東京のきらめき、大阪の熱気、一度は憧れる都会での暮らし。でも、ちょっと待って。本当にそれがベストなのか?
リモートワークの普及で場所を選ばない働き方が広がる今、20代の場所選びの価値観は大きく変化しているようだ。「株式会社学情」が実施した最新調査を読み解きながら、これからの時代に合った場所選びを考えてみたい。
なぜ、いま都会なのか?
揺るがない「成長」への渇望
20代社会人を対象とした同調査によると、約6割の20代が「都市部に住みたい」と回答。その理由は、「仕事の幅広さや成長機会への期待」のようだ。情報、トレンド、刺激。あらゆるものが集まる場所で、自分を磨きたい。そんな上昇志向こそが、都会への憧れの原動力なのかもしれない。
スタートアップ企業で最先端の技術に触れたり、グローバル企業で語学力を活かしたり。まだまだ地方ではなかなか得られないチャンスが、都会にある。週末は、スキルアップのためセミナーや交流会に参加したり、常にアンテナを張り、自己投資を怠らない。そんなストイックなライフスタイルこそ、都会を選ぶ理由なのかもしれない。
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テレワーク前提? 地方移住のリアル
「制約」からの解放
いっぽう、約4割の20代が「地方に住みたい」と回答していることにも着目したい。背景には、リモートワークの普及があるのは間違いない。場所に縛られない働き方が可能になったことで、地方移住という選択肢が現実味を帯びてきた。さらには、生活費の低さ、家族との近さも地方在住の魅力として挙げられている。
家賃は都会の3分の1、通勤時間はゼロ。満員電車に揺られるストレスから解放され、自然の中でリフレッシュできる。そんな暮らしに憧れる人も少なくない。けれど、地方移住には、仕事の選択肢が限られる、娯楽が少ないといったデメリットも。理想と現実のギャップを埋めるためには、事前のリサーチが不可欠だ。
ハイブリッドこそ正義?
場所と働き方の「いいとこ取り」という戦略
注目したいのは、「都市部に住む×出社とテレワークのハイブリッド」を希望する20代が28.4%に達するというデータ。これは、都会の利便性と地方の快適さを両立したいというニーズを示唆しているのではないか。普段は都心で働き、週末は地方で過ごす。そんな二拠点生活も、もはや夢ではない。
株式会社学情の担当者は、フルリモートや居住地自由の企業は、「志望度が上がる」と回答した20代が75.9%に達したこと、そして「出社の機会がある企業も志望度が上がる」と回答した20代が約半数存在することを指摘している。これは、企業選びにおいて「場所」と「働き方」の自由度がもっとも重要視されていることを示している。
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自分の「コンパス」を持つ
これからの場所選びに必要なこと
情報過多な時代、他人の意見に流されることなく、自分の「コンパス」を持つことが大切になってきた。都会か、地方か、それともハイブリッドか……。正解はひとつではないはずだ。
自分の価値観、ライフスタイル、そしてキャリアプラン。すべてを考慮した上で、自分にとって最適な場所を選ぶ。それこそが、これからの時代を生き抜くための戦略になるのかもしれない。
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