🔸 ざっくり内容:
今月Netflixで配信された韓国映画『84m²(84平方メートル)』は、主人公が隣人との騒音トラブルに悩まされながらも、念願のマイホームを手に入れるスリラーです。しかし、この作品は単なるサスペンス以上のもので、現代韓国の厳しい住宅事情と若者の葛藤をリアルに描いています。
作品の概要
- 原題: 84m²(英題 Wall to Wall)
- 監督・脚本: キム・テジュン
- 主なキャスト: カン・ハヌル(ノ・ウソン役)、ヨム・ヘラン(ウンファ役)、ソ・ヒョヌ(ジノ役)
- 上映時間: 118分
ヨンクル族の背景
主人公ウソンは「ヨンクル族」に属する30代のサラリーマンで、「魂までかき集めて」資金を調達しマンションを購入。これに対し、彼は住宅ローンの高騰や騒音トラブルに悩まされ、次第に精神的に追い込まれていきます。ヨンクル族とは、経済的余裕がない中で「一発逆転」を夢見て無理な借金を重ねる層を指し、韓国社会における住宅問題を象徴しています。
現実との乖離
ウソンの苦悩を通じて、家を持つことへの信仰がいかに皮肉な結果を招くかを描きます。最初は理想の住まいだったはずの84㎡のマンションが、騒音や金利上昇によって彼を追い詰める「抜け出せない地獄」となります。この状況は、夢のマイホームがいつの間にか悪夢に変わる様子を通しています。
メッセージとテーマ
『84m²』はマイホーム信仰への警鐘を鳴らす作品で、物理的な家よりも、そこに住む人々同士の問題や社会規範に焦点を当てています。登場人物の摩擦や孤立感は、都市生活の厳しさを浮き彫りにし、観る者に考えさせる力を持っています。
映画は、韓国社会の現実を鮮明に映し出しながらも、「本当に大切なものは何か?」と問いかけます。マイホームを持つことが幸せの証とされる中で、果たしてそれが実際にどうなのか、その両面を描いた作品です。
ぜひこの機会に『84m²』を観て、現代の韓国における住宅問題に触れてみてください。
🧠 編集部の見解:
韓国映画『84m²』の配信が話題になっている理由、なんだか納得できる部分がたくさんありますね。この作品は、ただのスリラーとして楽しめるだけでなく、韓国の住宅事情を鋭く刺し示す意味深いストーリーです。主人公が「ヨンクル族」として、マイホーム獲得のために多大な努力をしている姿は、まさに現代の若者が抱える経済的なプレッシャーの象徴です。
特に印象的なのは、ウソンが夢見た家が次第に「悪夢」に変わってしまう様子。思い描いていた未来が突如として狂い始め、騒音トラブルや金利の上昇に悩まされる姿は、フィクションでありながらリアルな恐怖を与えます。この点が、観客にとって「自分にも起こりうるかもしれない」と感じさせ、より強い共感を呼ぶのかもしれません。
実際、韓国では若者が家を持つことが夢であり、同時に重い負担となっています。ヨンクル族の台頭、その言葉が持つ意味を知ると、この映画の深みが増しますよね。社会全体に流れる「家を持つことが幸せだ」という価値観が、無理な借金を生む原因となり、結果的に若者たちを追い込む構図は、他の国々でも見られる現象かと思います。
興味深い豆知識として、韓国では特に“84㎡”という面積が象徴的な意味を持つんですよね。これは多くの家庭にとって理想的な広さとされていて、その中で家族の生活が営まれる場所として期待される一方、今はその価格が高騰し購入が難しくなっています。この映画を通じて、自分たちの生活や価値観について改めて考えるきっかけとなるのは、まさに社会派映画の意義だと思います。
映画のコピー「アパートに罪はない、問題は人間だ」という一文も強烈。私たちが思い描く幸せの形、そしてその中に潜む課題について、考えさせられる作品でした。ぜひ皆さんも観て、韓国社会のリアルな側面や、自分たちの住まいについての考えを深めてみてはいかがでしょうか。
- キーワード: ヨンクル族
※以下、出典元
▶ 元記事を読む
Views: 0