日曜日, 5月 18, 2025
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★2の映画避けてない?―フランス映画『エヴォリューション』が愛しい話|きーまん


きーまん

フランス映画『エヴォリューション』(2015年)の話がしたい。公開当時に見ていたわけではなく、Amazon Primeでこの映画を観た。ちょうど3月の末に親元を離れて、サッポロ黒ラベルを飲みながら東京で新社会人になるために乗っていた新幹線の中で観た映画だった。
まぁ、そりゃ思い出深いでしょうなぁ、という感想もあるかもしれないが、待てって。この映画、気色悪くていいんだわ。

知らねぇ映画の話ばっか

昔、はてなブログで記事を上げていたときに「なんか、有名な映画の話もしたら?知らない作品ばっかだ…」って言われたことがあった。

気持ちはわかる。ただ、このnoteで知らなかった映画を知ってくれれば、観てくれる機会になるんじゃないかな、って思って書いてるところもあるわけよ。

映画の話する前に、★の話がしたい。
映画のタイトルで検索したら引っかかる、映画.comを今回は例に上げるが、以下の画像を見てほしい。

filmarksを参照しないのにこだわりはないですが、好きなサービスでもないです

この★2.9というスコアを観て、この映画を観る?
昨今、サブスクのほとんとでこのレビューシステムが採用されているけれども、期待より低いレビューの点数を観て、期待していた映画の視聴を取りやめた経験、無い?

それ、もったいなさすぎる。

今日の話はエヴォリューションと★にまつわる話。

フランス映画『エヴォリューション』って何よ

舞台は、外界から隔絶された謎めいた島。そこには少年たちと、彼らの世話をする女性たちだけが暮らしている。しかし、その日常はどこか不気味で、少年たちは奇妙な医療行為を受け、島には異様な雰囲気が漂っている。一体この島で何が行われているのか?少年たちの身に隠された秘密とは?

リュック・ベッソン製作、新鋭ルシール・アザリアック監督が描く本作は、幻想的で美しい映像の中に、人間の根源的な恐怖や欲望を深く静かに描き出す異色のサスペンス・スリラーとなっている。

俺が一生懸命ネタバレなしでそれらしく概要を書いた

主人公は、ちょっと顔の整った少年。子どもは元気に外で走り回るのが仕事だから、海に遊びに行くことになる。シーンは移り、海で遊んでいる子どもたちと、何人ものお姉さん。びっくりするほどユートピア。

子ども一人につき、お姉さんが一人いるもんだから「あれ、オネショタもんか?アガるなぁ」って思っていたものの、不穏な空気に変わっていく。フランスほのぼのおねショタハートフルストーリーじゃないのか、がっかり。じゃないのよ。

何故か男性は少年達しかいない。明らかにユートピア。

流れてくる画の綺麗さは、まるでフィルムカメラで撮影した写真が、映像として流れているような空気感さえある。BGMこそないが、それでいい。ところが夜のパートになると状況は一変。昼間にお世話してくれていたお姉様方に手術台に載せられ、オペをされるシーンに切り替わる。今まで観ていた映像とはかけ離れた近代的なオペ設備に「なにかあるな」感を匂わせる。同じく、子どもたちも「おかしい気はする」といった漠然とした感情を抱き床に就く。

この映画、あまりにも説明が無く、主人公である男の子の視点で物語が進んでいくため、どこまでいっても、いい意味で解像度が低いまま結末に進んでいく。

ん?海の絵面とあまりにもかけ離れていないか?

Youtubeのショート動画くらいのボリュームなら、視聴意欲を掻き立てられそうな設定なんだよなこれ。マーケティングは惜しいのかもしれない。

実際どうだったの

ルシール・アザリロヴィックが監督したその映画は、物語らしい物語もないし、セリフも少ない。閉塞感のある島、異様に静かな海、少年と“母”のようなお姉さんたちとの奇妙な共同生活。そんな中で、どこか人間離れした医学実験のようなことが淡々と繰り返される。説明はされないし、ただ映し出される映像を観てるだけ。なのに、不思議と目が離せなかった。

裏設定や物語の考察が捗る作品ではあるのだが、フランス映画独特の空気感を最高クオリティで楽しめる作品としても優秀である。スリラー版の映画アメリを観ているような気分になれる、といったら伝わりやすいだろうか。
よくある「言われなきゃそんなのわかんねぇよ」みたいな難しい伏線はなく、エンディングについて、解釈の正解も存在していない。概要だけ知るとしんどそうに感じるかもしれないが、ぜひ気軽に観てほしい。

