英銀HSBCホールディングスは29日、30億ドル(約4270億円)規模の自社株買いを実施すると発表した。不安定な地政学的環境が世界経済や市場に重くのしかかっているものの、株主還元を強化する。
併せて発表した1-3月(第1四半期)決算は税引き前利益が94億8000万ドルと、同社がまとめた予想(78億3000万ドル)を上回った。
ジョルジュ・エレデリー最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「今四半期の力強い業績は、収益の勢い、規律的な戦略の実行、そしてわれわれの目標達成への自信を示している」と指摘。「経済の不確実性と予測不可能な市場環境が続く中でも、われわれは財務基盤の強さを背景に顧客を支援し続ける」とコメントした。
HSBCは国際貿易に強い世界有数の銀行で、東西間の商取引をつなぐ重要な役割を担っている。また、ドル決済業務を手掛ける銀行としても米銀以外でトップクラスを誇るため米中対立の激化による影響を受けやすい立場にある。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のトマシュ・ノエツェル氏とフランシス・チャン氏は今月のリポートで、「HSBCのビジネスモデルは、変化する地政学的環境の犠牲となりつつある。米中間の緊張激化や不透明な金利見通しが、収益成長に対する懸念を一段と強めている」と述べた。
原題:HSBC Sticks With Share Buybacks After Stock Whacked by Trade War(抜粋)
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