気候変動による物理的リスクに対応する企業が、確実に経済的利益を得ていることが、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)の調査で明らかになった。
同調査によると、気候変動適応に貢献する商品・サービスから、2100社余りの企業が計1兆ドル(約150兆円)を超える売り上げを昨年獲得した。物流や食品加工、不動産など幅広い業種の企業を調査対象としている。
この調査結果は、地球温暖化による物理的ショックへの適応に焦点を当てた戦略が注目を集めていることを示している。産業革命前からの気温上昇をセ氏1.5度以内に抑える目標が達成されず上限を大きく超えると予想される中で、投資家や政策立案者、企業幹部らは、気温上昇がもたらすさまざまな脅威に目を向け始めている。
JPモルガン・チェースやジェフリーズ・ファイナンシャル・グループ、シンガポールの政府系ファンドなど、適応戦略への投資がもたらす利益に注目する金融機関も増えている。
LSEGのサステナブル投資リサーチ部門の責任者、ヤーコ・コーロシー氏はインタビューで、「適応と回復力は、グリーン経済の新たな成長源になりつつある」と指摘。「物理的リスクへの関心は高まっており、企業や政府が講じる適応策は、実際の利益に結び付いていくだろう」と分析した。
同氏はまた政治的な逆風が吹いても、緩和策、適応策を問わずグリーン活動による企業収益は強固なままだとの見方を示した。
テーマに関わる企業を特定
コーロシー氏によると、最近よく受ける質問の一つが「トランプ政権は、グリーン経済にとって何を意味するのか」というものだ。グリーン経済は「今や非常に巨大かつ強固で、そう簡単には崩壊しない」というのが答えだとしている。
LSEGの分析は世界2万社超を対象とし、各社のグリーン経済への貢献を評価する。気候変動適応のテーマに関わる企業を投資家が特定しようとしていると指摘した。
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原題:LSE Group Study Finds $1 Trillion Industry in Climate Adaptation(抜粋)
🧠 編集部の感想:
気候変動適応に成功した企業が1兆ドルを超える収益を上げたというニュースは、環境問題への対応が経済的チャンスを生むことを示しています。特に、政治的な逆風にもかかわらず、グリーン経済が強固であることが強調されている点が興味深いです。投資家が新たな成長源として注目している気候適応戦略は、持続可能な未来へ向けた重要な一歩と言えるでしょう。
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