そんな『エヴォリューション』の評価を見てみると、大体どこのサイトでも星3前後。決して高くない。むしろ低評価のレビューも多い。「意味がわからない」「眠くなる」「気持ち悪いだけ」。たしかにその通りかもしれない。

私は好きだ。気持ち悪いの。

丸くなるな、

気持ちが悪い、ゴア表現の多用、胸糞悪い、なんていうレビューがついている映画が大好物。この映画観てみよー、って調べた映画に上記のキーワードが入っていると、尚の事視聴意欲を掻き立てられる。

悪趣味かもしれないが、結構。

星の評価は「平均」しか教えてくれない

前述した★の話をしよう。

サブスクで映画を観る前に必ず目に入るもの
「星の数」

Amazon Prime、Netflix、U-NEXT、YouTube。どの配信サービスでも、映画のタイトルの下には評価が出ている。星4.3、星2.8、星3.5。なんとなく“3.8以上なら安心”、“2点台は避けよう”みたいな判断基準が、自分の中にもいつの間にか出来上がってしまっていないか?

でも考えてみてほしい。星評価って、あくまで“平均”に過ぎない。

10人中10人が星3をつけた映画と、10人中7人が星1、3人が星5をつけた映画、どっちが面白い?前者は平均的に無難でまとまってるかもしれない。でも、後者には熱狂がある。映画のプロモーションでよく使われる文句「カルト的人気を博した」
多分、後者は好きな人には深く刺さる、強い個性があるっぽいよな。

カルト的人気を博す映像コンテンツの例(ポピーザぱフォーマー)

『エヴォリューション』は間違いなく後者のタイプの映画だったと思う。全員が好きになる作品じゃない。むしろ、「何これ?」と拒絶されてもおかしくない。でも、その“何これ”に惹かれる人にとっては、代えのきかない作品だわな。

星3.2の映画は、“全然好きじゃないけどなぜか忘れられない映画”かもしれない。“ずっと意味わからんかったけど2年後に急に腑に落ちた映画”かもしれない。一旦観てみようって気持ちにならんかね。
“人生の一本になる映画”かもしれないのに。

でも、星の数を理由にそれを避けてしまったら、その可能性にすら出会えなくないか?

「そんなんじゃ愛しい作品に出会えなくないか!?」

サブスク時代の“偶然”に感謝していけ

今は映画があふれている。配信サービスを開けば、数千本がずらりと並び、しかも“無料”で観られる(感覚的には)。だからこそ、「失敗したくない」という意識が強くなってしまう。観る時間は限られているし、どうせなら面白いやつを選びたい。だから星評価を参考にする。それは自然なことだとは思ってる。通販なんてまさにそうよね。

あ、星の数多いなって思ったら、またAnkerじゃねぇか。いつもありがとう。

映画って、予定調和ばかりじゃない。
広告費がかかってる映画が面白いのは当たり前。そんな映画、ほっといたって。向こうからあなたに会いに来てくれる。まるで都合が良すぎる、理解のある彼くん。いつだって観れるし、ぶっちゃけ、話を合わせるために急いで観るのだって容易い。どーせ面白いから。

じゃあ、会いに行ける映画を探さなきゃ。

特にサブスク時代においては、「これ、知らんけどなんか気になるな」「星2.7やけどジャケットええ感じやな」みたいな直感をもっと大事にしろ。

なぜなら、そこにしか“出会い”はないから。

そして、もしそれが“つまらなかった”としても、それもまた映画体験の一部。15分観て「あぁー、これ、無理や」と思ったら止めたらいい。途中で寝てもいい。リタイアできるという気軽さが、サブスクの最大の強みなのに、それを活かさずに「星の数が低いから最初から観ない」なんて、たわけてる。

もっと、ヤバそうな映画観ろって。

★星になれ。

映画なんて、周りがどう評価しようと、自分にとって“刺さる”ものかどうかで構わない。誰がなんと言おうと、自分が好きなものは好きでいい。逆に、世間で絶賛されていても、「なんか合わんかったな」で終わる映画もある。それでいい。

『エヴォリューション』は、おそらくこれからも微妙なスコアの映画として扱われ続けるだろう。でも、自分にとっては、星なんかじゃ測れない映画だ。星で観るのをやめていたら、出会えていなかったらと思うと、悲しくなる。

もしかしたら、その星2.6の映画が、あなたの人生を変えるかもしれない。
その星3.1のホラー映画が、あなたの心の深いところを揺さぶるかもしれない。勝手に世間の声で観るものを決めるような大人になってるんじゃないよ。丸くなるな。

だから、もっと自由に、もっと気軽に、もっと無責任に映画を観てほしい。
きっと出会える、あなたの愛しい映画。

星になれ。

きーまん



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