思い入れのある愛車は大事に長く乗っていたいものだが、昨今は車両盗難が後を絶たず、不審な中古車買い取り業者の訪問に頭を悩ませるオーナーも多いだろう。「またやられた」。貴重な旧車を複数台持っている愛好家オーナーは、ある対策アイデアを思い付いて実践したという。「商品化希望」「デザイナー感ある」とネット上で話題を呼んだ“秘策”について聞いた。「他人の物を盗んだりいたずらすること自体、犯罪であるだけでなく、人間としてありえないこと」
思い入れのある愛車は大事に長く乗っていたいものだが、昨今は車両盗難が後を絶たず、不審な中古車買い取り業者の訪問に頭を悩ませるオーナーも多いだろう。「またやられた」。貴重な旧車を複数台持っている愛好家オーナーは、ある対策アイデアを思い付いて実践したという。「商品化希望」「デザイナー感ある」とネット上で話題を呼んだ“秘策”について聞いた。
1988年式のトヨタMR2 AW11。真っ白のカラーリング、クールなデザインが印象的だ。約8年前に、新車価格と同等ぐらいで旧車専門店で購入したという自慢の1台だ。
だが、帰宅時に異変が。フロントガラスのワイパーに、見たくなかったチラシが挟まっていた。「車 高価現金買取」「相場は常に変動いたしますのでお早めにどうぞ!」などと、うたい文句がつづられている。
いかにも怪しいチラシ。MR2オーナーのNumaらびっと(狼の皮を被ったうさぎ)=@Numa_33Lapin=さんは、徹底対策に乗り出した。子どもの頃から車が好きで、「自身で整備してサーキット等で走らせて楽しんでいます」。現在、82年式初代アルト(SS40V)とラパン(HE33S)の計3台所有で、生粋の愛好家だ。
どのような必殺技を編み出したのか。
「あーまたやられた
ので再対策」
ダッシュボードに何やら白い紙が置かれている。筆で書いたような達筆な文字で、「触るな!」という日本語に加えて、「Wanna be dead,like this huh?!」(このような形になりたいのか? という趣旨)と英語で記載。チラシは逆さまになって横に破かれている。なかなかインパクト抜群の“警告文”を掲示したのだ。
普段は屋外駐車場に愛車を止めているといい、「ある日帰宅すると昨日まではなかった『買い取りのチラシ』がワイパーに挟んでありました。数年前にも同様にワイパーに挟まれたり、ドアに差し込んであったりして、1度対策をしました。この他にも予備のパーツを買いたいと2人組の外国人の方が入ってきたことがあります。
最初の対策後はこういったことがなかったので少し油断しており、最近警告札を付けていませんでしたところ、またチラシを挟まれたということで、『再対策』をしました」とのことだ。
ちなみに、5年前の最初の対策は、ハンドルロックや輪止めをガチガチにして、警告文を掲載したものだ。時が経過して、また不穏当な業者がやって来るようになってしまった。
今回の再対策について、Numaらびっとさんは「チラシを挟んだ人間が日本人かどうか分からないので、とりあえず自身が話せる日本語と英語で書きました。とくに日本語の警告文と言えば『触れることはご遠慮ください』のように控えめで力がありませんので、強い口調にしました。英語に関してはもともと直接的な表現が多い印象なのでさらに強めたつもりです」。強めの言葉のチョイスについて説明する。
強烈な警告の投稿に、ネット上では「今度高価買取の紙きたらやってみよw」「このようにするぞ!!!って笑 最高」「破り方にデザイナー感ある」「とにかく触らないで欲しいですよね」「普通に字うま笑笑」と、リアルさや達筆ぶりを絶賛する声が届いている。
また、「2週間に1回入ってます。お巡りさんにも不法侵入と言いましたが、不法侵入には当たらないそうです。防犯カメラ増やしました」「私の知人も以前これよくやられてて、頭にきて毎回チラシ丸めて投げ捨ててました」「てか人んちの車にチラシ挟む会社なんなの?思う」「車中に人感センサーのライトとか置いときましょう カメラ回ってると思って逃げてきます」と、深刻な悩みも寄せられている。
「『盗めない物理ロック』ではなく『盗みたくないクルマにする』というのがミソです」
もともとは車両盗難の防犯目的のため、あれこれ思案を巡らせていた。「最初の対策で行ったようなハンドルロックや輪止めは、しかしながら、どちらも本気で盗もうと思えば可能だと思います。そこで、『このクルマに何かしたら後からとんでもない報復をされそう』『後で面倒なことになりそう』と思わせることで事前に防ぎたいと考えました。『盗めない物理ロック』ではなく『盗みたくないクルマにする』というのがミソです」。犯人側の心理に訴える方策を編み出したというわけだ。
多発する車両盗難被害に心を痛めており、「他人の物を盗んだりいたずらすること自体、犯罪であるだけでなく、人間としてありえないことだと思っています。またこれにより施錠を強化しなければならない現状はとても悲しいです。防犯カメラの設置や物理ロックの併用など何重にも行うことが有効かなとは思っています。今回のような警告文は相手を刺激するので避けるべきとの意見もいただいております。私自身こんなことをして、ある日帰宅したら、クルマのガラスでも割られているのではないかと不安ではあります。しかし、狙われているのを分かっていて何もしないで最悪の結果になるよりは『戦う姿勢』を見せることが何よりの『対策』なのではないかと考え、実行しました」。悩みながらも、リスクを取ってまでの防衛策であることを強調する。
不審業者の“撃退法”は今回も効果はてきめんで、Numaらびっとさんは「これを行ってから現在まで張り紙や訪問はありません。しかし、いつ誰が狙っているか分かりませんので、定期的に車両の位置や向きを変えるなどして『長期間使用していないクルマではない』ことをアピールしたり、同じ理由でなるべく洗車をこまめにしてきれいに保っています。このクルマは自身の夢の結晶で、簡単に手放せるものではないので、今後も思い付いたことがあれば実行したいと思っています」。さらなる防犯強化を続けていく覚悟を示した。
【写真】「商品化希望」「デザイナー感ある」と称賛相次ぐ…不審業者“撃退法”、実際の光景
編集部の感想:
このニュースは、愛車を守るためのユニークな発想に感心しました。警告文のデザインが注目され、ネット上での支持も広がっているのが面白いです。犯罪に対する防衛策として、心理的アプローチが効果的だと実感させられました。
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