導を行った。ある意味一歩進む形になったと思っています。一方、検察はこの件に関して、先ほど述べたようなことです。テレビは、自分が見たくなければそのチャンネルを選ばなくていいという選択肢があります。でも、検察は自分が被害を受けた時に、検察を避けて通ることはできません。その検察がこういう対応で、皆さん心配じゃないですか? と思っていただきたいです。私たちがいくら声を上げても、国家権力ですからなかなか届きません。皆さん一人ひとりが自分ごととして受け止めていただき、みんなで声を上げていきましょう」と呼びかけた。

 会見には、安齋航太弁護士、「女性検事を支援する会」の能條桃子氏も出席した。

【写真】公表された新資料…元大阪地検検事正がしたためた実際の直筆書面



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編集部の感想:
この事件は、検察内部の権力構造がいかに深刻な問題を引き起こすかを浮き彫りにしています。女性検事の涙ながらの訴えは、単なる個人の苦しみではなく、制度的な改革が求められる重要なメッセージです。被害者支援の強化と真相解明の必要性を訴える彼女の声が、今後の社会に変化をもたらすことを期待します。

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