日曜日, 6月 1, 2025
ホーム投資⑨DraftKings:日本の競馬とスポーツベッティングの「本質的な違い」YOSHI

⑨DraftKings:日本の競馬とスポーツベッティングの「本質的な違い」YOSHI

🧠 概要:

概要

この記事では、DraftKingsと日本の競馬・宝くじの運営モデルの違いについて説明しています。特に、運営側の利益確保の仕組みの違いや、試合結果が業績に与える影響について詳しく述べています。

要約の箇条書き

  • 日本の競馬は胴元が25%、宝くじは55%の取り分を得ているため、参加者同士の賭けは取り分後の残金で行われる。
  • DraftKingsなどのオンラインスポーツベッティング(OSB)では、勝敗が業績に大きな影響を与えるため、運営側のリスクが高い。
  • 日本の賭け事では、運営側が必ず利益を確保できる一方、OSBでは試合結果によって運営が赤字になる可能性がある。
  • DraftKingsは、オッズのリアルタイム調整やベット額の上限設定を用いてリスク管理を行っているが、全ての損失を防ぐことはできない。
  • 2024年の業績は、特定の試合結果により下方修正されたが、他の要因で業績拡大も見込まれる。
  • 競合のFanDuelに比べ、DraftKingsのリスク管理には改善の余地があることが指摘されている。
  • 次回はFanDuelとの競合比較について触れる予定。

⑨DraftKings:日本の競馬とスポーツベッティングの「本質的な違い」YOSHI

YOSHI

私は改善してほしい点が競馬にあります。それは胴元(JRA)が約25%ももっていくことです。(こまかくは単勝・複勝、三連単・三連複などによって率も違うらしいです。)

宝くじにいたっては「約55%」ももっていかれます。勝つ可能性が極めて低い賭け事で、予想の楽しみもなく、ドキドキもしないから、個人的には宝くじを買う理由がありません。

ところで、前回「DraftKingsの業績は勝負の「運」によって左右される点は注意」と書きました。2024年の場合、試合で顧客に有利な結果がなければ、EBITDAは1.81億ドルではなく、5.14億ドルであったことが確認できます(差額3.33億ドル、割合65%)

FY2024 EARNINGS PRESENTATION P6より抜粋

また、2025年第1四半期の決算説明会の資料をみても、「Customer-friendly Sport Outcomes」=「顧客に有利なスポーツの結果(例:人気チームの勝利が続くなど)」により、2025年のガイダンスを下方修正したという説明があります。

FY2025Q1 EARNINGS PRESENTATION P5より抜粋

「えっ、どういうこと?だって、DraftKingsなどの運営側が損するわけがないでしょ?」と思う方もいるでしょう。

というのは、日本の競馬や宝くじは必ず運営側が一定の取り分を取るため、100%損をすることがない仕組みだからです。それをイメージすれば運営側が損をするわけがないと思うのも、たしかに自然です。

しかし、実際にはDraftKingsなどのオンラインスポーツベッティング(OSB)企業は試合の勝敗結果(≒時の運)により業績が左右されています。

日本の競馬では、全体の賭け金から一定の率を運営が差し引き、その残りを勝者たちで分け合うため、運営側は必ず利益が出る仕組みです(レース終了後に手数料を徴収した後に払戻金を確定)。

一方、OSBでは、プレイヤーがベットした「その瞬間」にオッズが固定され、そのプレイヤーのオッズは後から変わりません。そのため、たとえばプレイヤーたちが人気のあるチームに大量にベットし、実際にそのチームが勝つと、大量の払い戻しが発生し、運営側が赤字になる可能性があります。

簡単に言えば、次のようなモデルの違いがあります。・日本の競馬・宝くじは、手数料を抜かれて残ったお金を参加者同士で奪い合うモデル

・DraftKingsなどは、運営側が「すべてのプレイヤー」と一対一で勝負するモデル

スポーツブック運営者が莫大な払い戻しを支払えず倒産、というニュースがたまにありますが、それもこれと同じ仕組みだからです。

規模の小さい運営者では、払い戻しが資金を上回り経営が傾くケースもある一方で、DraftKingsなどの大手企業では、リスク管理が徹底されており、・オッズのリアルタイム調整(ベットが集中するとオッズを低くする、ほかのオッズを上げるなど)・ベット額に上限を設定・外部のベッティング市場を使い、自らリスクヘッジのためベット

などを行っているようです。

しかし結局、どれだけリスク管理を徹底しても、“時の運”による損失は完全には防ぎきれず、業績に一定の変動が生じてしまいます。

過去の決算資料を見返すと、2023年にもAdjusted EBITDA▲1.26億ドルという記述がありますが、2024年ほどの影響をもった年はありませんでした。(逆にDraftKingsの利益が増えた年もあります。

見方を変えれば、この影響がなければ2024年の業績はもっと良かったとも言えますし、またこれがあるからと言ってDraftKingsの業績拡大基調が揺がないことも事実です。

というわけで、今後もDraftKingsが望まない結果が出れば、今回のような業績の下方修正の可能性がありますが、あまり気にしすぎないようにしようと思います。(DraftKingsに有利な結果が出れば、逆に上方修正の場合もあり)

とはいえ、2024年の3.33億ドルの不運は大きなインパクトでした…。2025年の第1四半期についても、3月の不運がなければ業績予想を上方修正していたと経営陣は述べています。

なお、競合のFanDuelの方がリスク管理はうまいと巷(ちまた)で言われているようで、この点においても、DraftKingsは、FanDuelに比べリスク管理の面で改善余地があるとも言えます。今後の改善に期待したいところです。

(続く。次回は「競合比較:FanDuel 他」を予定しています。)

【参考】過去の記事へのリンクは以下となります。
①     DraftKingsを語る前に知っておくべき、“部族支配”の現実──米ギャンブル市場の深層
②     DraftKings会社概要・業績・軌跡──黒字転換の背景と今後の成長性
③     DraftKings:DFS──リアルとバーチャルが交錯する新たなスポーツ体験
④     DraftKingsの全貌──拡大する市場と事業領域
⑤     DraftKingsの収益モデルを徹底解剖──OSBからJackpocketまでの全体像と仕組み
⑥     DraftKings成長のカギ!主要州“合法化”の行方──カリフォルニア・テキサス 他
⑦     DraftKings「州境ベット珍道中」──オンラインギャンブリングの笑えない笑い話
⑧     DraftKings財務分析──収益の飛躍と見えざるリスク



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